平成16年 第1回沖縄県議会(2月定例会) 知事提案説明要旨

ページ番号1021043  更新日 2024年1月11日

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イラスト:沖縄県議会

平成16年第1回沖縄県議会(2月定例会)知事提案説明要旨平成16年第1回沖縄県議会の開会に当たり、県政運営に当たっての私の所信を述べ、県議会並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

県づくりの決意

昨年は、イラク戦争の行方や中国、台湾で発生したSARSの沖縄への影響などいくつかの懸念材料を抱えながらスタートしました。

しかし、県民の悲願であった沖縄都市モノレールの開業をはじめ観光客の500万人突破、カンボジア・プノンペン市での花の平和交流事業の実施、2005年IDB総会の開催決定、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターの開設、国立劇場おきなわの開場、日米地位協定の抜本的な見直しに係る各都道府県議会での相次ぐ決議など、県民一体となった力強い取り組みにより大きな成果を上げることができました。

平成16年度には、国立沖縄工業高等専門学校において入学生の受け入れが始まり、国立劇場おきなわの本格的な活用が進み、また沖縄科学技術大学院大学の開学に向けた取り組みが一層具体化していくなど、これまでの努力が実になり発展していくことが期待されています。

私はこの歩みをより確かなものにしてまいります。

本県が発展していくためには、県民自らが、自然や歴史や文化など沖縄が持つ特性を生かして、様々な分野で積極的に挑戦していくことが大切であります。

私は、県民の先頭に立って本県の特性を積極的に生かすとともに、意欲的かつ主体的な県民活動の環境を整え、活力ある美しい県づくりに全力で取り組んでまいります。

世界、我が国及び本県についての現状認識

さて、国際情勢は、中東では、厳しい治安情勢の中イラクの復興に向けて各国の支援が行われており、東アジアでは、北朝鮮問題について日米韓をはじめとする6カ国協議が開始されています。

そうした中で、米国では在外米軍の再編問題が検討され、わが国では自衛隊のイラク派遣が実施されるなど、安全保障をめぐる国際情勢は確実に変化しております。

経済面では、米国の財政赤字増大などの不安材料があるものの、世界経済全体として回復の動きを示しております。

一方、国内においては、日本再生に向けた改革の過程にあり、金融、税財政など改革の芽は現れつつありますが、地方の負担増にならないよう今後ともその動きを注視していく必要があります。低迷が続いた経済は、輸出が好調に推移し、設備投資も増加しており民需中心に緩やかに回復していくものと見込まれております。

本県は、経済面で、観光が好調に推移し、個人消費や投資も堅調に推移するなど、全体として、持ち直しの動きが続いております。

しかしながら、デフレの中で厳しい企業経営を余儀なくされている中小企業も多く、雇用情勢も厳しい状況が続いております。

また、社会面では、犯罪増加の問題や、増大する廃棄物の処理問題があります。

平成16年度政府予算案について

ところで、平成16年度の政府予算案は、内閣府沖縄関係予算が、対前年度比で95.5%、2935億円と決定されました。全国的な国庫補助負担金削減の中にあって、県が要望した、沖縄産学官共同研究事業やIT新事業創出体制強化事業等の産業・科学技術振興関係経費をはじめ多くの新規、主要継続事業の予算が確保されております。

特に、沖縄科学技術大学院大学関連予算については、施設の基本設計費等の開学に向けた必要な予算が確保され、とりわけ、今後の科学技術振興の核となる研究関連の予算が大幅に増額されるなど、本県の振興に配慮されたものとなっております。

平成16年度の取り組みの姿勢

本県を取り巻く状況は、国庫補助負担金や地方交付税の削減など、厳しさを増しながら大きく変わりつつあります。

県内においては、雇用の確保や米軍基地問題の解決をはじめ多岐にわたる課題を抱えております。

こうした状況を踏まえ、平成16年度は、まず、産業の振興と雇用の創出・確保の取り組みを強化し、厳しい経済雇用情勢の改善を図るとともに、大学院大学の設置と科学技術の振興に積極的に取り組んでまいります。

