平成19年 第1回(定例会)知事提出議案要旨
平成19年第1回沖縄県議会(定例会)知事提出議案説明要旨平成19年第1回沖縄県議会の開会にあたり、議員各位の御健勝を心からお喜び申し上げますとともに、日々の御精励に対し深く敬意を表します。
この度の議会は、沖縄振興計画の後半5年がスタートする平成19年度の県政運営の基本ともなります予算案をはじめ、多くの重要な案件について御審議をお願いするものであります。このため、議案の御審議に先立ちまして、まず県政運営に当たっての私の所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
私は、これまでの沖縄振興諸施策の成果を踏まえ、「経済の自立なくして沖縄の自立なし」との強い決意を持って、産業の振興に取り組み、雇用の創出・確保を図るとともに、過重な米軍基地負担の軽減、少子高齢化に向けた対策、環境問題や離島・過疎地への対策など、平和で安らぎと活力ある沖縄県の実現に向け、邁進する所存であります。
また、選挙公約に掲げました政策目標の実現を目指し、現場主義をモットーに課題の把握に努め、施策・事業の緊急度、優先度を勘案しつつ具現化を図り、沖縄大躍進に向けて全力を尽くします。
世界、我が国及び本県についての現状認識
さて、国際社会は、平和と安定を求めて、テロと大量破壊兵器の拡散という脅威にどう対処するかが大きな課題となっております。
イラク復興への道のりも依然として不透明であり、その他の国や地域においても宗教対立などを背景に地域紛争が頻発しております。
我が国と近隣諸国との関係においても、中国や韓国との改善の動きがみられるものの、北朝鮮による拉致問題に加えて、核武装化という重大な脅威が発生しております。
また、米国は、国際的な安全保障環境の変化に対応し、世界的規模での米軍再編を進めているところであり、その一環として、在日米軍再編についても、2011年5月の日米安全保障協議委員会において、在沖海兵隊司令部や兵員等のグアムへの移転及び嘉手納飛行場より南の米軍施設・区域の返還が合意されたところであります。
経済面では、戦後最長であった「いざなぎ景気」を超える景気拡大が続いていると言われておりますが、これは都市部の企業業績回復によるところが大きく、家計や地方経済への波及は遅れているというのが実感であります。また、中国やインド、ブラジルなど、面積・人口規模の巨大な国における工業化が進んでおり、それに伴い、エネルギーや食料等の国際的需給関係が変化し、我が国経済に与える影響が懸念されております。
本県経済については、観光が引き続き好調さを維持し、景気回復をリードしていることや、個人消費の底堅さもあり、全体としては堅調に回復しつつありますが、若年者の雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
国と地方との関係においては、地方分権改革推進法や道州制特区推進法が成立するなど、今後とも国と地方の役割分担や税財源の見直しが進められる見通しであることから、県においても、引き続き、多様化・高度化する行政ニーズへ対応できる行財政基盤の確立に努めることが求められております。
また、我が国は、平成16年に人口がピークとなり、今後は本格的な人口減少社会を迎えることになります。このため、将来の活力低下が懸念されており、少子化対策が喫緊の課題となっております。
一方、本県の人口増加率は東京都、神奈川県に次いで高く、平均年齢も全国一若く、住んでみたい都道府県に関する世論調査や、過去10年間の経済成長力に関する民間調査でもトップと評価されるなど、活力ある地域として注目を浴びております。
さらに、スポーツや芸能の分野などでも沖縄の将来を担う若者の活躍は目覚ましいものがあり、県民に自信と誇りを与えております。
このような中、2011年は、観光客数が5年連続過去最高を記録したのをはじめ、太平洋・島サミットや世界のウチナーンチュ大会の開催、新石垣空港や伊良部架橋の着工、沖縄科学技術大学院大学の開学に向けた取組など、本県の振興に向けた施策・事業は着実に進展しております。
平成19年度政府予算案及び税制改正について
さて、平成19年度の政府予算案は、歳出全般を徹底的に見直すなど、極めて厳しいものとなっております。
そのような中、内閣府沖縄関係予算は、対前年度比97.1%の2,642億円が確保され、沖縄振興計画の着実な進展に向け、県が要望した多くの事業に必要な予算措置がなされております。
まず、観光リゾート産業の振興に係る新規事業に所要額が確保されたほか、情報通信関連産業のさらなる振興のための調査事業や人材育成事業に係る予算が措置されました。
また、製造業等の振興を図るため、産学官連携による共同研究開発への支援事業などが認められました。
さらに、沖縄科学技術大学院大学に係る研究事業や施設整備等に必要な経費の大幅な増額が認められたほか、事業が本格化する伊良部架橋や新石垣空港など、所要の額が措置されました。
離島・過疎地域の活性化に向けても、特産品加工施設整備への新規の支援事業、離島ブロードバンド環境整備事業や、医師の確保に向けた事業が認められるなど、本県の振興に配慮された内容となっております。
一方、2011年末に平成19年度税制改正大綱が決定されましたが、沖縄振興特別措置法の関連税制では、本県の要望を受けて延長が決まったことに加えて、情報及び金融特区の所得控除要件が緩和され、さらに、観光振興地域の対象施設に文化紹介体験施設が追加されております。
復帰特別措置の酒税と揮発油税の軽減措置についても、地場産業の振興と県民生活の安定に特段のご配慮をいただき、延長が盛り込まれました。
平成19年度の取組の姿勢
平成19年度は、沖縄振興計画後期の初年度に当たり、これまでの成果を踏まえ、本県の抱える諸課題の解決に向けて、大きく踏み出す重要な年であり、私は県民の先頭に立って全力で取り組んでまいります。
