ひきこもり支援(社会的孤立対策)

ページ番号1006133  更新日 2024年10月23日

印刷大きな文字で印刷

  • ひきこもりに関する相談先がわからない
  • ひきこもる子どもがいることを他人に話せない
  • 社会から孤立している

ひきこもりに関して困っていたら、ひとりで悩まないで、まずはご相談ください。

1 ひきこもりとは

明確な定義はありません

「ひきこもり」は、病名や診断名、又は人そのものではなく、状態を表す言葉です。

「不登校」、「ニート」等の用語と状態像としては意味が重なる場合がありますが、それぞれ異なる概念です。

さまざまな定義があり、法令上の定義はないことから、まだ社会的に統一化されていません。

部屋に閉じこもるだけが「ひきこもり」ではありません

よく参照される定義では、ひきこもりを「様々な要因の結果として、社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職員を含む就労、家庭外での交遊)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と関わらない形での外出をしてもよい)を示す現象概念」としています。

この定義においては、自室にひきこもる狭義のひきこもりのほかに、他者と関わらずに近所のコンビニや趣味の用事で出かける場合等は広義のひきこもりと整理し、病気を原因としてひきこもり状態にある方は除外されています。病気を原因とした「ひきこもり」と区別するため、「社会的ひきこもり」を使用する識者もいます。

心の問題を抱える方もいます

病気を原因とした「ひきこもり」ではなくても、長期のひきこもりが原因で心の問題を抱える方がいたり、実際のひきこもり状態の方の中には確定診断がなされる前の精神疾患の方が含まれている可能性は低くないと考えられています。また、障がいを合併している方もいらっしゃいます。

ひきこもりの原因は様々です

ひきこもりのきっかけは、いじめ等による不登校、受験や就職の失敗、職場や学校での人間関係やリストラ等、人によって背景が様々であり、中には特に明確な理由がない場合もあります。

若者特有の問題ではなくなっています

平成30年の内閣府調査では、ひきこもりの長期・高齢化が深刻となっている実態が明らかになっています。高齢化世帯での困窮や社会的孤立の問題(ひきこもりが長期化し、親が80代、本人が50代で生活困窮と介護の問題が一緒に生じる8050問題)としても注目されています。

ひきこもりは長期化すればするほど、心身への影響が大きく、社会参加や就労への道が難しくなり、その人らしく生きることが困難になることが懸念されます。また、家族だけで解決することが難しいといわれています。

心と体が疲れているときは、誰でもひきこもることが必要な場合があります。特別なことではありません。

ひきこもっている人の多くは、苦しい思いをされています。

大切なのは、周りの人たちが孤立しないこと、そして、ひきこもりの状態を非難せず、

当事者の気持ちに寄り添うことを心がけることです。

ひきこもることは、問題ではありません。

ひきこもることで、その人らしく生きることができなくなること、必要な支援が届いていないことが問題です。

ひきこもりの状態は人によって様々で、解決には時間や周りの理解と支援が必要です。

2 これまでの支援施策

様々な分野や制度に基づき実施されています

ひきこもり関連支援は、従来より児童福祉支援、精神保健対策、就労支援など各分野において主に若年層に対する支援として実施されてきました。

ひきこもりに特化した支援としてではなく、制度や分野ごとに各支援が縦割りに実施されてきたことから、多様で複雑な困りごとに対応できる相談窓口が少なく、支援を必要とする人がどこに相談してよいかわかりづらいことが課題となっていました。

国の方針

国は平成21年度よりひきこもりに特化した相談窓口(ひきこもり地域支援センター)を各都道府県及び政令指定都市に整備するためひきこもり対策推進事業を実施し、同センターが一次相談窓口(入口)となり、関係機関と連携して専門支援につなげる体制(出口)を構築しています。

現在ひきこもり支援施策は、主に生活困窮者自立支援制度とセットになって、ひきこもり支援推進事業を軸に展開され、社会参加や就労等の自立に向けた支援となっており、生活困窮者就労準備支援に位置づけられています。

また、子ども・若者育成支援推進法に基づく福祉施策としても実施されています。

3 近年の施策動向

市町村でも支援しています

平成30年度には、住民に身近な市町村におけるひきこもり支援体制の充実を図るため、市町村において早期発見や早期支援開始につなげるための支援拠点づくり(居場所、相談窓口など)がひきこもり支援推進事業を活用して実施できるようになりました。

