議会提案説明(平成30年第3回沖縄県議会定例会)

ページ番号1018986  更新日 2024年1月11日

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知事提出議案説明要旨
(平成30年2月14日提出/沖縄県)

Ⅰ はじめに

ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ。
平成30年第3回沖縄県議会の開会に当たり、まず県政運営に当たっての私の所信の一端を申し述べ、県議会及び県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

第1に、「県政運営に取り組む決意について」申し上げます。
県知事就任から3年余りが経過しました。私は、この間、公約の実現のため、基地問題をはじめ、経済や文化、教育、福祉、保健医療など、様々な分野の課題に全力で取り組んでまいりました。
こうした取組により、入域観光客数は5年連続で過去最高を更新したほか、完全失業率、有効求人倍率、農業産出額、小中学校の全国学力・学習状況調査における全国平均との差など、改善の傾向が顕著な指標がいくつも出ており、県政運営の成果が着実にあがりつつあります。

基地問題については、県民の過重な基地負担の軽減を実現すべく、公約の実現に向けて取り組んでおり、特に、「辺野古に新基地は造らせない」ということを引き続き県政運営の柱に、全力で取り組んでまいります。
同時に、世界一危険とも言われる普天間飛行場の固定化は絶対に許されないと考えており、残り約1年となった5年以内の運用停止を含めた危険性の除去について、政府に強く求めてまいります。
経済面では、発展するアジア市場を取り込む千載一遇のチャンスが訪れている中、「沖縄県アジア経済戦略構想推進計画」に基づく施策を推進し、沖縄経済の成長及び発展を実現してまいります。
就任以来、北京、福建省、香港、マカオ、台湾、韓国、シンガポール等の訪問などを通じて、アジアのダイナミズムを実感するとともに、これらの国、地域が沖縄に対する関心や期待を寄せていることを強く感じております。
昨年11月には、沖縄県と福建省との友好県省締結20周年記念式典の際に、各分野における交流を推進していくことを確認いたしました。
アジアの中心に位置する地理的優位性と、沖縄が誇るソフトパワーなどの強みを活かし、アジア諸国との経済交流に向けた連携を強化するとともに、県経済の発展及び県民生活の向上につなげてまいります。
また、子どもの貧困問題の解消、沖縄全体の底上げにつながる離島の振興、しまくとぅばをはじめとするウチナー文化の普及継承などは、沖縄の未来を築いていくために重要であり、引き続き施策を展開してまいります。
今後とも、関係各方面と丁寧に対話を重ね、沖縄県の更なる飛躍と県民福祉の向上に向け、全力で県政運営に取り組み、「誇りある豊かさ」を実現してまいります。

第2に、「沖縄を取り巻く現状の認識について」申し上げます。
国際社会においては、欧米のいくつかの主要国でグローバル化とは逆の動きが生じています。また、国際テロリズム、地域紛争に伴う難民の発生などが大きな問題となっております。アジアにおいては、著しい経済成長の一方、朝鮮半島や南シナ海における緊張の高まりなどの不安も生じております。
また、AI、IoTなどの情報通信技術の急激な進化と普及による「第4次産業革命」の進展により、産業構造や社会環境に大きな変化が生じております。

我が国においては、政府の平成30年度の経済見通しによると、雇用・所得環境が引き続き改善し、民需を中心とした景気回復が見込まれております。
高齢化を伴う人口減少の時代を迎え、地方創生に向けた取組が引き続き全国各地で推進されております。
また、TPPイレブンや日EU・EPAの合意等により、アジア太平洋圏やEUとの広域的な経済秩序の構築が進められています。

沖縄県内の経済は、観光や雇用関連指標が前年を上回るなど、平成24年以来、景気の拡大が続いております。
平成29年の入域観光客数は約940万人、うち外国人客が約254万人と5年連続で過去最高を更新し、同年8月には、月間で初めて100万人台を記録しました。アジア各地との間の直行便数も平成24年度末の週49便から今年1月末には週201便と大幅に伸びており、那覇空港における国際貨物取扱量も増加しております。
また、県外及び外資系企業によるリゾートホテルなどの進出が続いております。
情報通信関連産業についても、雇用者数は45,000人を超え、売上高は4,200億円を超えております。
年平均の完全失業率は、平成28年の4.4パーセントから平成29年は3.8パーセントと改善し、有効求人倍率については、年平均では復帰後最高値を更新し続け、直近の平成29年12月においても1.15倍と、雇用情勢は着実に好転しております。
その一方で、求人と求職のミスマッチ、若年者等の高い離職率、雇用の質、人手不足などの改善が求められています。これらの課題について取り組み、県民所得の向上につなげてまいります。
また、沖縄県の子どもの貧困率は29.9パーセントと深刻な状況にあり、貧困の世代間連鎖の解決に向けて全力で取り組んでまいります。
周辺諸国との関係については、尖閣諸島の周辺水域を巡る状況を踏まえ、宮古、八重山地域を始め、県民の平穏な生活環境及び県内漁業者の安全確保に向けて、国に要請するとともに、国の関係機関との連携を強化しているところです。県としても、文化や経済など多面的な分野の交流を通じ、諸国民との信頼の構築を図り、地域の平和と発展に貢献してまいります。

