令和5年第1回沖縄県議会定例会(Ⅱ令和5年度の施策の概要)

ページ番号1001596  更新日 2024年1月24日

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知事提出議案説明要旨
(令和5年2月14日提出 沖縄県)

Ⅱ 令和5年度の施策の概要について

次に、これまで申し上げた取組に加え、令和5年度に主に取り組んでいく施策の概要について、御説明申し上げます。
第1は、「経済分野」に関して―新時代沖縄の到来の視点―であります。
まず、企業の「稼ぐ力」の強化と産業の振興について申し上げます。
デジタル社会に対応した足腰の強い経済構造の実現を目指し、リゾテックおきなわによる産業DXの取組を官民あげて推進し、産業の高度化や労働生産性の向上に取り組むとともに、中小企業者等を支援することで稼ぐ力の強化を図ります。
情報通信産業が競争力の高い産業へと成長できるよう、ビジネスモデルの高度化や転換、企業連携による高度なITビジネスの受注拡大の支援に取り組みます。
アジア有数のスタートアップハブを目指し、産学官金が一体となった「おきなわスタートアップ・エコシステム・コンソーシアム」との連携により、スタートアップの促進に取り組みます。
コロナ後も経済発展が見込まれるアジアの活力を取り込む国際物流拠点の形成を推進するため、物流ネットワークの強化に向けて運休路線の復便や新規路線の誘致に取り組むとともに、「沖縄大交易会」等の開催促進により、全国の特産品を沖縄からアジアへ輸出する流通拠点化に取り組みます。
海外市場への販路拡大に向け、各市場のニーズに対応した商品開発や展示会等への出展を支援するとともに、県内事業者の海外展開促進に向けたビジネス交流拠点の形成、海外事務所の機能強化等を推進します。
国際物流拠点産業集積地域制度等を活用した高付加価値を生み出す企業の誘致、航空関連産業クラスターの形成など臨空・臨港型産業の集積を促進するとともに、その効果が地元企業の技術力や製品開発力の向上等につながるよう、企業間のマッチング支援に取り組みます。
また、下地島空港等の離島空港を活用した航空・宇宙関連産業の展開を推進します。
ものづくり産業については、付加価値の高い製品開発や基盤技術の高度化など県内発注を促進する取組に加え、国の研究機関等と連携した県内企業への先端技術導入を促進するとともに、泡盛製造業については、業界が行う自立に向けた取組を支援します。また、本県の優位性を活かした機能性食品や先端医療等の研究開発及び事業化の促進に取り組みます。
共同研究等の支援や産学連携等を推進し、OISTや琉球大学、うるま市州崎地区等を核としたイノベーション創出拠点の形成を促進してまいります。
伝統工芸産業については、おきなわ工芸の杜を拠点として、関係機関等の有機的なネットワークの構築に取り組むとともに、人材の育成、魅力的な商品開発やビジネスモデルの創出を推進します。
地域資源を活用した特産品の振興を図るため、コロナウイルスの感染対策を徹底した「離島フェア」等の開催を進め、離島特産品の販路拡大・プロモーション支援に取り組みます。
中小企業者等の支援については、いわゆるゼロゼロ融資からの借換需要等に対応した資金繰り支援に取り組むとともに、経営革新等による生産性の向上、円滑な事業承継の推進等に支援機関と連携して取り組みます。
世界から選ばれる持続可能な観光地の形成について申し上げます。
地域社会、経済、環境の3つの側面において適切なバランスを長期的に維持し、旅行者・観光客と地域・住民が価値を共有するサステナブル(持続可能)/レスポンシブル(責任ある)・ツーリズムの推進を図ってまいります。
SDGsに適応する観光ブランド力の強化を図るため、ユニバーサルツーリズムの推進や、多種多様なニーズに応じた受入環境の整備に取り組むとともに、本県の自然環境や伝統文化等のソフトパワーを生かした、付加価値の高い多様なツーリズムの推進に取り組みます。
ビッグデータを活用した調査分析手法の導入やVR(仮想現実)等による観光体験コンテンツの創出による域内消費の拡大など価格競争に陥らない観光モデルの拡大や、年間を通して観光需要を平準化する取組等、多彩かつ質の高い観光を推進します。