また、改正社会福祉法の施行により市町村の包括的な支援体制(いわゆる「断らない相談支援」)のため、重層的支援体制整備事業が創設され、市町村において8050問題などの複合的な問題にも対応できる窓口を国庫補助金を活用して設置できることとなりました。

様々な分野でひきこもり支援が意識されるようになっています

近年では、就職氷河期世代支援やコロナ禍における孤独・孤立対策において、ひきこもり状態にある者が支援対象と位置づけられています。

第3次の子供・若者育成支援推進大綱、地域共生社会の実現、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築など、多方面の国の重要な方針において、ひきこもり支援が明記されています。

支援のあり方に対する考えが変わってきています

いずれの方針においても、当事者や家族の孤立を課題とし、ひきこもりの要因の多様性を踏まえつつ、制度や分野を超えて本人や家族の状況に応じて支援する必要について言及されています。

これまでひきこもり施策は「ひきこもり対策」として実施されてきましたが、ひきこもることそのものが悪いものだと捉えられる恐れがあるため、最近では「ひきこもり支援」という言葉に置き換わりつつあります。

また、支援する側とされる側といった従来の関係(支援される側が常に受け身であるという一方向の関係)を超えて、互いに支え・支えられる社会の一員として、人や社会とつながり、一人ひとりが生きがいや役割を持てる社会を目指すエンパワメントの理念に沿った考え方に重きが置かれるようになってきています。

エンパワメントの発想は、支援を必要とする者を社会的弱者として支援するのではなく、本来その人がもっている力を発揮できずにいる社会的障壁を取り除く支援をする(障壁を取り除けば、本人の内なる力によりその人らしく生きていける)という考えです。

まだ少数ですが、「就労」や「就学」により「自立」し、支援が終わるという従来の考えから、就労がゴールではなく、ひきこもりの多様性を踏まえて、「自立」後も必要な方に対して支援がつながるよう配慮するなど、支援に対する考えが変わりつつあります。

4 沖縄県の取組

関係支援機関との相互連携

ひきこもりの原因やひきこもっている期間、ひきこもりの状態は様々であり、若者特有の問題ではないため、就労を目的とした画一的な支援ではなく、就労後も支援が必要な方がつながるよう個別のニーズに応じた多様な支援が求められています。

自分を責めてしまう、やる気ができない、将来に対する不安、昼夜逆転生活による健康問題、家庭内暴力、中には医療の助けが必要なケースもあり、多くはご本人だけでなく家族への支援も必要です。

当事者がセルフ・ネグレクト(自己放任)状態にある場合は、扶養している親亡き後に、「生活困窮」「ゴミ屋敷」「孤立死(孤独死)」等の関連問題が生じることが考えられます。

各支援機関において、ひきこもり状態にある方やその家族からの相談を受け止め、ひきこもり状態の背景となる多様な事情や心情に寄り添い、他の関係機関と相互に連携しながら切れ目のない支援を行うこと目指します。

(主な支援内容)
相談支援(ピアサポート、訪問支援、自助会等への同行支援、民間団体支援(間接支援))、不登校支援、就学支援、社会参加支援(居場所支援、社会体験活動)、生活支援(集団生活、住宅)、就労支援、障害者支援、治療回復支援(心理的なケア、医療機関への同行支援、デイケア)、家族支援(家族教室、講演会)

社会的な偏見への対応

加害者がひきこもり状態にあったとされる事件の報道があると、ひきこもりと犯罪を結びつける偏見が社会に根強くあります。また、ひきこもりの問題を本人(甘え)や家族の問題とする傾向にあります。

ひきこもりに対する周囲の無理解や偏見は、当事者やご家族を苦しめることにつながります。

ひきこもりに関する普及啓発(県ひきこもり専門支援センターによる機関誌や県広報誌などでの情報発信、家族教室、講演会)を行うとともに、地区別の協議会の開催や支援者の人材育成のための研修などを実施します。

相談窓口の整備

ひきこもり支援に関しては、8050問題といった既存の行政支援では対応が難しい事例のように、制度の狭間にあって、年齢別や分野別等の縦割り支援となったり、ひきこもり支援の主担当部署が明確でない自治体が多いのが現状です。

ひきこもり専門の相談窓口が身近になかったり、あっても知られておらず、どこに支援を求めていいかわからない方がいらっしゃいます。また、身近な相談窓口にはプライバシーを気にして相談しにくいといったお悩みを持つ方も少なくありません。