第3に、「今後の沖縄振興に向けた取組について」申し上げます。
平成30年度は、沖縄21世紀ビジョン改定基本計画に基づく各種施策を展開することにより、安全・安心に暮らせる優しい社会を構築するとともに、アジアのダイナミズムを取り込むことなどにより、経済全体を活性化させ、安定的に発展する好循環を創りあげていく年となります。
私は、沖縄がもつ地域力、文化力、人間力などのソフトパワーが子や孫の世代まで大切に引き継がれ、未来を拓くエンジンとして十二分に活かされ続けていくことが、極めて重要であると認識しており、このような考え方の下、「経済発展」、「生活充実」、「平和創造」の3つの視点から、施策を展開してまいります。
「経済発展」については、まず、「アジア経済戦略構想推進計画」に基づく取組の具体化を一層推進します。
昨年11月には、同構想推進・検証委員会から、「物流・貿易」、「観光・MICE」、「IT・スマートハブ」、「新たなものづくり」の各分野について、提言がありました。
こうした提言も踏まえ、観光リゾート産業や情報通信関連産業等のリーディング産業の拡充及び強化、戦略的な再生医療産業の創出などをスピード感を持って推進し、平成33年度の目標である県内総生産5兆1,000億円の達成や県民所得の向上に向けて取り組んでまいります。
沖縄MICE振興戦略に基づく産学官連携による取組を加速し、MICE都市としてのブランド力強化とMICE関連産業の創出に取り組みます。大型MICE施設については、早期の供用開始を目指し、関係機関の協力のもと、着実に事業を推進してまいります。
ITの活用による沖縄の産業全体の振興を図るため、成長戦略を提言し、実行する組織として、官民一体となった「沖縄ITイノベーション戦略センター」を設立し、県内産業全体の生産性の向上や高付加価値化を推進します。
また、医療機関等との連携により、アジア等に向けた細胞培養加工施設を核とする再生医療拠点の整備を進めてまいります。
今年11月、青年技能者の技能向上と障害を持つ方々の職業能力の向上、雇用促進等を目的に、沖縄県では初めてとなる「第56回技能五輪全国大会、第38回全国アビリンピック」を開催します。
また、那覇港において22万トン級の大型クルーズ船にも対応した港湾整備を促進し、国際交流・物流機能の強化を図るとともに、航空機整備を中心とする産業の展開を目指し、航空関連産業クラスターの形成を図ります。
鉄軌道を含む新たな公共交通システムについては、国に対し、鉄道に関する新たな特例制度の創設などを求め、計画段階への早期移行に向けて取組を進めます。

「生活充実」については、「しまくとぅば」をはじめとするウチナー文化の普及継承を推進してまいります。
沖縄空手を保存・継承・発展させるため「沖縄空手振興ビジョンロードマップ(仮称)」を策定するとともに、今年8月に沖縄空手国際大会を開催するなど、「空手発祥の地・沖縄」を世界に向けて強力に発信してまいります。
子どもの貧困対策については、「沖縄県子どもの貧困対策推進基金」を活用し、市町村における就学援助の充実等を促進するとともに、国と連携して、県立高校内に居場所を設置し、高校生の就学継続のための支援の充実などに引き続き取り組みます。
また、一定の所得基準に満たないひとり親家庭の高校生等に対しては、経済的な負担になっている通学費の軽減を行うことにより、生活の安定と教育環境の充実を図ります。
さらに、「沖縄子どもの未来県民会議」を中心に、児童養護施設退所児童等に対する大学などへの進学のための給付型奨学金を拡大するなど、県民運動として子どもの学びと育ちを社会全体で支えてまいります。
待機児童の解消に向けて、「黄金(くがに)っ子応援プラン」に基づき、市町村が実施する保育所等の整備や認可外保育施設の認可化の支援及び保育士等の確保に取り組みます。
また、認可外保育施設の入所児童の処遇向上を図るため、給食費支援を拡充します。
放課後児童クラブについては、小学校等の公的施設を活用したクラブの設置促進等に取り組みます。
平成30年4月に開設する「児童心理治療施設」と連携し、社会生活への適応が困難な児童に対する支援の充実を図ります。
こども医療費助成制度については、未就学児を対象に、現物給付を導入するとともに、一部自己負担金をなくし、医療機関窓口での完全無料化を図り、子育て支援の更なる充実に取り組みます。
また、離島の重要性や魅力に対する認識を深めるため、「島あっちぃ事業」や「離島体験交流事業」を引き続き実施し、離島ならではの観光産業の振興を図るなど、離島地域の活性化等を図ってまいります。
下地島空港については一層の利用拡大に取り組みます。
きめ細やかな教育指導を推進するため、少人数学級を小学6年生まで拡大し、学校教育の充実に取り組みます。
また、県内の高等学校1年生を対象に海外渡航予定者のパスポート取得を支援し、グローバル人材の育成を推進します。
那覇市内への新たな特別支援学校の設置については、平成33年度開校に向けて取り組んでおり、障害のある児童生徒の教育の充実を図ります。
平成31年度に沖縄県平和創造の森公園などを会場として開催される「第43回全国育樹祭」の成功に向けて、万全の体制で準備を進め、花と緑あふれる県土づくりに取り組みます。

