ジュゴン保護対策・目撃情報
ジュゴンは、環境省レッドリスト及び沖縄県レッドデータブックにおいて、絶滅の危機に瀕している種(絶滅危惧IA類)とされており、また、沖縄県希少野生動植物保護条例に基づく指定希少野生動植物種にも指定されていますが、ジュゴンの生態は不明な点が多く、沖縄県では平成28年度からジュゴン保護方策の検討や生息状況調査等を行っています。
本事業では、過年度の事業結果等を踏まえ、ジュゴンの生息状況調査を実施するとともに、普及啓発などのジュゴンの保護対策を講じていくことを目的としています。
令和5年度調査結果の概要は次のとおりです。
- 情報の収集及び整理
累計38件の目撃情報等があり、その内訳はジュゴンと思われる個体13件、喰み跡(はみあと)21件、糞4件となりました。地域別内訳は、沖縄島周辺が5件、宮古諸島が25件、八重山諸島8件となりました。 - 喰み跡調査
現地調査を行った5海域((1)古宇利・屋我地周辺海域、(2)大浦湾周辺、(3)伊是名島周辺、(4)名護市久志、(5)石垣島名蔵北部)のうち、(1)古宇利・屋我地周辺海域で2地点、(3)伊是名島周辺の8地点、(5)石垣島名蔵北部の1地点において、ジュゴンの喰み跡が確認されました。
〔参考〕
宮古諸島、八重山諸島では、環境省がジュゴンの喰み跡調査を行っており、ホームページで公表しています。
- DNA解析
沖縄島周辺海域(5件)と八重山諸島海域(4件)で採取された大型草食動物の糞をDNA解析しましたが、ジュゴンのDNAは検出されませんでした。 - ジュゴンの分布推定に関する解析
・7年代(1945年以前、1946-1959年、1960-1979年、1980-1999年、2000-2009年、2010 -2019年、2020-2023年)でジュゴンの分布推定を行った結果、1945年以前は離島も含め沖縄県のほとんどの海域に生息していましたが、それ以後現在まで生息メッシュ数は減少し、生息推定地域の減少が確認されました。地域ごとで見た場合、八重山諸島や宮古諸島については、2000年以降は増加傾向にあることが確認されました。これは、近年の八重山諸島や宮古諸島における、新たな目撃情報等による影響が考えられます。
・2010年(平成22年)以降、母子個体と推測される体サイズの異なる複数個体の目撃情報が沖縄島で1件、宮古諸島で1件、八重山諸島で2件(西表島北部と波照間島)確認されています。八重山諸島の個体は同一個体の可能性も考えられるため過大評価しないよう1件とした場合、それぞれの地域で父個体を加えて最低3個体、合計9個体の生息を仮定できます。2019年には沖縄島の1個体が死亡したことから、県内での生息個体数は少なく見積もって8個体と仮定されます。 - 普及啓発
目撃情報の多い宮古島において、地域の漁業関係者等を対象に、ジュゴンや海草藻場の保全への理解と協力を求める会議を開催しました。また、現地調査や各種イベントなどの機会に、目撃情報を呼びかけるパンフレットを配布しました。
詳細は、以下の報告書をご覧ください。
ジュゴンの保護のため、県民の皆様へのお願い
県では、平成29年度に実施したジュゴンの生息状況調査や既存の目撃情報などや、有識者からなる検討委員会の意見を踏まえ、ジュゴンの餌場である主要な海域として7海域(主要海域図)を選定しています。
令和4年度調査において、ジュゴンの喰み跡やDNA検出など生息を示す痕跡が多く見つかっています。また、近年の環境省の調査において、伊良部島周辺海域など先島諸島でも
喰み跡が多く確認されています。
ジュゴンを保護するためには、県民の皆様のご理解とご協力がとても重要です。
県民の皆様におかれましては、改めて下記の取組についてご協力をお願いします。
- 主要海域周辺や伊良部島周辺海域等における船舶等の航行に際し、ジュゴンの存在確認や低速度による航行
- 土地造成や農作業による赤土等流出防止
- 工場排水や農業廃水の水質改善
- 家庭排水等による河川の水質汚濁等の軽減
- 沿岸域への建築物・工作物建設等に伴う潮流の変化の低減
- ごみ対策(ビニール袋や釣り糸などを川や海に捨てない、川や海岸の清掃活動への参加)
また、ジュゴンの目撃情報を収集するための専用のサイトを開設しましたので、目撃情報の提供についてもご協力をお願いします。
目撃情報の提供について
令和3年10月、ジュゴンは沖縄県希少野生動植物保護条例の指定希少野生動植物種に指定されました。
沖縄県では、ジュゴンの保護に資するため、目撃情報を集めています。
