要請事項(日米地位協定)
要請事項
1.第1条関係(軍隊構成員、軍属、家族の定義)
- 日米両政府により締結された軍属に関する補足協定については、その運用について透明性を確保するため、同協定第5条で定める通報及び軍属に関する定期的な報告等の内容に関する情報を公表すること。
- 米軍構成員及び軍属並びにそれらの家族の総数等や軍種別、市町村別の内訳などの詳細な情報を、地元地方公共団体に提供すること。
- 軍属の範囲の明確化が、施設及び区域内における日米地位協定の対象とならない者の逮捕等に影響を及ぼすことがないよう配慮すること。
2.第2条関係(施設及び区域の許与、決定、返還、特殊使用)
- 日本国政府及び合衆国政府は、施設及び区域の提供又は用途の変更、施設及び区域内における埋立て、大規模な土地の形状の変更、大規模な工作物の新設又は修繕等を行う計画がある場合は、関係地方公共団体と協議し、その意向を尊重する旨を明記すること。
- 日本国政府及び合衆国政府は、日米合同委員会を通じて締結される個々の施設及び区域に関する協定の内容について、関係地方公共団体から、住民生活の安全確保及び福祉の向上を図るため要請があった場合は、これを検討する旨を明記すること。
- 日本国政府及び合衆国政府は、前記の検討に際しては、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。また、施設及び区域の返還についての検討に際しても、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重する旨を明記すること。
- 日米合同委員会を通じて締結される個々の施設及び区域に関する協定には、施設及び区域の使用範囲、使用目的、使用条件等を詳細に記載するとともに、その内容を日本国政府が定期的に審査する旨を明記すること。
3.第3条関係(施設及び区域内外の管理)
- 合衆国軍隊は、施設及び区域が所在する地方公共団体に対し、事前の通知後の施設及び区域への立入りを含め、公務を遂行する上で必要かつ適切なあらゆる援助を与えることや、緊急の場合は、事前通知なしに即座の立入りを可能にする旨を明記すること。
- 航空機事故、山火事、燃料流出等合衆国軍隊の活動に起因して発生する公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件・事故については、速やかに関連する情報を関係地方公共団体に提供するとともに、地域住民にも速やかに情報提供を行うことや、災害の拡大防止のため、適切な措置を執る旨を明記すること。
- 合衆国軍隊の演習、訓練、施設整備等の諸活動の実施に対して、航空法等の日本国内法を適用する旨を明記すること。
- 合衆国軍隊が行う訓練・演習については、その内容が把握できる具体的かつ詳細な情報を関係地方公共団体に事前に通知するとともに、地域住民にも速やかに情報提供を行う旨を明記すること。
- 下記の内容の環境条項を新設する旨を明記すること。
ア 合衆国は、合衆国軍隊の活動に伴って発生するばい煙、汚水、赤土、PCBを含む廃棄物等の処理その他の公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を有するものとする。また、日本国における合衆国軍隊の活動に対しては、環境保全に関する日本国内法を適用するものとする。
イ 合衆国軍隊は、施設及び区域における全ての計画の策定に当たっては、人、動植物、土壌、水、大気、文化財等に及ぼす影響を最小限にするものとする。また、当該計画に基づく事業の実施前に、及び実施後においては定期的に、当該事業が与える影響を調査し、予測又は測定し、評価するとともに、調査結果を公表するものとする。さらに、日米両政府間で、当該調査結果を踏まえ、環境保全上の措置について協議するものとする。
ウ 合衆国軍隊の活動に起因して発生する環境汚染については、合衆国の責任において適切な回復措置を執るものとする。そのための費用負担については、日米両政府間で協議するものとする。 - 日米両政府間で締結された環境補足協定については、同協定が実効性のあるものとなるよう努めるとともに、次の内容に配慮すること。
ア 事故や環境汚染が確認された場合には、関係する地方公共団体の速やかな現場立入りや試料採取を含む合同調査が可能となるよう環境補足協定の運用に努めること。また、日本国政府または合衆国政府が行う環境調査や汚染除去の過程を、事前に関係する地方公共団体に説明すること。さらに、関係する地方公共団体が必要と認める場合は、汚染除去後、確認調査及び一定期間のモニタリング調査を可能とすること。
イ 返還前の土地の立入りについては、返還後の跡地利用が円滑に推進されるよう、日米安全保障協議委員会又は日米合同委員会の返還合意後、極力早期に、少なくとも返還の3年以上前からの立入調査を可能とすること。また、これまで行われていた文化財調査が、環境補足協定に基づく手続によることとなったことにより中断していることから、関係地方公共団体による文化財調査等が円滑に実施できるよう、環境補足協定による立入りの手続きを明確に定めること。