「平和創造」については、10月30日の「世界のウチナーンチュの日」を中心に、県内外や世界各地で様々な活動が展開されるようウチナーネットワークの継承及び発展に向けた取組を推進してまいります。
基地問題については、平成28年4月の米軍属による殺人等事件、昨年11月の米軍人による飲酒運転死亡事故などにより、県民の尊い生命が失われました。
また、MV-22オスプレイが、平成28年12月に名護市沖で、昨年8月にはオーストラリア東海岸沖で墜落し、CH-53Eが、10月に東村で不時着、炎上し、12月には小学校の校庭に同型機から部品が落下する事故が発生しました。さらに、今年1月には、米軍ヘリが伊計島、読谷村、渡名喜島へ相次いで不時着するなど、米軍等により繰り返される多くの事件・事故は、県民に大きな不安と衝撃を与えています。
このように繰り返される事件や事故、それに対する日米両政府の対応は、沖縄県民の信頼を損ねるだけでなく、今後の日米安全保障体制にも影響を与えるおそれがあります。
過重な基地負担の軽減を図るため、基地の整理縮小をはじめ、日米地位協定の抜本的な見直し、騒音問題や米軍人軍属による犯罪など基地から派生する諸問題の解決に全力で取り組んでまいります。
私は、日米安全保障体制の必要性は理解しております。しかしながら、戦後72年を経た今もなお、国土面積の約0.6パーセントである沖縄県に約70.4パーセントの米軍専用施設が存在する状況は、異常としか言いようがありません。日本の安全保障は、日本国民全体で真剣に考えるべきであります。
このような基本認識のもと、全国知事会をはじめとした様々な場において、日米安全保障体制や沖縄の米軍基地負担の実情等について理解を広げる取組を強化してまいります。
さらに、軍転協や渉外知事会、全国知事会等との連携強化を図るとともに、日米地位協定の見直しの必要性に対する理解が全国に広がるよう取り組んでまいります。
普天間飛行場の移設については、引き続き建白書の精神に基づき、辺野古の新基地建設に反対し、県外移設を求めてまいります。

平成30年度の県政運営に当たっては、「沖縄県アジア経済戦略構想の実現」、「すべての人が希望を持ち安心して暮らせる社会の実現」、「地方創生の推進と誰もが活躍できる社会の実現」、「健康長寿おきなわの復活」、「安全・安心・安らぎの確保」の5項目を「重点テーマ」として、沖縄振興を力強く推進する施策に取り組んでまいります。

私は、職員一人ひとりが、沖縄を愛する心と既存の価値観にとらわれることのない柔軟な発想、向上心をもって、持てる能力が最大限発揮される組織風土づくりを進めます。また、限りある行政資源の下で、より大きな成果を上げるため、平成30年度から新たな計画に基づく行財政改革を実施します。

第4に、「内閣府予算案について」申し上げます。
平成30年度内閣府沖縄振興予算案においては、沖縄振興を推進するための経費として3千億円台が確保され、那覇空港の滑走路増設、子どもの貧困対策、駐留軍用地の跡地利用推進などの経費について、引き続き計上されたほか、沖縄独自の給付型奨学金などが、新たに盛り込まれました。
しかしながら、関係各位の御尽力にもかかわらず、総額として昨年度を下回っていることや、増額を求めていた沖縄振興一括交付金について、県及び市町村の切実な要望が反映されなかったことは、極めて残念であります。
沖縄県としては、沖縄振興予算の更なる効果的な活用を図るため、事業の選択と行政資源の集中に努めるとともに、県を挙げて推進体制を強化し、最大の効果が得られるよう沖縄の振興に全力で取り組んでまいります。