また、国内外の観光客が安心し満足する質の高いサービスを提供できる観光人材の育成や確保に取り組みます。
スポーツコンベンションの核となるJ1規格スタジアムについては、プロスポーツと連携し、整備に向けた検討を進めてまいります。
今年の夏、FIBAバスケットボールワールドカップ2023が開催されることから、スポーツ振興課内に新たに室を設置し、世界のトッププレーヤーとの交流等により子どもたちが世界に目を向ける機会を創出するとともに、関係市町村等と連携し、地域・経済の振興に取り組んでまいります。
農林水産業の振興について申し上げます。
本県の特性を最大限に生かした農林水産業を展開するとともに、離島・過疎地域における基幹産業としての地位も踏まえつつ、特色ある農林水産物や豊かな農山漁村景観等を活用し、観光産業等との連携による地産地消の推進や各種ツーリズム等の体験交流プログラムの提供など、域内経済循環の促進に取り組みます。
本県の優位性を生かしたブランド産地の形成に向け、生産や経営規模の拡大、スマート農林水産技術等の研究開発の推進、生産基盤の整備など、定時・定量・定品質の実現による生産供給体制の強化に取り組みます。
また、生産段階での衛生・品質管理の徹底や輸送コスト低減対策、マーケットインを意識した出口戦略の強化、中央卸売市場の再整備の方針策定に取り組みます。
さとうきびについては、生産性向上に向けた取組や製糖工場の設備の老朽化対策に向けた支援等を推進してまいります。
担い手の育成・確保や経営力強化に向け、経営安定対策や農地の集積・集約化の促進、新規就業者支援の取組を加速化するとともに、次世代農業担い手の育成の拠点となる県立農業大学校の移転整備について、令和6年4月の開校に向け取り組みます。
この他、耕畜連携等の資源循環型農業の推進や総合的な赤土流出防止対策、地域農林水産物等の活用による6次産業化支援などに取り組みます。
畜産業については、生産基盤の拡大、産業動物獣医師の確保、飼料自給率の向上等による生産資材価格高騰への対応など、各種施策に取り組みます。
林業については、自然環境に配慮した森林施業のほか、県産きのこ類の生産性及び品質の向上と消費拡大に取り組みます。また、去る1月に行ったウッドスタート宣言を契機として、世界に誇る沖縄の森で育った樹木を多くの県民に身近に感じてもらうため、木と触れ、木の良さを知る「木育」を推進してまいります。
水産業については、持続可能な資源管理型漁業や沖縄型のつくり育てる漁業の振興のほか、昨年10月に開設したイマイユ市場を中心に、高度衛生管理による水産物の安定供給や販路拡大等を推進します。
さらに、日台漁業取決め及び日中漁業協定等の見直しを、引き続き、国に要請するとともに、昨年8月に締結したパラオ共和国との覚書のもと設置される農水産業、環境・公共インフラ等の分野別ワーキングチームにおいて、水産技術交流等を着実に進め、漁業者の安全操業の確保や本県漁船の操業継続に取り組みます。
働きやすい環境づくりと多様な人材の活躍促進について申し上げます。
高齢者、障がい者、女性及び若年者など、多様な人材が活躍できる環境づくりと総合的な就業支援、正規雇用の促進に取り組むとともに、離転職者・女性・若年者等の職業能力開発や、業界団体等が行うリスキリングの促進などに取り組みます。
企業の「稼ぐ力」の強化に向け、経営の効率化やイノベーションをけん引する産業人材を育成するとともに、企業内でDXを推進するITエンジニアやデジタル人材等の高度人材の育成に取り組みます。加えて、奨学金返還支援等、企業による積極的な人材投資の促進に取り組みます。
男性の育児休業取得、多様な働き方やワーク・ライフ・バランスの促進により、女性が活躍できる環境づくりに取り組みます。
経済活動の再開に伴う人手不足対策については、多様な人材が活躍できる環境づくりや、求人と求職のマッチングによる労働者の離職防止に加え、各分野における課題やニーズに合わせた人材の育成、確保に取り組みます。
教育分野においては、国際的視野を持ち、国際社会において主体的に行動できる人材育成のための外国語教育及び国際理解教育の推進、ICT環境等の整備をはじめとする情報教育の充実、科学技術人材の育成に向けた理数教育の推進等に取り組んでまいります。