ウ 文化財の発掘調査に伴い、環境汚染や遺棄物等が発見された場合、上記アに基づき調査等を実施すること。また、発掘調査の安全性を確認するための調査を実施すること。
4.第4条関係(施設及び区域の返還、原状回復、補償)
- 施設及び区域の返還に当たっては、事前に、日米両政府は、合衆国軍隊の活動に起因して発生した環境汚染、環境破壊及び不発弾等の処理について、共同で調査し、環境汚染等が確認されたときは、環境浄化等の原状回復計画の策定及びその実施等の必要な措置を執ること。そのための費用負担については、日米両政府間で協議する旨を明記すること。
- 返還が予定されている施設及び区域における土地について、使用開始後の形質の変更、建物の建設、廃棄物の処理等使用履歴に関する全ての情報を関係地方公共団体に提供する旨を明記すること。
- 日米両政府間で締結された環境補足協定については、同協定が実効性のあるものとなるよう努めるとともに、次の内容に配慮すること。(再掲)
ア 事故や環境汚染が確認された場合には、関係する地方公共団体の速やかな現場立入りや試料採取を含む合同調査が可能となるよう環境補足協定の運用に努めること。また、日本国政府または合衆国政府が行う環境調査や汚染除去の過程を、事前に関係する地方公共団体に説明すること。さらに、関係する地方公共団体が必要と認める場合は、汚染除去後、確認調査及び一定期間のモニタリング調査を可能とすること。
イ 返還前の土地の立入りについては、返還後の跡地利用が円滑に推進されるよう、日米安全保障協議委員会または日米合同委員会の返還合意後、極力早期に、少なくとも返還の3年以上前からの立入調査を可能とすること。また、これまで行われていた文化財調査が、環境補足協定に基づく手続によることとなったことにより中断していることから、関係地方公共団体による文化財調査等が円滑に実施できるよう、環境補足協定による立入りの手続きを明確に定めること。
ウ 文化財の発掘調査に伴い、環境汚染や遺棄物等が発見された場合、上記アに基づき調査等を実施すること。また、発掘調査の安全性を確認するための調査を実施すること。
5.第5条関係(船舶及び航空機の出入及び移動)
- 民間航空機及び民間船舶の円滑な定期運航及び安全性を確保するため、合衆国軍隊による民間の空港及び港湾の使用は、緊急時以外は禁止すること。また、合衆国軍隊が空港及び港湾を使用する場合は、国内法を適用する旨を明記すること。
- 第5条に規定する「出入」及び「移動」には、演習及び訓練の実体を伴うものを含まない旨を明記すること。
6.第9条関係(米軍人、軍属及びその家族の出入国)
人、動物及び植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用する旨を明記すること。
7.第13条関係(課税)
合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税について、民間車両と同じ税率で課税する旨を明記すること。
8.第15条関係(歳出外資金諸機関)
第15条第3項を改正し、施設及び区域内の諸機関が提供する役務についても、物品の販売の場合と同様に、日本人に対する役務の提供を制限する旨を明記すること。
9.第17条関係(刑事裁判権)
- 合衆国の軍当局は、日本国の当局から被疑者の起訴前の拘禁の移転の要請がある場合は、速やかにこれに応ずる旨を明記すること。
- 米軍の財産が施設及び区域の外にある場合には、日本国の当局が捜索、差押え又は検証を行う権利を行使する旨を明記すること。
- 施設及び区域の外における事故現場等の必要な統制は、日本国の当局主導の下に行われる旨を明記すること。
10.第18条関係(民事請求権)
- 公務外の合衆国軍隊の構成員若しくは軍属、若しくはそれらの家族の行為又は不作為によって損害が生じた場合において、被害者に支払われる損害賠償額等が裁判所の確定判決に満たないときは、日米両政府の責任で、その差額を補填するものとし、補填に要した費用負担については、両政府間で協議する旨を明記すること。
- 合衆国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、合衆国軍隊の構成員又は軍属に支払うべき給料等を差し押さえて、日本国の当局に引き渡さなければならない旨を明記すること。
11.第25条関係(合同委員会)
- 日米合同委員会の合意事項を速やかに公表する旨を明記すること。
- 日米合同委員会において、施設及び区域周辺の住民に影響を及ぼす事項を協議する場合は、関係地方公共団体の意見を聴取し、その意向を尊重すること。また、日米合同委員会の中に施設及び区域を有する地方公共団体の代表者の参加する地域特別委員会を設置する旨を明記すること。
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