Ⅱ 平成30年度の施策の概要について

次に、平成30年度における施策の概要について、御説明申し上げます。

第1は、沖縄の「経済」を拓く-経済発展プラン-の視点であります。

「自立経済発展資源の創出」について申し上げます。
「沖縄県アジア経済戦略構想」の実現に向けて、東南アジアや北米、ヨーロッパをはじめとした海外駐在員等の拡充及び国内外関係機関や海外事務所、民間との連携を強化し、インフラの整備や貿易、観光などアジアとの経済交流に向けた取組を効果的、効率的に進めてまいります。
また、自然環境、文化資源、スポーツ、農林水産物などをはじめとする産業資源の高付加価値化を促進し、各産業分野において沖縄ブランドの確立を図ります。

「社会資本・産業基盤の整備」について申し上げます。
那覇空港については、滑走路増設事業や国内線・国際線ビル連結施設整備を促進し、空港機能の強化を図ります。
さらに、県内経済界等とも連携して同空港に求められる将来の姿を描き、一層の機能強化及び拡充に取り組んでまいります。

那覇港については、総合物流センター及び臨港道路の整備を推進します。
中城湾港については、航路の拡充や産業支援港湾整備を進め、クルーズ船の受入れについても積極的に取り組みます。
本部港については、物流、人流機能の向上を図り、大型クルーズ船の寄港に対応する岸壁等の整備を推進します。

幹線道路網については、那覇空港自動車道及び沖縄西海岸道路の整備を引き続き促進するとともに、南部東道路等の整備、本島の南北軸と東西軸を結ぶ「ハシゴ道路ネットワーク」の早期構築に取り組みます。
また、大型MICE施設へのアクセスを円滑にする県道浦添西原線の整備を推進します。
沖縄都市モノレールの首里駅から沖縄自動車道西原入口までの延長整備を推進し、平成31年春の開業を目指します。

「沖縄らしい観光リゾート地の形成」について申し上げます。
沖縄のソフトパワーを活用した世界水準の観光リゾート地の形成に取り組みます。平成30年度の入域観光客数は、現在の好調な状況が続けば、1,000万人以上の達成が可能な状況となっております。また、平成33年度までに観光収入1兆1,000億円、入域観光客数1,200万人の達成を目指します。
昨年3月、日本初となるアジア最大の航空会社商談会「ルーツアジア」を沖縄で開催し、その成果として同年11月にシンガポール―那覇間の就航が実現しました。今後、同便及び昨年2月に就航したタイ便を活用し、東南アジア周辺国はもとより、欧州、豪州からの誘客にも取り組んでまいります。
また、国内、東アジアを中心とした豊富な海外の航空路線を活かし、那覇空港のゲートウェイ機能を強化するとともに、急速に拡大するクルーズ市場を取り込んでまいります。
沖縄の優位性を活かし、競合地との差別化を図るため、「Be.Okinawa(ビーオキナワ)」をキーコピーとして国内外で展開してきた沖縄観光ブランド戦略を引き続き推進します。
自然・歴史・文化など沖縄固有の資源を活用したエコツーリズムや農林水産業と連携したグリーン・ツーリズム、ブルー・ツーリズムなどの体験交流型観光を推進するとともに、やんばるの山村資源を活用する森林ツーリズムの推進体制の構築にも取り組みます。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、事前キャンプの誘致や県出身選手の育成のほか、沖縄県への聖火リレーの誘致、開会式等における沖縄文化・芸能の披露等に向けた取組を推進します。

「産業の振興と雇用の創出・安定」について申し上げます。
国際情報通信ハブの形成を目指し、沖縄と首都圏、アジアを直結する高速通信基盤等を活用したアジアとの双方向ビジネスの展開を支援します。
また、AI、IoTなどの先進的なITを活用した産業活性化施策の実施や、産業連携による新たなビジネス創出の支援を行うとともに、全産業において企業経営に資するIT人材の育成に取り組みます。