また、産学官相互が恒常的に対話し連携を行うための「地域連携プラットフォーム(仮称)」構築に向けて、引き続き大学等と連携して取り組んでまいります。
自立的発展の実現に向けた基盤整備について申し上げます。
昨年9月に策定した「沖縄県DX推進計画」のもと、民間の力も活用し、行政、生活、産業など様々な分野においてDXを推進します。
那覇空港については、国や関係機関と連携し、利便性の向上、機能強化及び拡充に向けて取り組みます。
那覇港については、港湾計画の改訂により、将来にわたる沖縄全域の持続可能な発展の推進力となる「みなとづくり」に取り組みます。
中城湾港については、新港地区の機能強化・拡充、泡瀬地区におけるスポーツコンベンション拠点の形成、西原与那原地区のスーパーヨット等の受入環境の構築に取り組みます。
過度な自家用車利用から公共交通利用への転換を図るため、沖縄都市モノレール3両編成車両の運行開始を早期に実現するとともに、基幹バスシステムの導入や交通結節点の整備促進、沖縄自動車道の利用促進など、切れ目のないシームレスな交通体系の構築に取り組みます。
また、離島については、空港及び港湾の機能強化を図るとともに、航空路や航路、路線バスの確保・維持に取り組みます。
「ハシゴ道路ネットワーク」の早期構築を図るため、国が実施する那覇空港自動車道の整備を促進し、南部東道路等の整備を推進するほか、良好な沿道景観の創出に取り組んでまいります。
第2は、「平和分野」に関して―誇りある豊かさの視点―であります。
まず、米軍基地から派生する諸問題の解決と駐留軍用地の跡地利用について申し上げます。
沖縄の過重な基地負担を軽減するためには、普天間飛行場代替施設の県内への新たな提供を除き、既に日米両政府で合意されたSACO最終報告及び在日米軍再編に基づく統合計画で示された嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還が確実に実施される必要があると考えます。
しかし、SACO合意から26年、在日米軍再編計画の合意から16年が経過し、統合計画による返還が全て実施されたとしても沖縄の米軍専用施設面積は全国の69パーセント程度にとどまり、沖縄県民が復帰時に期待したいわゆる「本土並み」には依然としてほど遠い状況にあります。
米軍基地が集中することにより、騒音、水質汚染等の環境問題、米軍関係の事件・事故は跡を絶ちません。普天間飛行場、嘉手納飛行場やその他の訓練場の周辺住民は、昼夜を問わない訓練等により、騒音や排気ガスの悪臭等に苦しめ続けられています。
日本の安全保障が大事であるならば、日本国民全体で考えるべきであり、その負担も全国で担うべきであります。県としては、このような基本方針のもと、過重な米軍基地負担の軽減に取り組んでまいります。
普天間飛行場については、引き続き、普天間飛行場負担軽減推進会議等において、県民の目に見える形で負担軽減に取り組むよう求めてまいります。
また、普天間飛行場の固定化は絶対に許されないことから、県内移設の断念やオスプレイの配備計画の撤回を求める建白書の精神に基づき、同飛行場の早期閉鎖・返還を日米両政府に求めてまいります。
辺野古新基地建設問題については、少なくとも全国61の地方議会において、国民的議論で問題解決を求める意見書等が採択されているほか、沖縄の米軍基地を本土に引き取る運動を行う団体が、沖縄を除く全ての地方議会に向けて意見書の採択を求める陳情書を送付しております。これは、全国において沖縄の基地問題について議論が深まりつつあることの表れであると考えており、引き続き、トークキャラバン等を通じ、辺野古新基地建設に反対する県民世論及びそれを踏まえた私の考えを広く国内外に伝え、問題解決に向けた国民的議論を喚起し、理解と協力を促してまいります。
さらに、国連や国際社会に対し、沖縄の基地負担の現状、辺野古新基地建設問題に反対する理由や基地から派生する諸問題の解決の必要性などを発信してまいります。
また、沖縄県が辺野古新基地建設に関し行った処分に対し、国は、本来国民の権利利益の救済を図ることを目的とする行政不服審査法に基づく審査請求を行いましたが、地方自治体が行った処分に対し審査請求の手続を通じて大臣が関与する「裁定的関与」については、自治体が自らの判断と責任において行政を運営するという地方自治の保障の観点から問題であることから、全国知事会と連携し、政府に対し、「裁定的関与」の見直しを強く求めてまいります。