また、自然環境と社会経済活動が調和した環境共生型社会の形成を推進するとともに、豊かで暮らしやすい高度情報通信社会の形成を推進します。

さらに、県民誰もがいきいきと暮らせる健康福祉社会の実現や安全で安心な生活確保の取り組みを強化してまいります。

また、アジア・太平洋地域の社会経済及び文化の発展に寄与する特色ある地域の形成を図るとともに、教育を充実し、これからの沖縄を担う高度で多様な人材の育成に取り組んでまいります。

あわせて、交通基盤や情報通信基盤等の本県発展のための基礎条件の整備を推進してまいります。

米軍基地問題については、単に沖縄という一地域の問題ではなく、我が国の外交・安全保障や国民の人権、環境保護などについてどう考えるかという極めて国民的な問題であり、国民一人一人が自らの問題として受け止めることが重要であります。

私は、あらゆる機会を捉えた具体的な行動の積み重ねが着実な解決につながるものと考えております。

日米地位協定の抜本的見直しについては、昨年実施した全国行動プランに基づく直接行動の成果を踏まえ、積極的に取り組んでまいります。

また、昨年米国国防長官に対して沖縄の過重な基地負担の軽減を訴えたところであります。特に本年は、日米両政府による在沖米軍基地の負担軽減の協議などの動きもあり、引き続き、計画的・段階的な米軍基地の整理縮小及びその跡利用対策に全力で取り組んでまいります。

行財政改革については、県民満足度の高いサービスを効率的に提供するため、県民の視点に立ち、選択と集中の下、時代に相応しい改革を一層推進してまいります。

以上、県政運営に当たっての所信の一端を申し上げましたが、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を重ねてお願い申し上げます。

続いて、平成16年度における施策の概要について御説明申し上げます。

第1は、自立型経済の構築に向けた産業の振興と雇用の創出・確保であります。

まず、「魅力ある観光・リゾート地の形成」について申し上げます。

国際的な観光地の形成に向け、観光振興地域等における利便施設の設置や世界遺産周辺地域の整備を図るとともに、沖縄自動車道通行料金の低減措置を引き続き実施します。

観光客数525万人を目標に、各種プロモーションの実施や観光情報共通プラットホームを構築し、情報発信機能を強化するとともに上海事務所を設置するなど、国内外の誘客に強力に取り組みます。

また、音楽、空手を活用した文化交流型観光、バリアフリー観光などに取り組むとともに離島観光の受入体制を整備します。

コンベンション・アイランドを形成するため、企業コンベンションの誘致・支援を重点的に行うとともに、2005年米州開発銀行年次総会の開催準備を官民一体となって取り組みます。

次に、「未来をひらく情報通信関連産業の振興」について申し上げます。

情報通信関連産業については、多様なニーズに対応した環境を整備するとともに、情報通信産業特別地区制度等の活用やデータセンター等の集積支援、新たなアクセスポイント構築と通信コストの低減化支援等を実施し、積極的な企業誘致を図ります。

また、多様で高度なIT人材を育成します。

次に、「地域特性を生かした農林水産業の振興」について申し上げます。

農林水産業については、環境との調和に配慮しつつ、亜熱帯の自然条件や地域の特性を生かした振興施策を推進します。

おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化

ゴーヤー、マンゴー、肉用牛、モズク等の戦略品目については、品質及び安定供給力の向上に向けた生産施設の整備を促進するとともに、拠点産地を形成し、おきなわブランドの確立を図ります。

さとうきび、豚等の安定品目については、現制度を堅持しつつ生産性の向上を図り、安定的な生産供給体制を維持するとともに、特に、ブランド豚の確立に努めます。

流通・販売・加工対策の強化

流通・販売・加工対策については、市場開拓に積極的に取り組むとともに、農薬の適正使用や食品表示の適正化を促進します。

また、黒糖の高付加価値化など、特色ある加工品の開発を推進します。

農林水産技術の開発と担い手の育成・確保

農業研究センターの整備を進めるほか、農業大学校における短期実務研修の導入など、農業技術・農業経営研修等を充実・強化し、担い手の育成・確保を図ります。

亜熱帯・島しょ性に適合した生産基盤の整備

水利施設、農用地及び畜舎等の農業生産基盤、中層浮魚礁等の水産基盤や森林の整備を進めます。

環境と調和した農林水産業の推進

農林水産業と環境との調和を図るため、天敵昆虫などを利用した防除技術の確立・普及、不妊虫放飼法によるアリモドキゾウムシの根絶等、環境負荷の低い害虫防除を推進します。