「アジアをつなぐ、国際競争力のある物流拠点の形成」に向けて、国際航空物流や海上物流の拡充などを進めるとともに、これらの機能を活用する臨空・臨港型産業の集積を促進します。
沖縄物産フェアの拡充や県内企業の販路開拓の支援等により、県産品の県外、アジア市場への販路拡大、販売促進に努めます。
さらに、海外ネットワークを有効に活用し、観光誘客、県産品の海外展開、投資誘引等、戦略的な施策を展開してまいります。
沖縄からアジアへ展開するビジネスモデルを創出し、商流・物流機能の拡充を図ることで、全国の特産品を迅速にアジアへ届ける流通プラットフォームの構築を推進します。また、国内最大級の個別マッチング型国際商談会「沖縄大交易会2018」を民間と共同で開催します。
知的・産業クラスターの形成に向けては、「沖縄科学技術振興ロードマップ」に基づき、沖縄科学技術大学院大学、琉球大学及び沖縄工業高等専門学校を核とした産学官連携によるリーディングプロジェクトの推進や人材の育成及び確保の支援体制を強化してまいります。また、基礎研究から事業展開に至るまでの段階的な支援により、新事業、新産業の創出を促進します。
再生医療や疾患ゲノムの研究を通じて先端医療技術の研究基盤を強化するとともに、感染症分野において産学共同による研究開発等を支援し、国際的な先端医療及び感染症研究の拠点形成を推進してまいります。
また、沖縄の生物資源や地理的優位性等を生かした医薬品、医療機器、機能性食品等の研究開発及び事業化を推進します。

企業誘致については、国際物流拠点産業集積地域や情報通信産業振興地域、経済金融活性化特別地区等の特区や各種税制優遇措置などを活用するとともに、那覇空港内の航空機整備施設の供用を開始し、航空関連企業の集積を図るための誘致活動に取り組みます。

沖縄振興特別措置法及び復帰特別措置法に基づく各種税制措置の延長及び拡充に向けて、産業界と連携して取り組んでまいります。

県内ものづくり産業の振興については、県内企業と誘致企業との連携促進や基盤技術強化支援等の拡充を図るとともに、専門人材の育成、支援体制の構築等に取り組みます。
泡盛製造業については、リーディング企業の育成や経営が厳しい酒造所に対する改善支援など、経営状況に応じた総合的な支援策を展開してまいります。
中小企業・小規模事業者の支援については、市町村や関係機関と緊密に連携し、経営革新や創業の促進、経営基盤の強化、資金調達の円滑化などへ総合的に取り組みます。
また、市町村と連携した商店街への支援などを実施し、県内商業の活性化に取り組みます。

クリーンエネルギーの推進については、沖縄の地域特性を活かした再生可能エネルギーの普及拡大を図るとともに、島嶼型のエネルギー技術開発や、関連企業の海外展開及び国際貢献を促進します。

雇用の安定については、若年者等の離職率の高さや求人と求職のミスマッチ等の課題に引き続き取り組んでまいります。
雇用の質の改善については、優れた人材育成の取組を行っている企業の認証制度の更なる活用を促進するとともに、ワーク・ライフ・バランスの推進、従業員の正規雇用化など、働きやすい環境づくりに取り組む企業に対し、各種支援施策を展開することにより、経営基盤の安定や労働生産性を高め、県民所得の向上につなげてまいります。
また、人手不足については、処遇の改善など労働環境の整備を業界に促すとともに、専門的・技術的分野における外国人材の活用などについても、全庁的に各業界の取組を促進してまいります。
「農林水産業の振興」について申し上げます。
沖縄の地域特性を活かした農林水産業の振興については、戦略品目による拠点産地の形成、おきなわブランドの創出を目指した研究開発、生産基盤の整備、6次産業化のほか、アジアなどへの県産農林水産物の海外輸出、販路開拓に積極的に取り組みます。
また、島嶼県における流通条件の不利性の負担を軽減するため、引き続き輸送コスト低減対策を推進するほか、中央卸売市場における機能の強化を図ります。

農地利用については、農地中間管理機構等を通じて、新規就農者や法人経営体などの担い手の農地利用拡大に取り組みます。

畜産業については、経営基盤の強化に資する取組を実施するとともに、安全・安心な県産食肉等の流通体制の強化を図るため、HACCP(ハサップ)基準に対応した食鳥処理施設の整備に取り組みます。

水産業については、新規漁業就業者を対象とした漁具等の漁業経費の支援などを実施し、漁業就業者の確保及び育成に取り組みます。
また、漁船が自由かつ安全に操業できる漁場を確保するため、ホテル・ホテル訓練区域における使用制限の解除対象水域の拡大及び対象漁業の拡充とともに、日中漁業協定等の見直しを求めてまいります。
日台漁業取決めの影響緩和のための基金を活用し、漁業者の安全操業の確保や水産経営の安定化など、水産業の振興に取り組みます。

第2は、沖縄の「幸せ」を拓く-生活充実プラン-の視点であります。

「地域力の向上・くらしの向上」について申し上げます。
県民がボランティア、NPO活動などへ主体的に参加できる仕組みづくりや、県民や地域組織、企業等の多様な主体が連携した取組を促進します。
働く全ての人が輝ける職場環境の整備を目指し、県では働き方改革の一環として、仕事と生活の両立支援、子育てに優しい職場づくりを率先し、市町村等と連携して、女性が輝く社会づくりに取り組みます。

