令和3年第1回沖縄県議会定例会(Ⅱ令和3年度の施策の概要)
知事提出議案説明要旨
(令和3年2月16日提出 沖縄県)
Ⅱ令和3年度の施策の概要について
次に、令和3年度における施策の概要について、御説明申し上げます。
第1は、「経済分野」に関して―新時代沖縄の到来の視点―であります。
本県の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、深刻な影響を受けていることから、県内事業者の事業継続や雇用の維持等の支援に取り組むとともに、経済活動の回復に向けた取組を展開します。
また、今後も発展が見込まれるアジアの活力を取り込むための施策など、未来を先取りした取組を併せて推進してまいります。
「自立型経済発展資源の創出」について申し上げます。
持続的な県経済の成長・発展に向け、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据え、アジアの活力を取り込むためのインフラの整備やビジネス・ネットワークの連携強化、アジアとの経済交流の活性化に向けた取
組を推進します。
各産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進するとともに、グローバル人材、起業家人材、県内産業の成長に資する人材などの育成を推進します。
「社会資本・産業基盤の整備」について申し上げます。
那覇空港については、利便性の向上を図るとともに、県内経済界等とも連携し、機能強化及び拡充に向けて取り組みます。
那覇港については、総合物流センターにおいて、集貨・創貨の促進を図るとともに、臨港道路やクルーズバース等の整備を推進します。
中城湾港については、東海岸地域の活性化に向けて、新港地区、泡瀬地区の整備を推進するとともに、関係市町村と連携し、新港地区における航路の拡充、産業支援港湾としての機能向上等に取り組みます。
本部港については、物流、人流機能の向上に向けて取り組んでまいります。
沖縄都市モノレールについては、引き続き3両編成化による輸送力増強に向けて取り組みます。
幹線道路網については、那覇空港自動車道及び沖縄西海岸道路の整備を促進するとともに、南部東道路、浦添西原線等の整備を推進し「ハシゴ道路ネットワーク」の早期構築を図ります。
「沖縄らしい観光リゾート地の形成」について申し上げます。
観光振興においては、ウィズコロナからアフターコロナを見据え、一人当たりの消費単価の向上や観光客等の満足度向上など「量から質」への転換を目指します。
沖縄型ワーケーションなど「新しい生活様式」に対応した沖縄観光や自然の保全・継承と持続可能な活用を目指した各種ツーリズム等を促進します。
クルーズ船の受入れ再開に向けて、安全・安心の確保が図られるよう関係機関と連携し、受入体制の構築に取り組むとともに、「国際旅客ハブ」の形成に向けた施策の展開、外国人観光客の受入に向けたICTの活用や通訳育成などに取り組みます。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会については、感染症予防を意識した聖火リレーの実施や事前キャンプの受入市町村の支援等に取り組んでまいります。
スポーツツーリズムの推進については、プロスポーツとの連携の促進やJ1規格スタジアムの整備に向けた検討を進めてまいります。
「産業の振興と雇用の創出・安定」について申し上げます。
産業振興においては、「ResorTech Okinawa(リゾテックおきなわ)」の取組として、スタートアップ企業の支援、人材育成等により、ITを活用した産業振興と国際情報通信拠点の形成を目指します。
Eコマース市場やデリバリー等の販路開拓の支援や産業横断的なマーケティング等の取組を推進し、県産品の販路拡大と販売促進を図ります。
全国の特産品等をアジアへ届ける流通プラットフォームの構築や国境を越えて電子商取引を行う越境ECを促進するとともに、ウィズコロナに対応し、オンラインとオフラインが融合したハイブリッド型の「沖縄大交易会」や「離島フェア」等の開催に向けて取り組みます。
さらに、海外事務所等のネットワークを活用し、戦略的な観光誘客、県内企業の海外展開などに取り組みます。
企業誘致については、国際物流拠点産業集積地域などの特区制度や税制優遇措置などを活用するとともに、賃貸工場の整備、航空関連産業クラスターの形成など、臨空・臨港型産業等の集積を促進します。