また、天敵昆虫の大量増殖等の技術を生かし、企業化を促進します。

次に、「地域を支える企業の育成と創出」について申し上げます。

新事業の創出

新事業の創出については、産学官の連携による研究開発を促進します。

特に、健康・バイオ関連産業については、沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターを拠点に、研究開発、製品化を促進するとともに、総合的な品質向上対策に取り組むほか、特許等の活用を促進します。

さらに、企業経営の高度化に対応できる人材の育成に努めます。

製造業等地域産業の振興

製造業等地域を支える産業を活性化するため、新技術・新製品の研究開発や品質向上に対する企業等の主体的な取り組みを支援します。

また、中小企業の新商品や新サービスの開発等による経営革新を支援します。

効率的な物流システムの構築など市場競争力を強化し、県産品の販路拡大を図ります。

国際通りの商業基盤整備や空き店舗活用を図るなど、商店街の振興を図ります。

企業の立地促進

特別自由貿易地域や金融業務特別地区において、賃貸工場の整備など魅力ある投資環境を整備し企業誘致活動を強化します。

次に、「雇用の安定と職業能力の開発」について申し上げます。

雇用対策については、産業振興策と一体となった雇用の促進と人材育成を進めます。

また、沖縄県キャリアセンターにおいて、職業観の形成から就職に至るまでの一貫した若年者の就職支援を行います。

また、引き続き「緊急地域雇用創出特別事業」を推進し、緊急かつ臨時的な雇用・就業機会の創出を図ります。

職業能力の開発については、企業ニーズに応じた職業訓練や、専修学校等を活用した多様な職業訓練を拡充します。

第2は、「科学技術の振興と国際交流・協力拠点の形成」であります。

科学技術の振興

科学技術の振興については、国際シンポジウムの実施など世界最高水準の沖縄科学技術大学院大学の設置促進に向けた取り組みを強化します。

また、産学官の共同研究開発を推進し、新規産業の創出や既存産業の振興を図ります。

海洋深層水については、製造業や農水産業における研究開発を積極的に進め、新技術・新製品の開発及び事業化を促進します。

国際交流・協力拠点の形成

航空路線網の拡充や航空運賃の低減化に努めるとともに、那覇港において、海外船社等による貨物の集荷や航路の誘致を推進します。

また、那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路等の整備を促進します。

国際交流・協力については、国連機関を含む国際機関誘致に向けた環境整備などに取り組むとともに、ウチナーネットワークの拡充等を進めます。

平和行政については、第2回沖縄平和賞を実施し、平和を希求する「沖縄の心」を世界に発信します。

第3は、「環境共生型社会と高度情報通信社会の形成」であります。

ゼロエミッション・アイランドの実現に向けた取り組み

リサイクル技術の確立や、廃自動車の資源回収システムの構築に向けた実証事業を行うとともに、廃棄物の不法投棄防止対策を強化します。

また、ダイオキシン類対策や廃棄物等の循環利用が可能な廃棄物処理施設を整備するとともに、公共が関与する廃棄物処理施設の整備方策を検討します。

豊かな自然環境の保全

県庁において環境マネジメントシステムを構築し、ISO14001を認証取得します。

赤土等の流出防止のため、関係者が一体となった取り組み体制の確立、各種発生源対策の強化など、総合的な対策を講じます。

快適で潤いのある生活環境基盤の整備

快適な都市空間の形成を図るため、豊見城市地先開発事業、旭橋駅周辺地区再開発、土地区画整理事業等を促進するとともに、真地久茂地線等の街路、中城公園等の公園緑地、下水道の整備を進めます。