県内全市町村で構成する沖縄県移住受入協議会の活動を通し、移住者受入れに取り組む市町村の創意工夫を支援するとともに、移住相談会の開催など、移住者の持続的受入れに向けた取組を積極的に推進します。

モノレール旭橋駅周辺地区の市街地再開発については、平成30年度の開業に向けて公共交通機関の利便性の向上を目指したバスターミナルを含む北工区の整備を支援してまいります。

「美ら島の自然環境保全」について申し上げます。
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録に向け、国等と連携し、希少種の保護や外来種対策など、自然環境の保全に取り組みます。
沖縄県自然環境再生指針を踏まえた再生モデル事業や、サンゴ礁保全に向けた白化対策やオニヒトデ対策などに取り組み、自然環境の保全・再生・適正利用を図ります。

生物多様性の保全上重要な情報収集・調査研究・教育普及の拠点となる「国立自然史博物館」の誘致について、取組を進めてまいります。
また、絶滅が危惧されるジュゴンの生息状況等の調査を継続し、保護施策の在り方等、希少生物の保全に向けた取組を推進します。
亜熱帯の特性を活かした沖縄らしい花と緑の景観形成等を目指した取組を進めるため、緑化施策を充実させ、全島緑化を推進します。
また、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の平成31年度供用開始を目指し、工事を着実に進めてまいります。

「誇り高きウチナー文化の普及促進」について申し上げます。
「しまくとぅば普及センター」において、市町村、学校、団体等と連携のもと、県民への普及促進、次世代への継承に取り組みます。
組踊、琉球舞踊、沖縄芝居などの伝統文化や、染織物、陶器、漆器などの伝統工芸の後継者育成に取り組むとともに、国内外への発信力の強化を図ります。
また、県産工芸品の市場ニーズに対応した製品開発等に取り組み、普及や販路拡大を図るとともに、「工芸の杜(仮称)」の平成33年度供用開始を目指し、整備を進めてまいります。
沖縄の歴史文化の核となってきた指定文化財の保護に努めるとともに、「沖縄県史」及び「歴代宝案」の編集刊行に取り組みます。

「健康福祉社会の実現」について申し上げます。
2040年までに平均寿命日本一を取り戻すため、次世代や働き盛り世代の健康づくりの拡大や、健康づくりを担う人材の育成を図るなど、引き続き健康長寿復活プロジェクトを推進します。
また、栄養指導などの健康づくりを推進するため、管理栄養士養成課程を設置する大学の支援に取り組みます。

民生委員・児童委員の充足率向上と活動の活性化を図るとともに、適切な福祉サービスが利用できる体制の構築を推進します。
生活困窮者の相談支援体制の充実、地域における関係機関とのネットワークのより一層の強化に取り組みます。

障害のある人に対する誤解や偏見等をなくす取組を推進するとともに、障害者ITサポートセンターの設置、手話の普及啓発、発達障害に対する地域支援体制の整備等、障害者の地域生活支援に取り組んでまいります。

「子育て・高齢者施策の推進」について申し上げます。
安心して妊娠、出産し、子どもを健やかに育てることができるよう、母子健康包括支援センターの設置を促進するとともに、低出生体重児の低減に取り組みます。

待機児童の計画的な解消や、多様なニーズに対応した子育て支援、保育サービスなどの充実を図ります。
また、要保護児童等への支援やひとり親家庭などの自立支援にも引き続き取り組みます。

介護サービスの充実等、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムを深化・推進するとともに、介護人材の確保対策の強化に取り組みます。
また、入所待機者の解消に向け、特別養護老人ホーム等の施設整備の支援に取り組みます。

「医療の充実」について申し上げます。
北部及び離島地域における医師不足の解消に重点的に取り組むとともに、看護師などの保健医療従事者の養成及び確保、救急医療体制の充実など、地域医療の強化を図ります。また、北部圏域における新たな基幹病院の整備に向けて、県立北部病院と北部地区医師会病院の統合の基本的な枠組みに関する関係者との合意形成に取り組みます。

県立病院については、地域の中核病院として、救急医療や小児医療、周産期医療など、医療提供体制の安定確保に努めるとともに、経営の健全化に向けて、改善に取り組みます。
また、新県立八重山病院については、平成30年10月の開院に向けて整備を進めます。