沖縄の基地問題の解決を図るためには、日本政府のみならず、一方の当事者である米国政府に対しても沖縄県自らが直接訴えることが重要であると考えております。これまでの訪米活動やワシントン駐在の活動等においては、連邦議会関係者等に対し、普天間飛行場の現状と辺野古新基地建設の技術的課題に関する説明に加え、米軍基地周辺のPFOS等の問題、米軍人軍属による事件・事故などを説明し、国防権限法案等に沖縄の基地問題に関する記述が反映されるよう継続して働きかけております。また、米国議会向けメディアやWeb系メディア等が県内を直接取材した際には、私から沖縄県の考え方等を発信するなど、様々な取組を通じて、連邦議会関係者等だけではなく、広く米国内において沖縄の基地問題への理解と認識が広がりつつあると考えております。
引き続きワシントン駐在を活用し、米国内での情報収集及び情報発信、有識者と連携した会議の開催及び連邦議会関係者への働きかけ等により沖縄における基地問題の解決に取り組んでまいります。
また、米国政府、米国連邦議会議員の理解と協力を得るためには、私が直接、沖縄の米軍基地問題の実情等を訴えることも重要であると考えており、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、訪米活動を行いたいと考えております。
日米地位協定に関しては、沖縄県が実施した他国地位協定調査の結果を全国知事会や渉外知事会と共有するなどの取組を通じて、全国的に認識が広がりつつあり、全国知事会においてはこれまでに二度、「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で決議しております。引き続き、日米地位協定の抜本的見直しの実現に向けて、全国知事会や渉外知事会等と連携するとともに、様々な機会を捉えて全国に情報発信を行うなど、取組を強化してまいります。
基地周辺住民の生活環境の保全を図るため、嘉手納飛行場、普天間飛行場から日常的に発生する航空機騒音の測定・監視調査を実施し、米軍等関係機関に対し航空機騒音の軽減を求めてまいります。
県土構造の再編につながる戦略的な跡地利用の推進に向けて、関係市町村等と連携を図り、普天間飛行場をはじめとした返還予定地の跡地利用計画の策定を促進します。西普天間住宅地区跡地においては、国及び関係機関と連携し沖縄健康医療拠点の形成に取り組みます。
尖閣諸島を巡る問題については、中国公船等が接続水域の航行や領海への侵入を繰り返していることを踏まえ、関係機関と連携を図り、正確な情報収集に努めるとともに、日本政府に対し、同諸島周辺海域の安全確保、平成26年の「日中関係改善に向けた話合い」の合意事項の意義を尊重し、冷静かつ平和的な外交・対話を通じて日中関係の改善を図ること等を求めてまいります。
平和を希求する「沖縄のこころ」の発信と継承について申し上げます。
戦後77年余が過ぎ、沖縄戦の悲惨な体験の記憶が薄れていく中で、平和を希求する「沖縄のこころ」の発信に向け、平和の礎やちゅらうちなー草の根平和貢献賞などの取組を推進するとともに、沖縄戦の実相・教訓を正しく次世代に伝えていくため、平和学習の充実、次世代へ語り継ぐ担い手の育成・確保等の取組を推進してまいります。
住民を巻き込んだ熾烈(しれつ)な沖縄戦の軍事的中枢施設である第32軍司令部壕の保存・公開に向けた取組を推進するとともに、アジア・太平洋地域の平和発信拠点について、その在り方等の検討を進めてまいります。
また、アジア太平洋地域平和連携推進事業を実施し、同地域における緊張緩和、信頼醸成に向けて様々な分野で連携を図ってまいります。
ウチナーネットワークの継承・発展、国際協力の推進について申し上げます。
「海外ネットワークに関する万国津梁会議」の提言を踏まえ、国内外のウチナーンチュとの継続的交流や、沖縄文化等の継承を担う人材の育成等に取り組みます。
ウチナーネットワークコンシェルジュ機能を拡充しつつウチナーンチュセンターの設置について検討を進めるとともに、第7回世界のウチナーンチュ大会の成果を踏まえ、海外県人会を訪問して意見交換を行い、次世代を担う若者や経済等の交流に取り組みます。