また、高齢者、障害者等向けの多様な住宅の供給を進めます。

農山漁村については、グリーン・ツーリズム等を支援するとともに、集落排水施設など生活環境施設の整備を進めます。

県土保全と防災

防災対策については、日頃から防災訓練に努めるとともに、関係機関との連携を強化します。

県土保全については、治山、治水、海岸事業等を推進し、災害に強い県土づくりに努めるとともに、国場川、比謝川及び宇座海岸等自然と親しめる憩いの場を創出します。

高度情報通信社会の形成と行政サービスの充実

高速・大容量・低コストを実現する多様な情報通信基盤の整備を促進します。

電子県庁の推進については、申請・届出など行政手続きのオンライン化等の情報化施策に取り組みます。

第4は、「健康福祉社会の実現と安全・安心な生活の確保」であります。

健やかでいきいきと暮らせる社会の形成

認可外保育施設の認可化を含めた保育所の整備等を促進するとともに、母子の健康の増進を図るほか、児童虐待の防止及び早期対応に努めます。

高齢者が安心して暮らせる社会の形成を目指し、介護予防・生活支援対策を推進するとともに、生きがい対策の充実を図ります。

障害者の自立と社会参加を図るため、バリアフリー化や相談支援事業等在宅福祉サービスを充実します。

安心して暮らせる保健医療の充実

保健医療については、高度で多機能な県立病院を整備するほか、医師、看護師等医療従事者の養成確保を図ります。

また、救急医療の充実に努めるとともに、医療安全対策を推進します。

活力ある健康・長寿社会を目指し、「健康おきなわ2010」に基づき、住民参加型の総合的な健康づくりを推進します。

さらに、食の安全を確保するため、生産履歴の整備や食中毒予防対策の強化など、生産から消費までの総合的な施策を推進します。

ともに支え合う社会の構築

男女共同参画社会の実現のため、女性の社会参画を促すとともに、女性リーダーを養成します。

また、配偶者等からの暴力に対しては、関係機関と連携した防止対策や加害者対策、被害者等への相談・保護・援助に取り組みます。

安全・安心な地域社会づくり

県民の安全・安心の確保については、昨年制定した「ちゅらうちなー安全なまちづくり条例」に基づき、県、警察、県民等が一体となって犯罪のない安全で安心して暮らせる社会の実現に努めます。

特に、身近な街頭犯罪や侵入犯罪の抑止対策を強化するとともに、ハイテク犯罪、廃棄物の不法投棄などの環境犯罪、暴力団の取締り等に対応した治安対策を総合的に推進します。

また、関係機関と連携した総合的な少年非行防止対策の強化や被害者支援活動、警察安全相談業務の拡充のほか、空き交番の解消に努めます。

さらに、ヤミ金融や悪質商法等による消費者被害及び多重債務などの消費生活相談に迅速かつ適正に対応するとともに、ヤミ金融業者に対する取締りの強化や、消費者への情報提供と啓発に努めます。

交通事故を抑止するため、参加体験型の交通安全教育を推進するとともに、新交通管理システムの整備や飲酒運転撲滅対策を推進します。

第5は、「多様な人材の育成と文化の振興」であります。

学校教育の充実

学校教育については、学力向上対策や心の教育の充実、地域に開かれた学校づくり等を進めるほか、中高一貫教育を各地域において一部導入します。

また、子どもの居場所づくりに取り組み、不登校児童生徒や中途退学等の対策を強化するとともに、進路指導の充実を図ります。

国際化・情報化に対応し、外国人による語学指導や小学校における英会話活動及び情報教育等の充実を図ります。

高等教育については、国際性豊かな人材の育成を図るため、米国等への留学生派遣を進めます。

私立学校などに対する助成を行い、個性豊かな私学教育の振興を図ります。

青少年の健全育成と生涯学習の推進

青少年の健全育成については、青少年交流体験事業などを実施するとともに、青少年の深夜はいかい防止一斉行動や青少年を取り巻く環境の浄化など健全な社会環境づくりを進めます。