「安心・安全で快適な社会づくり」について申し上げます。
人に優しい交通手段の確保に向けて、船舶やタクシーにおいてIC乗車券が利用できるよう検討します。
住環境の整備については、県営大謝名団地等の建替を推進するとともに、民間住宅の省エネ化などを促進します。

犯罪の起きにくい安全で安心な沖縄県を実現するため、地域ボランティアや関係団体等と連携した「ちゅらさん運動」を推進し、飲酒運転根絶等の交通安全対策、地域安全対策及び少年非行防止対策を強化し、総合的な犯罪抑止対策に取り組みます。
また、犯罪被害者に対する支援活動の充実、警察安全相談体制の強化や大規模災害への対応、サイバー空間の脅威への対処力向上を図るなど、社会情勢の変化に伴い、多様化する様々な事象に迅速かつ的確に対応します。

DV・ストーカーや性犯罪等の被害未然防止対策を強化するとともに、病院拠点型の「沖縄県性暴力被害者ワンストップ支援センター」を建設し、性犯罪・性暴力被害者に対する支援の充実を図ります。
消費者被害の未然防止と早期救済を図るため、市町村相談体制の充実と消費者への啓発等に取り組みます。

治水・浸水対策、土砂災害対策、高潮対策に取り組むとともに、治山対策による森林の維持・造成を推進し、潮風害の防止、山地災害復旧・予防及び生活環境の保全を図ります。

災害に強い県土づくりのため、老朽化した橋梁や海岸堤防などの改修や民間住宅、ホテル、病院などの耐震診断及び改修等に対する支援に取り組みます。

東日本大震災や熊本地震の教訓を踏まえ、県民の防災意識の向上と迅速な避難行動の確保を図るため、国、市町村、民間事業者等と連携した防災訓練を充実及び強化するとともに、消防防災ヘリコプターの導入を検討します。

安全な水道水を安定的に供給するため、水道施設の計画的な更新、耐震化を推進します。
また、市街地の雨水浸水対策を促進し、下水道施設の整備拡張や計画的な更新、耐震化に取り組みます。

「離島力の向上」について申し上げます。
離島地域においては、港湾・空港施設の機能向上をはじめ道路・公園などの社会基盤整備を推進します。
超高速ブロードバンド環境の整備による情報格差の是正や、本島周辺離島8村への水道水の安定供給と料金低減の取組など、水道広域化に取り組みます。

離島航路に就航する船舶の建造支援など、交通基盤の整備を推進します。
また、離島航路及び航空路の交通コストや割高な生活コストの低減に取り組むとともに、安定した保健医療サービスの提供や離島患者の経済的負担の軽減のほか、離島からの高校進学等の支援など、離島の定住条件の整備に取り組んでまいります。

離島の主要産業であるさとうきびや畜産などの農林水産業の生産性向上、担い手の育成・確保対策、6次産業化支援などを推進します。
また、製糖業の経営安定化に取り組むとともに、肉用牛生産の活性化を図るため、新たな担い手に対する支援を行い、畜産経営に取り組める仕組みを構築します。

「教育の振興」について申し上げます。
学校教育については、教員の指導力向上、授業の改善等、小中学校の学力向上を図ります。また、正規教員率の改善にも引き続き取り組みます。
中高一貫教育等の充実による人材育成を図るとともに、給付型奨学金の実施など、大学等への進学を支援して進学率の向上を図ります。

就学援助を必要とする児童生徒に支援が届くよう、周知広報を実施する取組を推進してまいります。
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置等により、いじめ、不登校、深夜はいかい等の未然防止、早期発見及び早期解決に取り組みます。
県立高等学校3校に軽度知的障害を対象とした併設型の高等支援学校を昨年4月に開校しました。今後も特別支援教育の充実を図ってまいります。
特色ある教育を実践し、個性豊かな人材育成に貢献している私立学校を支援し、私学教育の充実、多様な人材の育成を図ります。

家庭教育の充実を図る「やーなれー」事業を推進するとともに、地域住民等の参画による学習補助や学校支援、子どもたちの放課後の安全・安心な居場所づくりに取り組みます。
また、図書館が未設置の離島などの町村については、移動図書館の実施などにより、読書環境の充実を図るとともに、「知の拠点」となる新県立図書館の今年12月の開館に向けて取り組んでまいります。

欧米やアジア諸国等の海外の短期研修及び海外留学に、高校生を派遣するなど、継続してグローバル人材の育成に取り組みます。

「平成31年度全国高等学校総合体育大会」において、本県では8競技10種目が実施されます。円滑な競技運営に向け、会場地となる市町村等と連携を強化するとともに、本県高校生が活躍できるよう競技力の向上に取り組みます。

