敷金をめぐるトラブル

ページ番号1003951  更新日 2024年1月11日

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敷金をめぐるトラブルが増えています

賃貸住宅の「敷金」に関して、退去時の返還をめぐる苦情相談が増えています。

そもそも「敷金」とは、一般的に「賃借人が借りた家屋を明け渡すまでに生じた賃借人に対する一切の債権を担保するものである」とされています。この場合の債権とは、家賃の滞納による「未払い賃料債権」と、不注意による破損を引き起こしたときの「損害賠償債権」の2種類です。これら2つの債権がない場合、家屋の明け渡し後に敷金全額が返還されるのが基本です。

しかし、実際にはハウスクリーニングやクロスの張り替え、畳の表替えなど部屋の修繕費用のほとんどを借主が負担させられたり、中には敷金以上の額を請求されるケースもあります。

基本的に賃貸住宅契約では退去時に借主が「原状回復」を行なうことになっており、入居時の状態に戻して返却しなければならないことになっています。

だからといって、どんな損耗でも借主の責任になるということではありません。国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、敷金が充てられるのは、故意や過失によって家屋を激しく損耗させた場合に限られるとのことです。

どこまでが借主の負担?

借主負担
カーペットにこぼした飲み物などのシミ 飲み物などをこぼすことそのものは通常の生活の範囲内なので借主には責任が問われないが、その後の手入れ不足などでシミが残る場合は借主の負担となる。
畳の日焼け 日照による畳の変色は通常の生活では避けられない。建物の構造上の欠陥により畳に日が当たることもあり、借主に責任はないと考えられる(ただし、借主が通知義務を怠った場合は除く)。
家具の設置による床・畳のへこみ 家具の設置は必然的なもので、設置したことだけによるへこみ跡は通常使用による損耗と考えられる。
冷蔵庫下のサビ跡 ふき掃除で除去できる程度であれば、通常の生活の範囲内なので借主には責任はない。しかし、サビを放置したがために床が汚損するといった場合は借主の善管注意義務違反に該当するケースが多い。
引っ越し作業で生じたひっかき傷 借主の善管注意義務違反または過失に該当する場合が多い。
壁にはったポスターや絵画の跡 ポスターなどを長期間はったことでクロスが変色する場合があるが、この原因は日照などによる自然現象なので、通常の生活による損耗の範囲内と考えられる。
壁に空けた穴 ポスターなどを画びょうで壁に刺した程度の穴なら通常の損耗(下地ボードの張り替えが不要な程度)。衣服などの重量物を掛けるために空けたくぎ穴やねじ穴は、通常の使用による損耗を超えると判断されることが多い(下地ボードの張り替えが必要な程度)
タバコのヤニ クリーニングで除去できる程度のヤニは通常の損耗の範囲内。ただし、クリーニングで除去できないヤニはこれに当たらず、借主の管理が悪かったものと判断される。
ハウスクリーニング ゴミの撤去、掃き掃除、ふき掃除、水回り・換気扇・レンジ回りの油汚れの除去などを入居時にきちんと行なっている場合は、退去後のハウスクリーニングは貸主が負担するのが妥当。

トラブルを防ぐためには

1.入退去時に貸主、仲介の不動産業者の立会いの下で部屋の傷や汚れをチェックする

  • 部屋の場所ごとにチェックリストを作る
  • 写真を撮る

2.普段からきれいに使い、汚れを放置しない

  • 台所の油汚れ
  • 風呂場のカビ
  • タバコのヤニなど

3.説明を求め話合う

  • 契約時に契約内容の説明を求める
  • 計算書を見せてもらい、あきらめず交渉する

それでも折り合いがつかないときは、少額訴訟という手段もありますので、県民生活センターにご相談下さい。

(たしかな目2004年8月号より抜粋)

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