種苗生産対象種の紹介

ページ番号1011087  更新日 2024年1月11日

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現在の対象種

ハマフエフキ(放流・養殖用)

方言名:タマン
学名:Lethrinusnebulosus

写真:タマン


スズキ目フエフキダイ科フエフキダイ属の魚で、インド・西太平洋の熱帯・亜熱帯海域に広く分布し、日本では千葉県以南でみられます。最大全長は90cmに達する大型種です。沖縄県の沿岸を代表する魚で、県下では「市・町・村魚」にする自治体も少なくありません。ひきが強いので、大物ねらいの夜釣りで人気の魚です。
昭和51年(1976年)から沖縄県水産試験場八重山支場(現沖縄県水産海洋技術センター石垣支所)で種苗生産研究が開始され、昭和54年(1979年)に世界で初めて生産に成功しました。当栽培漁業センターでは開所当初からの種苗生産対象種で、放流用・養殖用として毎年生産しています。

ヤイトハタ(養殖用)

方言名:アーラミーバイ
学名:Epinephelusmalabaricus

写真:ヤイトハタ


スズキ目ハタ科マハタ属の魚で、インド・西太平洋の熱帯・亜熱帯海域に広く分布し、日本では高知県以南でみられます。最大体重50~60kg内外に達する大型のハタで、ときどき大物が新聞の釣りコーナーを賑わせます。
平成4年(1992年)から沖縄県水産試験場八重山支場(現沖縄県水産海洋技術センター石垣支所)で種苗生産研究が開始され、平成8年(1996年)に本県では初めて生産に成功し、翌平成9年(1997年)には20万尾を越える種苗量産に世界で初めて成功しました。沖縄県の養殖魚のホープで、海面生簀や陸上水槽で養殖されています。

スギ(養殖用)

学名:Rachycentroncanadum

写真:スギ


スズキ目スギ科スギ属の魚で、東部太平洋を除く全世界の暖海に分布する1科1属1種の魚です。コバンザメ類と近縁といわれ、サメやオニイトマキエイなどの大型種に寄り添って遊泳する習性があります。
スギの種苗生産や養殖の研究は、テキサスやフロリダなどの北米カリブ海沿岸の研究機関で始まりました。沖縄県へは平成9年頃(1997年頃)に台湾を経由してスギ養殖が導入され、当初は台湾から種苗を輸入して養殖していました。その後、県産種苗の供給を望む声の高まりを受けて、当栽培漁業センターでは平成13年(2001年)から種苗生産に取り組んでいます。体重10gのスギ種苗を4月から養殖し始めた場合、翌年の3月には3.5kgに達する成長が早い魚ですが、類結節症等の魚病に弱いなどの課題もあります。

マダイ(養殖用)

学名:Pagrusmajor

写真:マダイ


スズキ目タイ科マダイ属の魚で、日本を代表する海産魚の一つです。北海道以南の日本列島周辺海域、朝鮮半島南部以南のアジア大陸東沿岸を中心に、尖閣諸島、台湾、南シナ海まで分布しますが、奄美・沖縄の琉球列島には本来は生息しません。
当栽培漁業センターでは、昭和63年(1988年)から県内魚類養殖漁業の振興を目的に種苗生産を開始し、翌平成元年(1989年)から養殖用種苗として本格的に生産・供給しています。平成27年(2005年)からは日長制御のみによる産卵制御を行い、早期種苗生産を実施しています。

シラヒゲウニ(放流・養殖用)

方言名:ガシシ、ガシシャー
学名:Tripneustesgratilla

写真:シラヒゲウニ


ラッパウニ科のウニで、沖縄県では礁内に普通に見られる種です。体は暗い紫色で、棘はオレンジ色や白色。揺すると、叉棘(さきょく)という毒のある黒っぽい粒状の棘が体から離れ出て、刺されると炎症を起こす事があります。
天然海域では、2年ほどでほぼ全ての個体が漁獲または捕食されていますが、飼育下では5年以上は生きる事が分かっています。相模湾以南のインド~西部太平洋に分布し、生殖腺部分が美味で、食用とされ、沖縄で漁獲されるウニは本種です。
シラヒゲウニは近年、資源が著しく減少しています。このため、県では資源の確保とウニ漁業の存続を図るため、当栽培漁業センターで種苗生産を行っています。

ヒメジャコ(放流・養殖用)・ヒレジャコ(養殖用)

