平成17年度赤土等汚染海域定点観測調査
県では、沖縄県赤土等流出防止条例施行後の海域における赤土等の堆積状況及びサンゴ等を経年的に把握するため、平成7年度より本島周辺の9海域及び阿嘉島海域の計10海域で、さらに平成11年度からは石垣島周辺の2海域を追加し、各海域に2~4点の定点を設置して、調査を実施しています。なお、平成17年度は調査回数を各海域4回から2、3回に削減しています。
SPSSとは底質に含まれるシルト状微粒子量のことで、赤土等の堆積の目安になります。本調査により、赤土等の堆積は一般に梅雨期に増大し、台風や季節風により拡散すること、また、その拡散の度合いが各定点の地形等により異なることが分かっています。
赤土等の堆積状況調査について
SPSS測定法(外部サイトへリンク)(海底や干潟の砂や泥などの底質中に含まれる赤土等の量を測定する方法)を用いて、赤土等による汚染状況を把握しています。
測定結果はランク1から8までの8つのランクに分類し、ランク1から5までは自然由来でも起こりうる堆積状況(波浪による岩や砂の研磨によるものや生物活動等により生じるもの)と考えており、ランク6以上の場合を明らかに人為的な赤土等の流出による汚染があると判断しています。
平成17年度調査結果
平成17年度においては、梅雨後調査(6月末~7月頭)で、全12海域中、6海域(50%)がランク5以下と判定され、前年度と比べてかなり悪化傾向にあります。要因としては、梅雨時期に平年の4倍近い降雨があったためと考えられ、その後7月に入って少雨傾向が続いた結果、台風後調査(10月末~11月頭)では例年並みのランクへと回復しています。
※上のグラフは梅雨後調査時の結果です。
本島西側海域におけるSPSSは、例年、梅雨後に最も高くなり、その後徐々に減少し、冬季に最も低くなるという傾向を示しています。平成17年度は梅雨時の記録的な降水により、梅雨後の調査時では著しいSPSS値を示しましたが、10月の調査では、かなりの減少が見られました。これは、本島地方への台風の接近がなかったものの、7月以降の少雨傾向と台風以外の波浪が拡散を促したためと考えられます。また、これまで西側海域の赤土等拡散の主要因は台風時と冬季季節風時の波浪と考えられてきましたが、台風の接近がなくても堆積赤土等が拡散したことから、台風の影響はそれほど大きくない可能性が示唆されました。なお、平成17年度調査においては冬季の2月の調査は行っていませんが、例年どおり季節風によって、更に拡散したものと推測されます。経年変化を見ると、平南川、源河川において平成11年度から平成16年度までの間、梅雨後調査時の最大値は徐々に減少していましたが、前述のとおり平成17年度は減少傾向から増加へ転じました。
本島東側海域におけるSPSSの推移は、西側海域と異なり、梅雨後の7月の他、冬季の2月にも高くなる傾向を示しています。これは、地形的な条件から、冬場の北からの季節風の影響を受けないためだと考えられます。平成17年度は、梅雨時の記録的な降水により、東側海域でも大規模な赤土等の流出が発生し、各海域とも海水の濁りや海底での泥の堆積が確認されました。しかしながら、10月調査時においては平良川、漢那中港川、加武川の3海域で減少傾向を示しており、これは東側海域と同様に7月以降の少雨傾向や波浪による浄化が拡散を促したと考えられます。経年変化を見ると、石川川は14年度以降横ばい状態、他の海域は徐々に減少する傾向がありましたが、平成17年度は、この傾向から外れる結果となりました。
本島南部海域では、例年、SPSSの増減傾向に明確な傾向は見られませんが、梅雨後に増加した後、夏季にいったん減少、冬季にやや増加するという傾向が見られます。これは、本調査域が礁池内にあり、台風等による浄化能力が弱いためや、地形的な条件上、季節風の影響を受けないためだと考えられます。平成17年度は、梅雨後の7月調査時において、海底に泥等が多く堆積した場所は無かったものの、海水がかなり濁り、はたくと泥のまいあがりが見られました。また、東側及び西側と同様に、10月の調査でSPSSの減少が見られました。経年変化を見ると、アージ島では年間変動が大きくなる年度があるものの、全体としては大きな変化はなく、ほぼ横ばいに推移しています。大度海域では、一時期SPSSが増加傾向を示した後に減少又は横ばい状態で推移していましたが、平成17年度はこの傾向から外れる結果となりました。
石垣島海域では、例年、SPSSの増減に明確な傾向は見られず、梅雨後や冬季の他、大雨による一時的な流出が発生した際に増加するというように変則的に推移しています。平成17年度は、宮良川河口域において梅雨前の5月調査時においても各所で泥の堆積がみられ、梅雨後はさらに高い値を示していました。白保海域においては、各定点の堆積状況の推移から、轟川河口から流出する赤土等は、河口付近から徐々に北側に流れていることが示唆されています。経年変化を見ると、宮良川河口域においては、調査開始時の平成11年度以降ほぼ横ばいに推移しており、宮良川からの赤土等流出状況に大きな変化がないことを示しています。白保海域においては11年度から13年度にかけてわずかながら減少傾向を示したあと、ほぼ横ばいで推移しており、轟川からの赤土等流出状況に大きな変化がないことを示しています。
阿嘉島海域は、赤土等汚染のない対照海域として位置づけています。これまでの調査で赤土等の堆積が確認されたことはなく、平成17年度梅雨時の記録的な降雨の影響もありませんでした。
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