ものづくり産業については、付加価値の高い製品開発や生産性の向上、県内発注の促進等により、域内の経済循環を高めるとともに、先端的な研究機関との連携により県内企業への技術導入を促進してまいります。
沖縄科学技術大学院大学をはじめとする県内大学等を核とした企業等との共同研究を支援し、新事業の創出に向け取り組んでまいります。
また、再生医療等の先端医療技術や医薬品・医療機器等の研究開発及び事業化の促進に向けて取り組みます。
泡盛製造業については、販路拡大に向けたマーケティング等を支援するとともに、国との連携による海外輸出の促進に取り組みます。
伝統工芸産業については、後継者育成や原材料の安定確保、製品開発等に取り組むとともに、「おきなわ工芸の杜
もり」の令和4年3月の供用開始に向け、整備を進めてまいります。
中小企業・小規模事業者の支援については、経営革新やIT技術の活用等による生産性の向上、事業承継及び資金調達の円滑化など、総合的な支援を推進します。
また、商工会・商工会議所等の支援体制の強化に取り組むとともに、市町村と連携した商店街への支援等を実施します。
エネルギー分野については、島しょ地域に適した再生可能エネルギーの導入拡大など、低炭素で災害に強い沖縄らしい島しょ型エネルギー社会を目指してまいります。
雇用の安定については、「沖縄県雇用対策アクションプラン」に基づき、雇用維持の取組を推進するとともに、就職困難者等へのきめ細かな支援や新卒者と企業のマッチング促進などに取り組みます。
雇用の質の改善に向けては、ワーク・ライフ・バランスの推進、正規雇用の拡大、働きやすい環境づくり等に取り組む企業の支援を行うとともに、企業、地域、県民の稼ぐ力の向上に資する取組を推進し、県民所得の向上、子どもの貧困の解消につなげてまいります。
「農林水産業の振興」について申し上げます。
農林水産業の振興については、生産者の事業継続や経営安定の対策を総合的に講ずるとともに、多様なニーズに対応した販路の拡大や生産供給体制の強化等「攻めの農林水産業」に取り組みます。
戦略品目の拠点産地形成、研究開発の推進、担い手の育成・確保、生産基盤の整備に取り組みます。
6次産業化や販路開拓などの取組や流通条件の不利性に対応した輸送コスト低減対策を推進します。
農林水産物のブランド化及び海外輸出体制強化に向け、高度衛生管理型荷さばき施設等の整備を進めてまいります。
農地中間管理機構等を通じた農地利用の拡大や中央卸売市場の機能強化に向けて取り組みます。
担い手育成の強化については、沖縄県立農業大学校の移転整備に向けた取組を推進します。
農山漁村地域の多面的機能の保全、環境保全型農業の推進、赤土等流出防止対策など、SDGsの理念に基づく施策を推進してまいります。
さとうきびについては、安定生産に向けた取組や製糖工場の安定操業に向けた支援などを推進してまいります。
畜産業については、経営基盤や生産供給体制の強化、飼料コスト低減対策などに取り組みます。
特定家畜伝染病対策に向けて、「家畜防疫対策班(仮称)」を新設するなど、防疫体制の強化を図ります。
豚熱について、感染防止対策を強化するとともに、豚熱発生農家や制限区域内生産農家への経営支援に取り組みます。
高病原性鳥インフルエンザやアフリカ豚熱などの侵入防止について、国と連携した水際対策や飼養衛生管理基準の指導強化に取り組んでまいります。
林業については、環境保全に配慮した森林施業を実施し、県産木材の利用推進や特用林産物の生産拡大に取り組みます。
水産業については、新規漁業就業者の支援などに取り組むとともに、糸満漁港の加工施設等について、整備を進めてまいります。
ホテル・ホテル訓練区域における操業制限解除区域及び対象漁業の拡大や、日台漁業取決め及び日中漁業協定等の見直しを求めるとともに、日台漁業取決めの影響緩和のための基金を活用し、漁業者の安全操業の確保や水産経営の安定化などに取り組んでまいります。
尖閣諸島を巡る情勢については、県民の平穏な生活環境及び県内漁業者の安全確保に向けて、国に要請するとともに、国の関係機関との連携を強化してまいります。
パラオ共和国の排他的経済水域(EEZ)における本県まぐろはえ縄漁船の安定的な操業継続に向けて、水産技術交流等に関するMOU締結を進め、友好関係の強化を図ります。
国際貿易交渉については、TPP11(イレブン)協定、日EU・EPA、日米貿易協定、地域的な包括的経済連携協定「RCEP(アールセップ)」等の貿易自由化への対応として、TPP等対策予算を措置し、農林水産業の体質強化対策や経営安定対策に取り組みます。