また、在住外国人等が住みやすい地域づくりや県民の異文化・国際理解促進、様々な分野の交流推進に取り組みます。
心豊かで、安全・安心に暮らせる島づくりについて申し上げます。
全ての県民の尊厳を等しく守り、互いに尊重し合う共生の社会づくりを目指し、多様な性のあり方に関する理解促進に向けた啓発活動や、相談支援等に引き続き取り組むとともに、女性が社会のあらゆる分野で活躍できるジェンダー平等を実現するため、男女共同参画を積極的に推進してまいります。
配偶者暴力相談支援センターの拡充等により、配偶者からの暴力相談機能等の充実を図るとともに、「国際家事福祉相談所」を活用し、米軍人や軍属等を相手方とする離婚や子どもの養育費などで悩みを抱える県内女性等への相談支援体制の強化を図ってまいります。
また、犯罪被害者等の支援について、「沖縄県犯罪被害者等支援計画(仮称)」の策定に取り組み、更なる支援体制の強化を図るとともに、消費者被害の未然防止と早期救済に向けた市町村相談体制の充実や消費者への啓発、成年年齢引き下げに対応した消費者教育に取り組みます。
深刻化するサイバー空間の脅威や薬物犯罪、組織犯罪等、多様化する犯罪に的確に対処するため、警察施設を含む基盤整備を推進します。
交通事故のない沖縄県を目指して、交通ルールの遵守とマナーの向上、飲酒運転根絶に向けた取組を進めるとともに、「沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例」に基づき、部局横断的に水難事故防止対策を推進します。
また、「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」に基づき、DVやストーカー事案への対処や性犯罪等の未然防止など、社会の変化を捉えた犯罪抑止対策や適正飲酒の働きかけを推進し、「ちゅらさん運動」を一層深化させます。
大規模災害等に備えた強くしなやかな県土づくりに向けては、無電柱化の推進、道路や港湾、河川、砂防関係施設、海岸堤防等社会基盤の計画的な整備・更新等ハード対策と併せて、市町村と連携し、ハザードマップの作成や県民への周知、より実践的な防災・避難訓練の実施などの防災・減災対策に取り組んでまいります。
戦後処理問題については、不発弾処理の早期解決及び沖縄戦における戦没者の遺骨収集の加速化に取り組むとともに、所有者不明土地問題について、国に対し抜本的解決に向けた法制上の措置及び財政措置の取組を加速するよう求めてまいります。
第3は「生活分野」に関して―沖縄らしい優しい社会の構築の視点―であります。
まず、子育て支援・福祉サービスの充実について申し上げます。
「沖縄子どもの未来県民会議」と連携・協働し、児童養護施設退所児童等に対する給付型奨学金の給付や食支援体制整備など、子どもの学びと育ちを社会全体で支える県民運動を推進してまいります。
また、ひとり親家庭等に対して、生活支援や就労・学び直しの支援等を行うとともに、多様な保育ニーズに対応可能な体制整備、こども医療費助成、「母子健康包括支援センター」の設置促進など、子育て支援を推進してまいります。
若年妊婦等については、相談支援や通所型居場所の支援に取り組む他、宿泊型居場所の提供について検討してまいります。
待機児童解消に向けては、保育士の確保・定着に向けた処遇及び労働環境の改善、潜在保育士の復職支援、認可外保育施設を含めた幼児教育・保育の安全確保と質の向上に取り組みます。
社会生活を営む上での困難を有する子ども・若者及びその家族等に対しては、関係機関と連携し、多角的支援に取り組むとともに、児童養護施設等退所者の自立支援に取り組んでまいります。
子どもの多様な居場所づくりに向けては、公的施設を活用した放課後児童クラブの設置促進や放課後子ども教室への支援などに取り組んでまいります。
また、関係機関と連携した非行防止活動や立ち直り支援により、少年の規範意識の向上と健全育成に取り組みます。
これらの子ども施策に加え、国における「こども家庭庁」の設置に伴う新たな取組に対応できるよう、県の組織編成に取り組みます。

高齢者が生き生きと暮らせる地域づくりに向けては、地域包括ケアシステムの推進、認知症施策や介護人材確保対策の強化、特別養護老人ホーム等の整備支援など介護サービスの充実に取り組んでまいります。
