第4回沖縄平和賞受賞者(2008年)特定非営利活動法人難民を助ける会
贈賞理由
日本で最初の難民支援のための人道支援団体である特定非営利活動法人難民を助ける会(以下「難民を助ける会」)は、1979年、当時のインドシナ難民の大量流出に際しての「難民に冷たい日本人」という国際世論に対し、日本人の善意を示す活動として、相馬雪香氏の呼びかけにより設立されました。
特定の政治、宗教、思想に偏らず、純粋に人道的なNGO活動を継続し、これまでに世界50カ国以上で多彩な支援活動を30年近くも展開してきました。
「難民を助ける会」は、設立時から、紛争後の混乱した社会では、障害を持つ人々の福祉まで支援の手が届かないことが多いということに着目し、難民の中でも特に弱い立場にある障害を持つ人々の自立を支援してきました。アジア各国の職業訓練学校や車いす工房の運営などを通して、障害をもつ人々の経済的・精神的・社会的自立に貢献しています。
また、災害や紛争が起こった際には、難民や被災者への緊急支援を行っております。2005年に発生したパキスタン地震や2008年のミャンマー・サイクロン被害への緊急支援など、これまで15カ国以上の国や地域で、緊急支援活動を行ってきました。
1992年のカンボジア内戦終結後、何百万個とも言われる対人地雷により、念願の故郷に帰還の途についた多くの難民が犠牲になるという悲劇が続発しました。同会は、新たな使命として対人地雷の廃絶に取り組み、絵本「地雷ではなく花をください」を出版し、誰にでも分かりやすい形での啓発活動により、多くの人々に対人地雷の撤去を呼びかけました。
また、地雷禁止国際キャンペーンを通じて、日本政府を含む各国の対人地雷禁止条約の批准推進に貢献し、1997年のノーベル平和賞授賞式にも招聘されました。
現在は、地雷回避教育と被害者支援を中心に取り組み、既に地雷の被害にあってしまった人たちや、地雷の被害にあう恐れのある子どもたちへの支援も行っています。
「難民を助ける会」の地道な活動実績と市民を巻き込んだキャンペーン型の多くの啓発活動は、国民の平和意識の浸透に大きく貢献するとともに、国際的視野を持つ青少年育成にも大きな影響を与え、後に相次いで結成された国際NGOのパイオニアとしての役割を果たしてきました。
今後も、難民支援、地雷問題だけでなくエイズ対策、マラリア予防などの幅広い問題に対し、他のNGO等と協力してその模範となるような先駆的な活動を続けていくことが期待されます。
それとともに、日本社会内に難民を受け入れることができる土壌づくりについても、一層効果的な活動を展開されることを期待します。
「難民を助ける会」の活動の根底にある相互扶助の精神は、沖縄戦を始め過酷な経験を有し、多文化を受容してきた沖縄の歴史的、文化的特性等に根ざして、恒久平和の創造に貢献するものとして創設された沖縄平和賞の理念に合致するものであります。
沖縄平和賞選考委員会は、アジア太平洋地域はもとより世界規模で平和・非暴力実現の促進や人間の安全保障の促進に貢献している「難民を助ける会」を第4回沖縄平和賞に最も相応しいものと評価しました。
よって、国内外からの暖かい支援を受け戦後の廃墟と混乱から立ち上がり発展してきた沖縄から、今後の一層の活動を期待し、第4回沖縄平和賞を「難民を助ける会」に贈ることに決定しました。
沖縄平和賞選考委員会
- 委員長 有馬朗人(財団法人日本科学技術振興財団会長)
- 副委員 長尚弘子(琉球大学名誉教授)
- グレゴリー・クラーク(多摩大学名誉学長)
- 永井多惠子(元日本放送協会副会長)
- 武者小路公秀(大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター所長)
- 森田孟進(元琉球大学学長)
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