第3は、沖縄の「平和」を拓く-平和創造プラン-の視点であります。

「沖縄から世界への平和発信」と「国際交流・協力」について申し上げます。
沖縄平和賞授賞式の実施や平和祈念資料館における戦争体験証言の記録等を通じて、恒久平和を願う沖縄の心を広く国内外へ発信するとともに、次世代に継承する事業を充実させてまいります。
沖縄戦の戦災の惨禍を後世に伝えるため、国と連携し、戦災の記録が確実に残るよう取り組んでまいります。
また、県内の中学・高校で国際協力出前講座を実施するとともに、JICA沖縄と連携して、高校生を開発途上国へ派遣し、将来の国際協力を担う人材を育成します。

「基地問題の解決と駐留軍用地の跡地利用」について申し上げます。
米軍基地に起因する相次ぐ事件・事故は、県民に大きな不安と衝撃を与えております。
県としては、引き続きオスプレイの配備撤回を求めるとともに、米軍機による事故等が発生した際の政府の対応に県の考えを反映させる新たな仕組みを構築し、県民の懸念や不安の払拭を図ってまいります。
また、相次ぐ米軍等による事件・事故の背景には、日米合同委員会の在り方を含めた日米地位協定が根幹にあることから、県においては、平成12年に実施した日米地位協定の見直しに関する要請以降の状況の変化を踏まえ、県内市町村等からの意見も取り入れ、見直し事項を新たに追加し、昨年9月に日米両政府へ要請を行いました。
今後は、米国が他国と締結している地位協定について調査、比較を行い、日米地位協定の問題点を更に明確にしてまいります。
また、環境補足協定に関連する調査の判断基準等について、その明確化を国に求めてまいります。

辺野古新基地に反対する県民世論及びそれを踏まえた建設阻止に向けた私の考えや、沖縄の正確な状況について、米国政府、連邦議会へ伝えるため、平成27年度に米国ワシントンD.C.駐在員を設置しました。その駐在員を活用し、基地問題に関連する情報収集を行うとともに、活動を充実、強化し、有識者会議の開催等、有識者と連携する取組を行うことにより、沖縄の課題解決に努めてまいります。
嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還については、統合計画の確実な実施とともに、内容の具体的な説明、地元意見の聴取の場の設置、跡地利用の円滑な推進等を引き続き政府に対して強く求めます。
とりわけ、牧港補給地区については、7年以内の全面返還に向けて、引き続き、政府と調整を進めてまいります。
また、西普天間住宅地区跡地においては、普天間高校の移設に取り組むとともに、国際性・離島の特性を踏まえた沖縄健康医療拠点の形成を促進してまいります。
さらに、普天間飛行場をはじめとした返還予定地について、関係市町村等と連携し、跡地利用計画の策定を促進します。

戦後処理問題については、不発弾処理問題の早期解決に取り組むとともに、沖縄戦の戦没者の遺骨収集の加速化を図ります。また、所有者不明土地問題について、抜本的解決策を講ずるよう国に求めてまいります。

Ⅲ 提出議案について

次に、甲第1号議案から甲第33号議案までの予算議案について御説明申し上げます。

平成30年度は、「重点テーマ」を踏まえ、沖縄の持つ優位性と潜在力を活かす施策を戦略的に展開するとともに、「沖縄県PDCA」等の反映及び「沖縄県行政運営プログラム(仮称)」の推進により、一つひとつの施策・事業の効率性と実効性の向上に取り組む方針の下、必要な予算を計上いたしました。
その結果、平成30年度当初予算は、
一般会計において、7,310億4,800万円
特別会計において、2,627億6,962万円
企業会計において、1,105億6,866万円
の規模となっております。

また、平成29年度補正予算につきましては、国の補正予算などへの対応や事業の執行状況に応じた所要の補正を行うこととしており、一般会計において4億5,474万9千円の増額、8の特別会計において27億3,824万5千円の減額等を計上しております。これらの補正予算につきましては、先議案件として御審議を賜りますようお願い申し上げます。

次に、乙第1号議案から乙第67号議案までの乙号議案につきましては、条例議案が「沖縄県危険物の製造所、貯蔵所又は取扱所の設置許可申請等手数料条例の一部を改正する条例」など48件、議決議案が「工事請負契約について」など18件、同意議案として「沖縄県監査委員の選任について」を提案しております。
このうち、乙第2号議案「沖縄県職員の退職手当に関する条例等の一部を改正する条例」など3件につきましては、先議案件として御審議を賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、今回提案いたしました議案の説明といたします。
慎重なる御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。

ユタサルグトゥ、ウニゲーサビラ。イッペーニフェーデービル。
タンディガー、タンディ。
シカイトゥ、ミーファイユー。

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