また、いじめに悩む子どもを支援し、児童生徒の心の問題に取り組みます。

生涯学習の推進については、広域的な学習機会の拡充を図ります。

文化とスポーツの振興

文化の振興については、県民の多様な芸術文化活動を促進します。

また、県立博物館新館・美術館の建設を推進するとともに、国立劇場おきなわを活用し、組踊をはじめとした沖縄の伝統文化の振興及び普及を図ります。

また、国民体育大会九州ブロック大会を開催するとともに、平成22年度の全国高等学校総合体育大会の開催に向けた取り組みを進めます。

第6は、「持続的発展を支える基盤づくり」であります。

空港・港湾・道路等の整備

空港については、那覇空港の沖合いへの空港施設の展開等に向けた条件整備に取り組むとともに、新石垣空港の事業採択に向けて取り組みます。

港湾については、那覇港廃棄物埋立護岸を整備するとともに、中城湾港の新港地区などを整備します。

道路については、那覇空港自動車道、沖縄西海岸道路等の整備を促進するとともに、国道507号津嘉山バイパス等を整備します。

都市モノレールについては、利用の促進を図るとともにバス路線再編を促進し、モノレールとバスの合理的な機能分担を図ります。

また、生活バス路線を維持・確保するとともに、交通渋滞の緩和や公共交通の利便性の向上に取り組みます。

水資源の開発

水資源の安定確保については、大保ダムの建設等を促進するとともに、西系列水源開発事業や新石川浄水場等の建設を推進します。

第7は、「離島・過疎地域等の振興」であります。

離島・過疎地域については、生活環境面での不利性を軽減するとともに、豊かな自然環境などの優位性を生かした地域づくりを促進します。

産業の振興

観光・リゾート産業については、エコツーリズム等の体験・滞在型観光を促進します。

農林水産業については、かんがい施設等の農林業生産基盤の整備を進めるとともに、南大東漁港等の整備を進めます。

また、農林水産物の特産品開発を促進するとともに、観光需要を含む地産地消体制の整備を図るほか、離島フェアの開催を支援します。

交通通信体系・生活環境基盤等の整備

生活路線としての離島航路、バス路線及び離島航空路の維持・確保に努めます。

古宇利大橋を開通するとともに、伊良部大橋橋梁の調査・設計を進めるほか、与那国空港等の離島空港、仲田港等の離島港湾を整備します。

儀間川総合開発事業等を実施するとともに、水道施設、集落排水施設、ごみ処理施設など生活環境基盤を総合的に整備します。

また、中継局を整備し、宮古地区における民放ラジオ放送の受信障害を解消します。

保健・医療・福祉の充実

保健医療については、離島医療支援を強化し、離島・へき地における医療の充実を図ります。

また、救急医療の充実・強化を図るとともに、過疎地域等における医師等の確保や巡回診療の充実に努めます。

第8は、「米軍基地問題の解決促進と駐留軍用地跡地の利用促進」であります。

基地の整理縮小

米軍基地の整理縮小については、SACO最終報告の着実な実現を図るとともに、SACO合意事案以外についても、関係市町村の意向を踏まえ、県民の理解と協力を得ながら段階的な整理縮小に取り組みます。

また、海兵隊の訓練を県外へ移転することも含めて、在沖米軍兵力の削減を国に対し求めてまいります。

普天間飛行場の移設については、代替施設の建設に当たり、住民生活や自然環境に著しい影響を及ぼさないよう、名護市等と連携を図りつつ、代替施設建設協議会における協議をはじめ、環境影響評価手続きへの対応などに取り組みます。

15年使用期限については、基地の固定化を避けるため、移設に当たっての条件として提示しているものであり、この問題の解決なしに着工はあり得ないと考えており、国に対し強く求めてまいります。

那覇港湾施設の移設については、引き続き、国、地元自治体等との協議、調整を進めます。

日米地位協定の見直しの実現等

日米地位協定の抜本的な見直しについては、あらゆる機会を通して引き続きその実現に努めてまいります。

また、米軍基地から派生する事件・事故の防止や環境問題等の解決促進については、三者連絡協議会等を通じ強く求めます。

跡地利用の促進と基地周辺等の環境保全

駐留軍用地跡地の利用の促進については、「跡地対策協議会」及び「跡地関係市町村連絡・調整会議」において、国や跡地関係市町村と密接に連携・協力し、個々の跡地の特性や課題に応じた取り組みを進めます。