ヒメジャコ

方言名:アジケー、ギーラ
学名:Tridacnacrocea

写真:ヒメジャコ


ヒレジャコ

方言名:ウルギーラ
学名:T.squanosa

写真:ヒレジャコ


シャコガイ科に属する二枚貝で、東インド洋から南西太平洋の熱帯から亜熱帯域に分布し、日本では主に琉球列島以南に生息しています。
シャコガイ類は、外套膜の下に共生藻と呼ばれる植物細胞を共生させていて、太陽の光から間接的に必要なエネルギーを得ることが出来ます。このような特異な生態を持つシャコガイは、環境にやさしい未来型の増養殖対象種として期待されています。
ヒメジャコはシャコガイ類の中で最も美味で食用とされる代表種で、潮間帯や浅い海域でサンゴ礁の岩に穿孔して生息し、殻長は最大で15cm程度です。色彩豊かな外套膜を持つため観賞用としても人気があります。
ヒレジャコは礁池の枝状サンゴの間等、ヒメジャコより深い水深に露出して生息します。殻には大きなヒレ状突起が規則的にあり、殻長は40cm程に達します。
また、シャコガイ類は水産資源の保護培養と持続的利用のため、禁漁期間(6月1日~8月31日まで)や制限サイズ(ヒメジャコ:殻長8cm以下、ヒレジャコ:殻長20cm以下)が定められています。
ヒメジャコの増養殖技術開発の歴史は古く、昭和48年から沖縄県水産試験場八重山支場(現沖縄県水産海洋技術センター石垣支所)において取り組まれ種苗の供給を行ってきましたが、平成21年度より栽培漁業センターに種苗生産業務が移管されました。ヒレジャコは平成31年度に移管されました。

オキナワモズク(養殖用)

方言名:スヌイ
学名:Cladosiphon okamuranus

写真:モズク


オキナワモズクは、ナガマツモ科に属する褐藻で、形態は太さ1.5~3mmの褐色から黒褐色の枝が不規則に分岐する琉球列島特産種です。近年オキナワモズクに含まれるフコイダン等の機能性成分が注目されています。
沖縄県で昭和52年より始まったオキナワモズク養殖は、全国のモズク養殖生産量のほとんどを占める程に成長しています。
栽培漁業センターでは、4つの株のフリー盤状体液を生産し、配付しています。それぞれの株は、C株を標準的とすると、O株は枝が高密度で小型、K株は枝が太くて堅い中型、S株は枝が長く柔らかいという特徴があります。

過去の対象種

タイワンガザミ(放流用)

方言名:スーミチャー、チヌガニ
学名:Portunuspelagicus

写真:タイワンガザミ


ワタリガニ科ガザミ属ガザミ亜種の甲幅15cm程のカニで、フィリピン・タヒチ・オーストラリアからアフリカ東岸までのインド~太平洋の熱帯海域に広く分布しており、日本では相模湾以南に生息しています。沖縄では中城湾、金武湾、羽地内海等の内湾的な砂泥底に生息しており、貝類、ゴカイ類、他の小さな甲殻類や魚類などを食べています。雌雄で甲の模様が異なり、雄は非常に鮮やかなで青紫色の地に白の雲紋模様が明瞭であるのに対し、雌は地味な緑灰色で雲紋模様がないことが多く、あったとしても不明瞭です。蒸しガニ、みそ汁などの食材として利用されており、冬場が特に美味です。
昭和59年(1984)から沖縄県栽培漁業センターで種苗生産を開始し、平成16年には316万尾もの稚ガニを生産、出荷し、県内各地に放流しました。種苗は甲幅10mmで出荷していました。近年種苗譲渡の要望数が減ったため、平成21年度で生産を終了しました。

サラサバテイ(放流用)

通称:タカセガイ
学名:Trochusniloticus

写真:サラサバテイ


ニシキウズガイ科の貝で、奄美諸島以南の熱帯西太平洋域に分布し、大きいもので、殻径10cm以上になります。貝ボタンの主原料で、内層の真珠光沢を生かし、各種の装飾細工にも使われています。食用としての需要も高く、サンゴ礁域において漁獲対象となる主要な貝の一つです。
沖縄県では、昭和63年度より種苗生産に取り組み、各地に中間育成礁が造成され、当栽培漁業センターでは、放流用に数十万尾の生産を行ってきました。

チョウセンサザエ(種苗生産・放流技術開発対象種 平成24年度で研究終了)

方言名:ターマ
学名:Turboargyrostomus

写真:チョウセンサザエ


サザエ科に属する巻貝で、小笠原・種子島以南のインド・西太平洋域に分布しています。標準和名はチョウセンサザエと名付けられていますが、朝鮮半島近海には生息していません。美味で沖縄では食用としての需要が高く、サンゴ礁域において漁獲対象となる主要な貝の一つです。資源量が著しく減少しており、種苗放流による資源の増加が期待されます。

チャイロマルハタ(養殖用)

方言名:アーラミーバイ
学名:Epinepheluscoioides

写真:チャイロマルハタ


スズキ目ハタ科マハタ属の魚で、インド・西太平洋の熱帯・亜熱帯海域に広く分布し、日本では高知県以南でみられます。ヤイトハタに良く似た大型のハタで、最大体重30~40kgに達します。ヤイトハタと同様に体表に小点が散在しますが、ヤイトハタが黒色の小点であるのに対して、チャイロマルハタの小点はオレンジ色です。
台湾、東南アジア、中東諸国で広く種苗生産・養殖されています。沖縄県では平成17年(2005年)に種苗生産に成功しました。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 農林水産部 栽培漁業センター
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