大保川
沖縄本島北部大宜味村に位置する大保川は幸地山付近を源として、支川の大工又川、江洲川と合流し、塩屋湾へ注ぎ込んでいます。上流域はイタジイ林を主体とする自然林に囲まれ、原始的な自然空間を呈し、貴重な動植物が生息しています。感潮域となる下流域は、砂州が形成され、マングローブ林となっています。
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大保川における多自然川づくり
大保川下流域の一部(大工又橋~田港橋)では、多自然川づくりとして「段柵工」、「水制工」により整備を行っています。
大工又橋から田港橋までの両岸は自然河岸となっており、水衝部においては河岸の浸食が著しく、災害の一歩手前でした。
これまでの河川整備では、治水を目的としたコンクリートや巨石による画一的な断面で護岸を整備していましたが、水際の変化が乏しくなり、生物の生息環境が悪く、景観的にも課題がありました。
大保川の整備にあたり、これらの課題の克服を目指した整備をすすめました。
多自然川づくり工法選定
- 河岸の防御:法留や根固めにより河岸法尻を護り、護岸法覆工によって河岸を護る。
- 水の主流線対策:水制を用い、水の主流線を河岸から遠ざけ、水制の前面に淵を作る。
上記を勘案して、生態系に配慮し、河床形態、河岸形態を保全・再生しうる「水制工」、護岸法覆工として「段柵工」を採用しました。
水制工
水制工とは、水制前面の平行な流と、水制の間の滞留域により、水をもって護岸を護る工法です。
大保川では水制工を17基設置しています。
段柵工
水際の生物生息の環境と景観を考慮し、石と植生により法面を安定させる工法です。
効果について
水制工により、水の主流線を河岸から遠ざけることができました。また、本区域では、マングローブ域と同等量の水生生物を確認することができ、良好な生息環境を復元することができたと考えています。
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