また、米軍基地から派生する環境問題については、航空機騒音や基地排水等の監視測定強化により、基地周辺の環境保全を促し、県民の健康の保持に努めます。

旧軍飛行場用地問題の解決促進

旧軍飛行場用地問題については、県・市町村連絡調整会議を中心に、戦後処理問題の一環としてその解決促進に取り組んでまいります。

第9は、「行政改革の推進」であります。

行政改革の推進

県民満足度の高いサービスを提供するため、積極的に情報公開を推進するとともに、パブリックコメントの制度化、附属機関等の委員公募制の導入を行います。

また、公社等外郭団体については、県の関与のあり方を見直し、法人の自己責任による経営体制の整備等を推進します。

さらに、市町村への適切な権限移譲や市町村合併を促進し、広域的な行政施策を推進します。

簡素で効率的な行政体制を構築するため、これまで以上に事務事業の見直しや補助金の整理合理化、病院事業の改革、公共事業の見直しなどを着実に実施します。

以上、平成16年度における施策の概要について申し上げました。

次に、今回提案いたしました議案について御説明申し上げます。

甲第1号議案から甲第31号議案までの予算議案について御説明申し上げます。

国の平成16年度予算は、これまでの「改革断行予算」という基本路線を継続し、歳出全体にわたる徹底的な見直しを行い、実質的に平成15年度の水準以下に抑制することとして編成されております。

また、地方歳出についても、前年度に引き続き、地方財政計画全体の規模が減額になるとともに、地方交付税総額が抑制されるなど、国の歳出と同様の見直しがなされております。

このような中、本県財政においても、地方交付税が予想を上回る減額となるほか、自主財源の柱である県税の大幅な増加は期待できないという厳しい状況にあります。

このため、平成16年度予算の編成に当たっては、事業の優先度に十分配慮し、観光・リゾート産業の振興、情報通信産業の集積、農林水産業の振興、産業の振興と一体となった雇用の創出、医療福祉の向上、文化の振興、地域・離島の振興等の政策課題に重点的に配分することを基本といたしました。

その結果、平成16年度予算は、

  • 一般会計において6013億5000万円
  • 特別会計において297億4073万3000円
  • 企業会計において907億7373万9000円

の規模となっております。

また、平成15年度予算につきましては、義務的経費及びその他の経費の過不足を補うため、一般会計補正予算及び下水道事業特別会計ほか4件の特別会計補正予算並びに病院事業会計補正予算を提案いたしております。

なお、補正予算の議案につきましては、先議案件として、御審議を賜りますようお願い申し上げます。

次に予算以外の議案といたしましては、条例議案が「沖縄県職員の退職手当に関する条例及び沖縄県職員の給与に関する条例の一部を改正する条例」ほか24件、議決議案が「工事請負契約についての議決内容の一部変更について」ほか3件を提案いたしております。

なお、乙第15号議案「沖縄県建設業許可申請等手数料条例の一部を改正する条例」及び乙第26号議案「工事請負契約についての議決内容の一部変更について」につきましては、先議案件として、御審議を賜りますようお願い申し上げます。

以上をもちまして、今回提案いたしました議案の説明といたします。

なにとぞ、慎重なる御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。

※追加提出議案(2月25日)の説明要旨

平成16年第1回沖縄県議会定例会に追加提出しました議案について、その概要及び提案の理由について御説明申し上げます。

追加提出しました、乙第30号議案「沖縄県監査委員の選任について」は、監査委員4人のうち、議員のうちから選任すべき委員1人が辞職したことに伴い、その後任を選任するため、議会の同意を求めるものであります。

当該委員の推薦について、県議会議長にお願いしましたところ、去る2月9日に御推薦をいただきましたので、同意議案として提出するものであります。

以上、追加提出しました議案について、その概要及び提案の理由を御説明申し上げました。慎重なる御審議の上、議決を賜りますよう、お願い申し上げます。

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