一括下請負に関する点検要領(案)
1.趣旨
本要領(案)は、工事現場における施工体制の把握において、一括下請負の疑義がある工事を抽出するための要領を定める。
2.点検の方法
1.通達「一括下請負の禁止の徹底について」(平成13年3月30日付け国総建第81号)において一括下請負に該当するとされている要件に合致する工事を一括下請負の疑義がある工事として抽出する。
2.一括下請負に関する点検は、監理技術者等の専任、施工体制、元請及び下請の担当工事、実質関与等について実施する。
3.一括下請負に関する点検は、工事中に1回以上行うものとし、順次点検項目を絞り込むなどの工夫をして効率的に実施する。
4.監理技術者の専任については、専任を必要とする工事全てについて点検する。
5.施工体制、実質関与等については、以下の要件のいずれかに該当する工事について重点的に実施する。一方、元請負人が主たる部分を自ら施工していることが把握できた場合等、一括下請負に該当しないことが明白になった場合には、以降の点検を省略してよい。
重点点検対象工事
- 請負金額が一定額以上でかつ、主たる部分を実施する(最大契約額の)一次下請負人が元請契約額の過半を占めている工事
- 同業種の同規模(ランク)又は上位規模の会社が一次下請にある工事
- 工区割された同時期の隣接工事について同一会社が一次下請等に存在している工事
- 低入札価格調査対象となった工事
- その他、監理技術者の専任に疑義がある工事等の点検の必要を認めた工事
6.重点点検対象工事においては、元請だけでなく、少なくとも三次下請までの自ら施工していないと思われる下請について点検を行う。
7.1回の点検で判定が困難な工事は、点検頻度を増す。
8.点検の結果、必要な場合には元請負人から意見を聞き、一括下請負の疑義がある工事については、建設業許可部局に通知する。
9.主任監督員又は現場監督員は、点検の結果を、様式に記録し、工事検査時に検査員に提示する。
10記録様式は、別紙-3の2「工事現場における施工体制の把握表(一括下請負)」及び別紙-3の3「工事現場における施工体制の把握表(実質関与)」を参考とする。
3.一括下請負の疑義がある工事の判定方法
1.監理技術者等の専任がないことの事実を把握した場合は、一括下請負の疑義がある工事とする。なお、監理技術者等の専任がない場合は、建設業法第26条違反ともなる。
2.元請の実質関与に関しては、別紙-3の3を参考に以下の項目等について点検する。
- 技術者専任
- 発注者との協議
- 住民への説明
- 官公庁等への届け出等
- 近隣工事との調整
- 施工計画
- 工程管理
- 出来型品質管理
- 完成検査
- 安全管理
- 下請けの施工調整及び指導監督
3.別紙-3の3「工事現場における施工体制の把握表(実質関与)」を用いての点検の結果、
ア.;全項目で○。この場合、「元請負人は総合的な企画・調整等全体を実施」とする。
イ.;ア.、ウ.以外。この場合、「元請負人は総合的な企画・調整等を部分実施」とする。
ウ.;全項目で△または×。この場合、「元請負人は総合的な企画調整等を実施していない」とする。
4.一括下請負の疑義がある工事の判定に当たっては、施工体制にも注意し、別紙-2-1「紛らわしいケースでの判定の目安」を参考に判定する。
5.別紙-2-1は、判定の目安であるので以下のような場合は、これらの要素も加味して別途、判定する。
- 当該施工体制についての請負人からの説明に合理性が認められた場合
- 一括下請負の調査に対して不誠実な行為が明らかとなった場合等
別紙-2-1「紛らわしいケースでの判定の目安」に関する補足
全体
1.丸印;一括下請負の疑義がない工事
×印;一括下請負の疑義がある工事
2直営施工;主要機械オヘ゜レータ、労働者を直接に指揮して施工している場合とする。
容の類似性が高いほど、下請金額が大きいほど、下請会社数が少ないほど)2.とは考えにくい。
ケース1
3一括下請負の疑義がある工事においては、「判定」に示した請負人だけでなく、派生的に元請負人及び主たる部分を行う一次下請負人の双方が検討対象となる(以下のケースでも同様)。1.に該当する場合は、一括下請負の疑義がある工事として建設業許可部局に通知することとする。
4「専門工種」;「土木工事一式」「建築工事一式」以外の工事など専門技術に基づく施工管理等を必要とする工事の工種。
52.に関する判断要素;主たる部分を行う一次下請負人の担当工事範囲が広いほど(発注者と元請負人の契約内容と元請負人と下請負人の契約内
ケース3
6「当該一次下請負の請負金額が高い」:異なる工事の主たる部分を実施する一次下請負人等について、概ね当該一次下請人等の請負金額の合計額が、いずれか一方の元請の請負金額を越える場合とする。なお、特許を要する特殊な工法等の場合は、別途検討する。
ケース4
7ケース1からケース3が元請負人と一次下請負人の関係に着目しているのに対し、ケース4は下請負人と再下請負人の関係に着目している。この際、別紙2-1のケース4に例示した施工体系の場合は、一般に1.-2もしくは2.に該当すると考えられる。一方、ケース4の1.-1に該当する場合としては、例えばケース1の2.における一次下請負人が相当する。
8主任技術者の専任がない場合は、建設業法第26条違反ともなる。
なお、専任は、請負金額が2,500万円(建築一式工事では5,000万円)以上の工事について必要である。
紛らわしいケースでの判定目安表
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