ハンセン病を正しく理解しましょう

ページ番号1006475  更新日 2024年1月11日

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ハンセン病とは、「らい菌」という細菌に感染することで起こる病気です。発病すると主に皮膚や末梢神経がおかされ、痛みや温度を感じることができず、その結果、やけどやけがを繰り返し、手足や顔面などが変形する後遺症が残ることもありました。

明治6(1873)年に、ノルウェーの医師、ハンセンが病原菌を発見しました。昭和18(1943)年、米国で治療薬「プロミン」の優れた効果が発表され、日本では昭和21(1946)年からプロミン治療が始まりました。この後いくつもの有効な治療薬が開発され、多くの患者は治っていきました。

有効な治療薬の登場は、世界のハンセン病対策に大きな影響を与え、特別な施設に患者を長期間にわたって強制的に隔離する対策は批判をうけ、国際的に廃止されていきました。

発病には、栄養状態や衛生状況などさまざまな要素が関係するため、現在私たちがハンセン病になることはほぼありませんが、世界的にはアジア・アフリカ地域を中心に年間約20万人の人が発病しています。

日本の政策

ハンセン病が感染症であることが国際的に認められると、日本政府は、明治40(1907)年に法律を定め、療養所に患者を隔離しました。患者の家を医師だけでなく警察官も訪れ、患者の家が消毒されたり、人里離れた療養所に患者を強制的に隔離するという政策を行い、ハンセン病は「とても怖い恐ろしい病気である」という誤った認識を人々に植え付けてしまいました。

昭和6(1931)年の法律改正の頃から、患者を地域から排除する、国と市民が一体となった運動が行われたことで、患者やその家族への偏見や差別が強まり、患者だけでなく、その家族も近所づきあいから疎外され、結婚や就職を拒まれたり、住み慣れた土地から引っ越しを余儀なくされるなどの差別を受けました。

治療薬「プロミン」が、日本では昭和21(1946)年から、沖縄では昭和24(1949)年から使用され、多くの人が治っていきました。入所者は、隔離政策をやめるよう、さまざまな形で声をあげ続けましたが、隔離政策を定めた法律「らい予防法」が廃止されたのは、平成8(1996)年でした。

「らい予防法」は、平成8(1996)年に廃止されましたが、被害を受けた人たちへの謝罪はなく、約90年間にわたって、なぜ隔離政策を続けてきたのか、明らかにされませんでした。そのため、元患者による国の責任を問う裁判が始まりました。平成13(2001)年、熊本地方裁判所は、「らい予防法」が憲法違反であったこと、遅くとも1960年には政策を変更しなければならなかったことなど、国の責任を認める判決を下し、謝罪や賠償を命じました。

また、国の隔離政策により、ハンセン病元患者の家族も、深刻な被害を受けてきたことが令和元(2019)年に認められ、ハンセン病問題基本法(略称)が一部改正され、差別禁止や名誉回復、福祉増進などの施策の対象に「家族」が加えられました。なお、このハンセン病家族訴訟の原告568名のうち、県内在住の原告は244名にのぼります。

私たちが暮らしている社会には、ハンセン病をめぐる差別や偏見が残っています。改正後の法律には、かつてハンセン病を患った人々やその家族に対する、差別や偏見のない社会の実現に向けて、国や地方自治体の責務を定めています。

県内のハンセン病療養所

沖縄県内には、沖縄愛楽園(名護市)と宮古南静園(宮古島市)に二つの国立ハンセン病療養所があります。

療養所は、ハンセン病問題基本法に基づき、地域に開かれた施設として位置づけられています。園内に保育所や特別養護老人ホームが併設されている県外の療養所もあります。

沖縄愛楽園や宮古南静園では、保険診療による外来治療を行っており、地域の人々に利用されています。また、夏祭りやゲートボール大会を開催し、地域住民との交流を行うほか、資料館を設置し、/人権や平和の学びの場となっています。入所者やボランティアガイド、学芸員による園内案内、展示解説なども行われています。

令和5(2023)年5月1日現在の入所者数は、沖縄愛楽園96名(平均年齢:85.6歳)、宮古南静園37名(平均年齢:90.3歳)となっています。

国立療養所沖縄愛楽園

写真:国立療養所沖縄愛楽園

  • 沖縄県名護市済井出1192番地
  • 電話番号:0980-52-8331
  • 電話番号:0980-52-8115

沖縄愛楽園交流会館

1階常設展示室には、当時の様子を伝える写真や証言が展示され、1938年の療養所開所前に患者が各集落から隔離されて暮らしたかやぶき小屋や、戦後に患者が米軍資材を使って建てたコンセット病棟・寝台などが再現されています。また、130人収容の講話室や視聴覚室、企画展示室も併設されています。

  • 開館時間:10時~17時(入館は16時半まで)
  • 休館日:毎週月曜・祝日 ※入場無料
  • 連絡先:電話/ファクス 0980-52-8453
  • Eメール:kouryu.airakuen@gmail.com

写真:沖縄愛楽園交流会館

国立療養所宮古南静園

写真:国立療養所宮古南静園

  • 沖縄県宮古島市平良字島尻888番地
  • 電話:0980-72-5321

国立療養所宮古南静園入園者自治会

電話:0980-72-5441

宮古南静園ハンセン病歴史資料館・人権啓発交流センター

歴史資料館では、隔離政策の歴史を紹介するパネルや、かやぶきの住居の模型などがある展示室、戦争体験などの証言の部屋、入所者の作品展示室の他、実際にあった監禁室が再現されています。

  • 開館時間:10時~16時(入館は15時半まで)
  • 休館日:毎月第4金曜・年末年始 ※入場無料
  • 連絡先:電話 0980-72-5321/ファクス 0980-72-5859

写真:南静園資料館

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〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟3階(北側)
電話:098-866-2215 ファクス:098-866-2241
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