第2は、「平和分野」に関して―誇りある豊かさの視点―であります。
まず、「国際交流・協力の推進」について申し上げます。
国際交流・協力の推進については、JICAと連携し、ウチナーネットワークの安定的な継承と発展に向けたプラットフォームの構築や、将来の国際協力を担う人材の育成を推進します。さらに、アジア諸国等の大規模災害時の支援活動や台風対策等について、「国際災害救援センター(仮称)」の役割を検討します。
「第7回世界のウチナーンチュ大会」の令和4年開催に向けて、機運醸成を図ります。
本県の地理的特性や歴史、ソフトパワーを活かし、国際交流、国際貢献を通じた平和の緩衝地帯の形成を目指します。
「基地問題等の解決と駐留軍用地の跡地利用」について申し上げます。
在沖米軍基地の整理・縮小については、普天間飛行場代替施設の県内への新たな提供を除き、既に日米両政府で合意されたSACO最終報告及び再編に基づく統合計画で示された嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還等を確実に実施するとともに、更なる基地の整理・縮小について具体的な数値目標を設定し、県民の目に見える形で取り組むことを日米両政府に求めてまいります。
普天間飛行場については、県内移設を断念することやオスプレイの配備計画の撤回を求める建白書の精神に基づき、同飛行場の速やかな運用停止を含む一日も早い危険性の除去及び早期閉鎖・返還を日米両政府に求めてまいります。
また、訓練移転等については、県外又は国外への分散移転・ローテーション配備を一層促進することを求めてまいります。
辺野古新基地建設問題については、これまでに小金井市議会や小平市議会等全国約50の地方議会で、国民的議論で問題解決を求める意見書等が採択されており、全国において沖縄の基地問題について議論が深まりつつあると考えております。
今後も、法令に基づく権限を適切に行使するほか、全国でのトークキャラバン等を通じ、県民投票結果をはじめとする辺野古新基地建設に反対する県民世論及びそれを踏まえた私の考えを広く国内外に伝え、国民的議論を喚起し、理解と協力を促してまいります。
加えて、沖縄本島周辺の訓練水域・空域の大幅な削減を行うとともに臨時訓練空域の有無や使用実態を明らかにすること、更なる在沖米軍基地の整理・縮小について、次期日米防衛政策見直し協議(DPRI)や日米安全保障協議委員会(2+2)等で積極的な協議を行うとともに、日米両政府に沖縄県を加えた三者で協議を行う場「SACWO(サコワ)」を設けること等を日米両政府に求めてまいります。
日米地位協定に関しては、他国地位協定調査の結果を全国知事会や渉外知事会と共有し、働きかけを行ったところ、昨年11月の全国知事会議において、新たな「米軍基地負担に関する提言」が全会一致で決議されました。
引き続き、全国知事会や渉外知事会等と連携するとともに、様々な機会を捉えて全国に情報発信を行うなど、日米地位協定の抜本的見直しの実現に向けた取組を強化してまいります。
沖縄の基地問題の解決を図るためには、米国側の理解と協力が重要であると考えております。これまで行ってきた訪米活動やワシントン駐在の働きかけもあり、2020年6月、米連邦議会下院の軍事委員会即応力小委員会は、2021年度国防権限法案に関する報告書に、国防総省に対して辺野古新基地建設予定地地下の強度の検証結果などの提出を求めることを明記しました。軍事委員会では採用されませんでしたが、政府が「唯一の解決策」とする辺野古新基地建設計画に関し、小委員会で懸念が示されたことには大きな意義があると考えております。
米国におけるバイデン新政権の発足を重要な好機と捉え、同政権に沖縄の実情を理解してもらうため、引き続きワシントン駐在を活用し、米国内での情報収集及び情報発信、国連との連携や有識者と連携した会議の開催及び連邦議会関係者への働きかけや沖縄への招へいに取り組んでまいります。
また、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、私が直接訪米し、米国に在住する沖縄県系の方々とも連携しながら、米国政府、米国連邦議会議員等に対し、沖縄の米軍基地問題の実情等を訴えてまいります。
尖閣諸島を巡る問題については、日本政府に対し、同諸島周辺海域の安全確保等の適切な措置を図ること、平成26年に日中両国間で確認された「日中関係改善に向けた話合い」の合意事
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