今般、多くの皆様から目撃情報を収集することを目的に、以下の専用のサイトを立ち上げました。情報提供のご協力をよろしくお願いします。
IUCN海牛類専門家グループからの書簡及び沖縄県の見解について
国際自然保護連合(IUCN)に設置された海牛類専門家グループは、ジュゴンとマナティー(海牛類)の保護に関して科学的な助言を行う組織です。
今般、科学雑誌に沖縄のジュゴンが絶滅したとする論文(査読前)が投稿されたことを受け、IUCN海牛類専門家グループから、「当該論文の主張が全く信頼に値しない」とする書簡が沖縄県に届きましたので、その内容を以下に公開します。
沖縄県は、県が実施したジュゴンの生息状況調査で、令和2年度に古宇利・屋我地島周辺及び伊是名島周辺海域で、令和3年度に伊是名島周辺海域でジュゴンの喰み跡を確認していることなどから、ジュゴンは生息していると考えております。また、2019年にIUCN海牛類専門家グループを中心とした専門家会議が作成した調査計画(リサーチプラン)に留意しながら調査に取り組んでおり、引き続き生息状況調査を実施するとともに、その結果について随時公表してまいります。
ジュゴン保護対策・目撃情報について
- ジュゴンは太平洋からインド洋、紅海にかけての熱帯亜熱帯の浅海域に生息する海牛類であり、沖縄のジュゴンは世界の北限個体群にあたるとされています。
- かつては、沖縄県全域や奄美諸島などに分布していましたが、今ではワシントン条約附属書1.に掲載され、環境省レッドリスト及びレッドデータおきなわでは絶滅危惧1.A類に指定されています(2019年12月10日に公表されたIUCNレッドリストにおいて、ジュゴンの南西諸島地域個体群が絶滅危惧1.A類にあり、絶滅の危険性が高い状況にあると評価されました)。
- ジュゴンは海草類のみを摂餌するため、その行動範囲が漁業や船舶など人の活動と重なっており、混獲や衝突、餌場の海草藻場の縮小(環境悪化や埋立による消滅)等の脅威に晒されていると考えられています。
- 県では平成28年度からジュゴン保護対策事業を開始し、生息状況調査や普及啓発などの保護対策を実施しています。
ジュゴンおよびジュゴンの喰み跡の目撃情報について
令和3年度の調査において、伊是名島(沖縄県調査)並びに西表島、黒島、伊良部島、来間島及び池間島(いずれも環境省調査)の各沿岸域に発達する海草藻場において、ジュゴンの喰み跡が確認されました。 これについて、詳しくは、下記の県の報告書及び環境省が実施した調査結果報告書でご覧いただけます。
ジュゴンおよびジュゴンの喰み跡の目撃情報が得られた場所(2010年以降の情報)を掲載しています。
ジュゴンの喰み跡について
ジュゴンの食み跡は、餌となる海草藻場に線状などで見られるものですが、ウミガメなどの喰み跡と区別できるよう、沖縄県のジュゴン保護対策事業においては、以下のように定義をしています。
不発弾水中爆破時のジュゴンへの配慮のお願い
不発弾を海中で爆破処理する際、ジュゴンへの影響が懸念されることから、県ではジュゴンへの配慮について求めています。
ジュゴン保護対策事業(平成28年度~)
平成28年度ジュゴン保護対策事業報告書
- 平成28年度:概要版 (PDF 3.3MB)
- 平成28年度:表紙・目次・第1章 (PDF 280.8KB)
- 平成28年度:第2章(その1) (PDF 2.9MB)
- 平成28年度:第2章(その2) (PDF 4.2MB)
- 平成28年度:第2章(その3) (PDF 4.7MB)
- 平成28年度:第2章(その4) (PDF 3.3MB)
- 平成28年度:第3章・第4章 (PDF 403.5KB)
平成29年度ジュゴン保護対策事業報告書
平成30年度ジュゴン保護対策事業報告書
平成31年度ジュゴン保護対策事業報告書
令和2年度ジュゴン保護対策事業報告書
概要版/Report Summary(English)
令和3年度ジュゴン保護対策事業報告書
令和4年度ジュゴン保護対策事業報告書
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このページに関するお問い合わせ
沖縄県 環境部 自然保護課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟4階(北側)
電話:098-866-2243 ファクス:098-866-2855
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