また、沖縄県ちゅらパーキング利用証制度の普及や医療的ケア児等障害のある人への支援強化等に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症の影響等により生活再建に向けた支援を必要とする方々や生活困窮者に対する包括的な支援など、適切な福祉サービスが利用できる体制の構築を推進します。
医療の充実・健康福祉社会の実現について申し上げます。
医療提供体制の充実を図るため、現状を踏まえ、地域医療連携体制の強化や不足が見込まれる医療機能の病床の整備などに取り組むとともに、北部、離島地域の医師不足及び県内全域における医師の診療科偏在の解消などに取り組んでまいります。
また、看護師等の確保と資質向上に取り組むとともに、薬剤師の確保を図るため、県内国公立大学における薬学部設置の早期実現に向けて取り組んでまいります。
公立沖縄北部医療センターの早期整備に向けて、設置主体となる沖縄県北部医療組合を設立し、実施設計等に取り組むとともに、離島診療所への医師派遣や専門医による巡回診療、離島患者の経済的負担の軽減などに取り組んでまいります。
県立中部病院については、その果たす役割や医療機能等のあり方を整理し、将来の建替等も含めた構想策定に取り組んでまいります。
感染症対策については、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえ、あらゆる感染症を想定し、検査体制を迅速に構築できる環境整備、各種予防接種の接種率向上、結核のまん延防止等に取り組んでまいります。
健康づくりに対する県民一人ひとりの意識の醸成、生活習慣を改善するための環境整備、地域や職場等の日常生活における健康づくりを官民一体となって取り組むとともに、令和5年度に口腔(こうくう)保健支援センターを設置し、歯科口腔保健対策の強化を図ります。
生活基盤及び生活環境の充実・強化について申し上げます。
水道施設の計画的な整備や更新・耐震化、本島周辺離島8村の水道広域化に取り組むとともに、持続可能な下水道施設構築に向けた広域化・共同化、施設の増強・更新・耐震化や、都市の浸水対策に取り組みます。
住環境の整備については、県営住宅の計画的な建替え等の推進、住宅の省エネ化やバリアフリー化を促進するとともに、高齢者・子育て世帯等の住宅確保要配慮者への居住支援に取り組んでまいります。
災害時の避難場所、環境緑化や自然の保全、緑とふれあう憩いの場所の創出、レクリエーション活動の場としての都市公園整備に取り組みます。
離島・過疎地域の持続可能な地域づくりについて申し上げます。
離島・過疎地域におけるオンラインの活用も含めた交流促進や観光振興などにより、島々の多様な魅力を発信し、県内外からの離島訪問を促進するとともに、離島におけるテレワーク等の活用を推進します。
また、離島・過疎地域を含む県全体でバランスのとれた人口の維持・増加を目指すため、移住相談会や体験ツアーの開催など、UJIターンの促進・支援を行います。
離島航空路の確保と維持に向けて、離島空港において空港施設の更新整備と機能向上に取り組みます。
空港、港湾等の交通拠点を相互に連結させるため、石垣空港線等の整備を推進するほか、定住条件の整備を図るため、離島港湾の物流・人流機能の向上や利便性向上等を推進してまいります。
情報通信については、南大東島と北大東島を結ぶ海底光ケーブルの令和7年度の供用開始に向けて整備に取り組むなど、災害や障害に強い安定した情報通信基盤を構築してまいります。
世界に誇る自然環境・生物多様性の保全・継承について申し上げます。

環境分野においては、「第3次沖縄県環境基本計画」を策定し、自然環境の保全・再生・適正利用や地球温暖化対策などを推進するとともに、持続可能な循環型社会の構築などを目指してまいります。
脱炭素島しょ社会の実現に向けて、公用車の電動化に加え、新たに事業系バスの電動化に係る補助を行い、取組を強化するとともに、県民一体となった全島緑化の取組を推進します。
生物多様性に優れた本県の自然環境の保全・継承を図るため、希少野生動植物や沖縄固有種の保護対策、外来種対策に取り組むととともに、北部地域の水源の維持や環境保全、地域振興などやんばるの森・いのちの水を守る取組を推進します。