当事者や家族が安心して相談できるよう、県ひきこもり専門支援センターの相談窓口を周知するとともに、身近な役所で相談ができるよう各市町村におけるひきこもりに関する相談窓口の整備を支援します。

5 相談窓口・支援機関

ひきこもり専門相談窓口

沖縄県ひきこもり専門支援センター

ひきこもり状態にある方やそのご家族等を支援するため、ひきこもりに特化した第一次相談窓口として沖縄県が設置するひきこもり地域支援センターです。

県ひきこもり専門支援センターでは、保健師・看護師の資格を持った相談支援専門員がひきこもりでお困りのご本人や家族からの電話や来所(対面)による相談に応じており、相談内容に応じて、医療、保健、福祉、教育、労働等の適切な関係機関と連携して、具体的な支援方法を一緒に考えていきます。

ご本人を支援する中で、訪問による支援が必要となる場合は、直接相談者へ伺う場合もあります。また、医療的なリハビリテーションが必要なときは、県立総合精神保健福祉センターのひきこもりショートケアを紹介しています。

<相談方法> 電話や来所等(※来所での相談をご希望の方は、電話で予約をお願いします。)
<電話番号> 098-888-1455
<相談日時> 月曜日~金曜日 午前10時~12時、午後1時~4時
<アクセス> バス停「南部保健所前」から徒歩3分
〒901-1104 南風原町字宮平212-3 沖縄県立総合精神保健福祉センター内

沖縄県子ども・若者みらい相談プラザsorae(ソラエ)

子ども・若者育成支援推進法に基づき、ニート、ひきこもり、不登校など、社会生活を円滑に営む上で困難を有する子ども・若者(0歳からおおむね39歳以下)を支援するために、沖縄県が設置する子ども・若者総合相談センターです。

子ども・若者の様々な悩みに対応するワンストップ相談窓口として、地域の支援機関と連携して段階的・複合的な支援計画を立案し、社会生活の自立に向けた支援を行います。

ソラエでは、臨床心理士や社会福祉士、精神保健福祉士など各分野の専門家が相談業務にあたり、また、子ども・若者問題に第一線で取り組む大学教授等が専門アドバイザーとして相談支援をバックアップします。

  • ソラエなは
    <電話番号> 098-943-5335
    <開所時間> 火曜日から土曜日(祝日、年末年始等を除く) 午前10時から午後6時
    <対象地域> 北部圏域(下記参照)を除く県全域
  • ソラエなご
    <電話番号> 0980-43-8300
    <開所時間> 月曜日から金曜日(祝日、年末年始等を除く) 午前10時から午後5時
    <対象地域> 北部圏域(名護市、本部町、金武町、国頭村、大宜味村、東村、今帰仁村、恩納村、宜野座村、伊江村、伊平屋村、伊是名村)

自立相談支援機関

生活に関する困りごとや社会との関わりに不安を抱えているなど、生活全般にわたる困りごとの相談窓口として、市等に設置されている自立相談支援機関でもひきこもりに関する相談を受け付けています。すぐに就労が困難な方についても、相談者に寄り添いながら自立に向けた支援を行うほか、他の支援機関につなげます。

身近な相談窓口

令和6年4月時点で41市町村がひきこもりに関する相談窓口を設置しています。

医療機関

精神疾患や発達障害などが疑われる者で未治療又は治療中断である方、又は病的体験や暴力などの問題行動のある事例の中には、入院や通院治療が必要な場合があります。最寄りの保健所又は県ひきこもり専門支援センターでは専門の医療機関を紹介しているほか、治療が必要な方の受診に向けた支援を行っています。

支援団体・自助組織(当事者会、家族会など)

行政の相談窓口以外にも民間の相談窓口があります。同じ境遇の当事者や家族など、仲間同士が体験を共有し合う団体で、回復に大きな効果があると考えられています。

沖縄県ピアサポーター活用支援事業のお知らせ

令和3年度よりコロナ禍においてもひきこもり支援を推進するため、NPO法人に業務を委託し、ひきこもり当事者・経験者(ピアサポーター)によるSNSや電話等によるリモート支援(オンラインサロン(居場所づくり)、オンライン相談)を実施しています。

関連リンク

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 保健医療介護部 地域保健課
〒900-8570 沖縄県那覇市泉崎1-2-2 行政棟3階(北側)
電話:098-866-2215 ファクス:098-866-2241
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。