亜熱帯森林・林業研究会 設立趣旨
沖縄県は、我が国唯一の亜熱帯・海洋性気候に属する島嶼県である。
この事が、本県特有の自然環境を創り、特に亜熱帯性森林は我が国が誇れる極めて貴重な資源である。
このような森林は、生物地理学的に貴重な生物が生息し、多種多様な生物相を創り出しており、水の循環等と併せた自然生態系の働きと営みにより、美しい県土と清浄な水や空気等多くの恵みを提供している。
我々の先人は、このような森林の生態系としての営みを永続的かつ最大限に活用するために、森林を保全しながら有効に利用するための知恵、技術、制度、生活等の森林文化をはぐくんできた。
我々は、このような先人からの世代を越えた営為の継続を受け、森林の育成、維持、管理を通して、森林の持つ経済的機能を確保するとともに、自然災害の防止、水源のかん養、自然景観や歴史的風致の構成、生活環境や保健文化等公益的機能の発揮を図ることによって、潤いと安らぎのある県民生活の創造に努めているところである。
これらの亜熱帯森林・林業に関する調査・研究は様々な分野で進められているが、総合的なネットワークに基づく意見交換や技術情報を発表する場が確立されているとは言えない。そのため、その成果は必ずしも十分周知されておらず、活用されていない状況にある。
大学、行政、民間等の亜熱帯森林・林業に関わる人々で構成する亜熱帯森林・林業研究会を設立し、これまで大学などの試験研究機関や産業分野等において研鑚されてきた亜熱帯森林・林業に関する技術研究及び行政で実施する施策等について、広く情報の交換や発表の場を設けることは、社会的に極めて有意義かつ必要なことである。
我々は、これまで森林を守り育て利用してきた先人たちの英知を受け継ぐとともに、新たな科学的知見を生かしつつ、より良好な森林を次の世代に引き継ぐことにより、今世紀を人と自然が共生する森の世紀としていかなければならない。
以上のことから、更なる研究の振興と地域及び国際貢献のできる人材の育成を推進するとともに、組織的な活動を通じて東南アジアを始め、亜熱帯・島嶼地域への情報の発信及び交換を行い、相互の発展に寄与するものとする。
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