加えて、「第7回『山の日』全国大会」の本年8月開催に取り組むとともに、国立沖縄自然史博物館の設立の早期実現に向け、県民一丸となった設立・誘致活動を加速して取り組んでまいります。
赤土等の流出の更なる防止に向けて、「第2次沖縄県赤土等流出防止対策基本計画」を策定し、総合的な赤土等流出防止対策を推進するとともに、廃棄物の3Rや適正かつ効率的な処理体制の構築、使い捨てプラスチック使用の削減促進、海岸漂着物対策等に取り組みます。
また、食品ロスの削減に向けて、多様な主体が連携し、県民運動として展開していくための各種施策を推進してまいります。
沖縄文化の保存・継承・創造と更なる発展について申し上げます。
琉球歴史文化の日を中心に、沖縄の歴史と文化への理解を深めるとともに、「しまくとぅば普及推進計画」を着実に実施するため、「しまくとぅば普及推進室」を設置し、沖縄文化の基層であるしまくとぅばの保存・普及・継承の促進に取り組みます。
また、文化の継承に向けた担い手育成や伝統的な食文化の普及、文化資源を活用した地域づくりや産業の創出・振興に取り組んでまいります。

沖縄空手の保存・継承・発展のため、指導者・後継者の育成や沖縄空手会館を拠点とした「空手発祥の地・沖縄」の発信、沖縄空手世界大会の定期開催に向けた取組に加え、ユネスコ無形文化遺産の登録に向けた取組を強力に推進します。
沖縄の先人たちの英知が刻まれた貴重な文化財の保護と保存状態を考慮した利活用を推進するとともに、新たな指定に向けた調査や戦災文化財の復元等を進め、貴重な文化遺産の後世への継承に取り組みます。

教育振興について申し上げます。
学校教育については、幼児児童生徒が豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となるよう、学校経営の充実を図り、学校の特色化・魅力化に取り組んでまいります。
また、障害の有無にかかわらず、可能な限り共に学ぶ環境を推進するとともに、障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加を見据え、一人ひとりの教育的ニーズに応える指導を提供できるよう、多様で柔軟な仕組みを整備し、特別支援教育の充実を図ってまいります。
教職員が授業づくりや児童生徒と向き合う時間を十分確保し、働きやすい環境を整えるため、業務の効率化に向けた取組など、学校における働き方改革やメンタルヘルス対策の取組を推進してまいります。
確かな学力を身に付ける学校教育の充実を図るため、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における学力向上の推進、主体的・対話的で深い学びを実践できる教職員の指導力の向上に取り組んでまいります。
高等学校がない離島からの通学・居住に要する経費を支援し、家庭の経済的・精神的負担の軽減に取り組みます。
不登校児童生徒の社会的自立に向け、校内自立支援室の設置等、多様な教育機会の確保や、個々の児童生徒に応じたきめ細かな支援を行うとともに、いじめや不登校等の未然防止、早期対応を図るため、スクールカウンセラーの全校配置や就学継続支援員の配置など、生徒支援体制の構築に取り組んでまいります。
学校における体力向上や食育などの健康教育、交通安全・災害安全等の安全教育の推進に取り組むとともに、子どもたちが被害者にも加害者にも傍観者にもならない「生命(いのち)の安全教育」に取り組んでまいります。
また、教科や総合的な学習の時間等において、地域の歴史や平和に関する教育などに取り組み、平和を希求する心を育んでまいります。
児童生徒等の健やかな育成及び生涯学習環境の充実を図るため、各種関係機関等との連携・協働により、学習情報や学習機会を提供できる体制づくりに取り組みます。
子どもたちが未来に夢と志を持てるよう、教育活動全体を通して、個性を大切にし、個々の能力を伸ばす教育やキャリア教育の充実を図ることにより、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる基礎的・汎用的能力の育成を意識した取組を推進してまいります。

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