第2回沖縄平和賞受賞者(2004年)特定非営利活動法人アムダAMDA
贈賞理由 スリランカ医療和平プロジェクト(2003年2月から)
(提供:アムダ)日本で最初の国連医療NGOである特定非営利活動法人アムダ(以下「アムダ」という。)はアジア、アフリカ、中南米において戦争、自然災害、貧困等により社会的・経済的に恵まれず社会から取り残されている人々への医療救援と生活状態改善のための支援活動を積極的に展開しています。
1984年に創設されたアムダの出発点は、実行を旨にアジア各国の医学生達とのネットワークを作ったことをきっかけにして、岡山という地方からの始動でした。現在では国内外に31の支部と28のプロジェクト・オフィスを置き、14カ国で44の事業を実施しており、過去16年間では約50カ国にも及ぶ国々で日本の国際貢献の顔として印象づけました。
アムダの活動は、「誰でも他人の役に立ちたい気持ちがある」、「この気持ちの前には国境、民族、宗教、文化等の壁はない」、「援助を受ける側にもプライドがある」という人道援助の三原則に基づいており、このことは内発的多様性を基礎とした平和実現の促進に貢献しています。
また、アムダが提唱している「医療和平」とは、紛争当事者の双方に中立人道の立場から、国際医療協力をもって紛争の緩衝を図り、和平プロセスに寄与する試みであり、医療による人道援助活動を通じて平和と人間の安全保障に貢献するものです。
アムダの緊急救援活動は、1991年の湾岸戦争で被災民となったクルド難民の救援活動を契機に、「必要とされればどこへでも行く」の信条を行動力で示し、実績とともに諸外国との信頼関係を揺るぎないものにしました。
国際的なネットワークに基づく「アムダ多国籍医師団」は、自然災害をはじめ、突然の不幸な出来事に見舞われた人々の所へ一刻も早く飛んで行き、迅速かつ的確な援助を行うことにより多くの被災者の不安を取り除き、尊い命を救い、復興への希望を与えてきました。
活動のもうひとつの特徴としては、保健医療・教育・生活環境向上等の支援活動を世界的に展開しています。例えばHIV等の深刻な問題に立ち向かい、地域住民のニーズを優先し、人々が自立できる目途がたつまで継続的に実施しています。
日本国内では、1995年の阪神大震災において、多数のボランティアによる活動を円滑に実施させるために先導的役割を果たしました。その他、次世代を担う若者達を対象にスタディ・ツアーを行うなど人材育成にも尽力しています。
当初、医療を中心に始まった活動も、今日では多岐にわたる分野に広がりを見せています。このことは、誰かの役に立ちたいと思う人々の気持ちを受け入れる寛容の精神がアムダには根付いているからであり、ボランティアをする人、される人、人間一人ひとりを大切にすることが、一つひとつの命、人間の尊厳を大切にするアムダの姿に結びついています。
沖縄平和賞選考委員会は、アジア太平洋地域はもとより世界規模で平和・非暴力実現の促進や人間の安全保障実現の促進に貢献しているアムダを第2回沖縄平和賞に最も相応しいものと評価しました。
アムダの活動の根底にある「相互扶助」の精神と「多様性の共存」という目標は、沖縄県の持つ歴史的、文化的特性等を反映して恒久平和の創造に貢献するものとして創設された沖縄平和賞の趣旨に通ずるものであります。
よって、戦前戦後の困難な時代を経て発展してきた沖縄県から、今後の活動を支援していくために、第2回沖縄平和賞をアムダに贈ることを決定しました。
沖縄平和賞選考委員会コメント
医療技術集団としての特定非営利活動法人アムダのこれまでの世界的な活動は、専門知識と技術に特化し、アムダが確固たる人道支援のあり方を確立してきたことが高く評価されました。
また、アムダ沖縄支部が設立され、その活動から今後も医療支援を必要としている世界の人々のために、沖縄から多くの人材が参加し、沖縄発の高い知識と技術に裏付けられた活動を通じ、地域の安定と人間の安全の確保に寄与する可能性が指摘されました。
このことは今後、アムダ沖縄支部の一層の活躍が期待されるとともに、将来のアムダと沖縄の双方にとって有意義なものとなることを確信しております。
平成16年7月29日
沖縄平和賞選考委員会
江崎玲於奈(芝浦工業大学学長)委員長
尚弘子(琉球大学名誉教授)
森田孟進(琉球大学学長)
海老沢勝二(日本放送協会会長)
グレゴリー・クラーク(多摩大学名誉学長)
武者小路公秀(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長)
猪口邦子(上智大学法学部教授)
※肩書は当時
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