「高次脳機能障害」をご存じですか?
高次脳機能障害とは、交通事故などによる脳外傷、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳炎・低酸素脳症などの病気が原因で、脳が部分的に損傷を受けたためにおこる障害です。高次脳機能障害の症状には、何度も同じ事を話したり質問したりする「記憶障害」、気が散りやすく、仕事上でのミスが多くなる「注意障害」、感情のコントロールができない「感情障害」のような様々な症状があり、日常生活にさまざまな困難が生じます。外見から障害があることが分かりづらいため、周囲から誤解を受けたり、本人や家族の負担が大きなものになっています。
1.高次脳機能障害の主な症状
- 注意障害:注意力や集中力が低下したりします。
- 作業にミスが多くなる。
- 疲れやすく、長い時間作業につくことができなくなる。
- 気が散りやすいなど、ひとつのことに集中することが難しくなる。
- 記憶障害:新しいことが覚えられなくなったり、以前のことを思い出せなくなったりします。
- 約束を守れない。すぐ忘れてしまう。
- 物を置いた場所を忘れてしまう。
- 何度も同じ話や質問をする。
- 事実とは異なる話をしてしまう。
- 遂行機能の障害:日常生活や仕事の内容を、整理し、計画、処理するという一連の作業が難しくなります。
- 行き当たりばったりの行動をする。
- 一つ一つ指示されないと行動に移せない。
- 優先順位が決められない。
- なにかをするときに、どこから手をつけていいいのか分からなくなる。
- 社会的行動障害:感情や行動を自分で調節することが難しくなります。
- 急に怒りだしたり、泣き出したりする。
- 場違いな場面で、笑い出したりする。
- 気持ちが落ち込んで、ひきこもってしまう。
- 思い通りにならないと興奮して、暴力をふるったりする。
※症状は重複していることが多く、その症状の重なり方で一人ひとりの状態は異なります。
これらの症状は、事故または病気の直後ではなく、退院して何年かした後に現れることもあります。
退院後、しばらくして「なんとなく変」、「前と違う」というような、気になることから、家族や友人、同僚など、周りの方が気づくケースもあります。
※外見上わかりにくく、本人が自分の症状を自分で認識できないこともあるのがこの障害の特徴で、一般には理解されにくいのが現状です。このため本人や家族の負担も大きくなっています。
高次脳機能障害の方が生活しやすくなるには、周りの方の理解が大切です。
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どう接したらいいいの? (PDF 1.2MB)
「ゆい沖縄」発行のパンフレットを掲載させていただいています。
2.高次脳機能障害についてのご相談
高次脳機能障害支援拠点機関
沖縄県では平成19年度から、沖縄リハビリテーションセンターと平安病院を高次脳機能障害支援拠点機関として、相談窓口を開設しています。
周りに高次脳機能障害ではないかと心あたりのある方がいる、または、日常生活などについて困ってることがあるなど、お気軽に支援拠点機関へご相談ください
支援拠点機関ではこんな支援をしています
- 高次脳機能障害の診断・評価
- 高次脳機能障害の治療
入院治療、外来治療(医師診察、心理カウンセリング、医学リハビリテーション) - 生活の相談および支援
日中活動の支援(デイケア)、生活訓練(生活訓練施設)、就労訓練(授産施設) - 復職・復学・就職の支援
- 制度利用の相談および支援
障害者手帳、障害年金、労災保険、自賠責保険、失業手当、傷病手当金
高次脳機能障害支援拠点機関の連絡先
沖縄リハビリテーションセンター病院
住所:沖縄市比屋根2-15-1
電話:098-982-1777(代表)
電話:098-982-1863(高次脳デイケア直通)
平安病院
住所:浦添市経塚346
電話:098-877-6467(内線230・232)
NPO法人ゆい沖縄
平成22年3月に、NPO法人ゆい沖縄が開設され、事故や病気による高次脳機能障害者及びその家族に対し、高次脳機能障害についての正しい知識の普及に努める活動及び当事者の社会参加を促進するための活動を行っています。詳しくは、お問い合わせください。
「脳損傷友の会ゆい沖縄」・「NPO法人ゆい沖縄」の連絡先
住所宜野湾市宜野湾市3-13-1
電話:098-963-6581
メール:koujinou-yui.okinawa@oboe.ocn.ne.jp
3.こんな制度が利用できます
高次脳機能障害に対する独自の福祉制度はありませんが、既存の利用できる制度や福祉サービスがあります。高次脳機能障害と診断されると、精神保健福祉手帳の申請の対象になります。この手帳を取得することで、福祉サービスなどが受けやすくなります。また、障害年金や障害者雇用での求職等の足がかりとなります。障害の程度にもよりますが、精神保健福祉手帳をお持ちでなくても、診断書によっては、生活訓練や就労訓練などの障害者自立支援法に基づくサービスを受けることができる場合があります。詳しい内容については、高次脳機能障害支援拠点機関へお問い合わせください。
1各種障害者手帳
- 精神保健福祉手帳
高次脳機能障害による記憶、注意障害や遂行機能障害などにより、日常生活や社会生活に制限がある場合に、器質性精神障害として「精神障害者保健福祉手帳の」対象になることがあります。 - 身体障害者手帳
厚生労働省の定めた身体障害者程度等級表に該当する場合に「身体障害者手帳」の対象となります。 - 療育手帳
受傷(発症)が18歳未満で、知能の低下がある場合は、療育手帳を取得できる場合があります。
2障害者総合支援法に基づくサービス
- 障害福祉サービス
障害の種別にかかわらず、地域生活に必要なサービスがあります。サービスの内容は、下記のようなものがあります。各市町村の福祉担当窓口へお問い合わせください。- 自立訓練:自立した日常生活ができるよう生活能力向上のために必要な訓練の提供
- 就労移行支援:一般企業等へ就労を希望する人に、就労に必要な知識や能力向上のための訓練の提供
- 就労継続支援:一般企業等で訓練が困難な人に働く場を提供するとともに知識や能力向上のための訓練を提供
- グループホーム:夜間休日、共同生活を行う住居で、相談や日常生活上の援助を行う。
- 居宅介護:ホームヘルプサービス
- 短期入所:ショートステイ
- 自立支援医療
精神障害者(高次脳機能障害で精神通院医療を必要とされる方を含む)の通院の医療費を軽減します。 - 障害年金
条件をみたしていれば、高次脳機能障害も障害年金の対象となります。記憶障害、感情障害などがある場合には、「精神の障害用」の診断書が必要になります。 - その他の利用できる制度
介護保険、失業保険、自動車事故で高次脳機能障害になった場合には、自動車保険があります。
4.高次脳機能障害ハンドブックのご案内
- 高次脳機能障害ハンドブック 障害の理解編 (PDF 1.6MB)
- 高次脳機能障害ハンドブック 自動車運転再開編(1) (PDF 224.0KB)
- 高次脳機能障害ハンドブック 自動車運転再開編(2) (PDF 306.8KB)
※当ハンドブックのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます。
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このページに関するお問い合わせ
沖縄県 生活福祉部 障害福祉課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟3階(北側)
電話:098-866-2190 ファクス:098-866-6916
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