まず、民間主導の自立型経済の構築に向けて、これまで以上に観光・リゾート産業や、情報通信関連産業、農林水産業、商工業等の振興と企業誘致を推進するなど、産業を徹底的に支援し、就業の場の創出と拡大に取り組みます。
次に、米軍基地問題について、私は、日米安全保障体制を含む日米同盟関係は、我が国及び東アジアの平和と安定に寄与していると理解しており、我が国に所在する米軍基地が重要な役割を果たし、沖縄がその根幹を担ってきたと認識しております。
したがって、日米安全保障体制が安定的に維持されるためには、沖縄の社会的、政治的、経済的安定が必要であり、県民の目に見える形で米軍基地の負担軽減が図られなければならないと考えております。
このため、基地の整理縮小や日米地位協定の見直し、事件・事故の防止などを日米両政府に強く求めてまいります。
また、世界最高水準の沖縄科学技術大学院大学の設置に向けた環境を整備するとともに、科学技術の振興に取り組みます。
さらに、自然環境の保全と循環型社会の形成、安らぎと潤いのある暮らし、ともに支え合う安全で安心な健康福祉社会の実現に取り組みます。
併せて、教育と文化の振興、交通基盤や情報通信基盤等を整備するとともに、離島・過疎地域におけるユニバーサル・サービスの提供と定住条件の整備を推進します。
また、国際会議の誘致や世界のウチナーネットワークのさらなる充実に取り組み、アジア・太平洋地域における国際交流・協力拠点の形成を図るとともに、これからの沖縄を担う高度で多様な人材の育成に取り組んでまいります。
一方、本県の財政は、中期見通しにおいて多額の収支不足が見込まれ、厳しい状況にあります。
このため、今後とも、地方分権の進展に対応した簡素で効率的な行財政運営に向け、「選択と集中」を徹底し、行財政改革を一層加速するとともに、更なる歳出の抑制、歳入の確保に取り組み、持続可能な財政基盤の確立に努めます。
以上、県政運営に当たっての所信の一端を申し上げましたが、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を重ねてお願い申し上げます。
続いて、平成19年度における施策の概要について御説明申し上げます。
第1は、「自立型経済の構築に向けた産業の振興と雇用の創出・確保」であります。
まず、「質の高い観光・リゾート地の形成」について申し上げます。
観光・リゾート産業については、県経済を力強く牽引するリーディング産業として、10年後の観光客数1,000万人を目指した、重点的な施策展開を図ってまいります。
平成19年度においては、新たに策定した「ビジットおきなわ計画」に基づき、入域観光客数590万人を目標に積極的な誘客プロモーションを展開し、特に、海外誘客については、10年後の外国人観光客数100万人を見据え、国や地域の実情に応じた戦略的な誘客活動に取り組みます。
また、国際会議、企業インセンティブツアーやスポーツキャンプ等の誘致を促進するとともに、スタジアム整備の状況などを踏まえ、プロ野球やJリーグの公式戦誘致に向け、球団やリーグへの働きかけを行います。加えて、映画やテレビなどのロケ撮影の誘致・支援のため、フィルムオフィス機能を拡充します。
観光客の受入に関しては、「観光マイスター制度(仮称)」の導入も含め観光人材の質的向上を図るとともに、健康保養型観光やエコツーリズムなどの体験・滞在型観光やリゾートウェディング等を推進します。
また、シニア層など有望なマーケットに向けた誘客対策、夜間や雨天時にも楽しめる多様なエンターテイメントづくりの促進、国際音楽祭の開催に向けた取組等により、観光の付加価値向上に努めます。
さらに、優位性のある観光資源を活かした「観光まちづくり」を促進し、地域総体としての魅力向上を図ります。
なお、これらの施策を一層進めるため、税制上の特例措置の活用を促進するとともに、関連業界や市町村など地域との連携を強化してまいります。
次に、「未来をひらく情報通信関連産業の振興」について申し上げます。
情報通信関連産業については、関連企業の集積・振興を図るため、税制上の特例措置を活用するとともに、既存建物を有効活用したIT支援施設整備など企業の立地ニーズを踏まえた支援施設の整備を促進します。
また、通信コスト低減化支援等を推進するとともに、高度な業務を担うIT核人材の育成を支援します。
国際IX(インターネット・エクスチェンジ)についても、実現に向けた取組を進めるとともに、国と連携し、「IT津梁パーク構想」や共用空間データの流通基盤整備を推進します。
次に、「地域特性を生かした農林水産業の振興」について申し上げます。
おきなわブランドの確立と生産供給体制の強化
ゴーヤー、きく、マンゴー等の戦略品目を中心に、農作物被害防止施設等の整備を支援するとともに、モズクの養殖技術の改良・普及を行うなど、拠点産地の形成を進め、沖縄ブランドの確立を促進します。
さとうきび、豚等の安定品目については、生産基盤の整備等により、安定的な生産供給体制の確立に努めます。
特に、琉球在来豚「アグー」については、純粋種の登録、計画交配による原種豚の増殖と生産供給体制を整備し、「おきなわブランド豚」の確立に努めます。
また、島野菜や果樹については、有望な品種の選定・普及や、栽培法の確立を行い、特色ある産地づくりを促進します。
流通・販売・加工対策の強化
流通・販売・加工対策については、鮮度保持流通システムの確立により、ブランド力の向上を図るとともに、低コストな流通ルートへの移行促進に努めます。
併せて、県産農林水産物の消費拡大を図るため、首都圏において情報収集・発信やインナーショップ等の積極的な展開など、マーケティング力の充実を図るとともに、地産地消を推進します。
また、モズクの加工品開発指導等の加工対策を推進するとともに、県内外及び国外における販路拡大等の流通対策を強化します。
さらに、安全で安心な農産物を供給するため、農薬の適正使用の徹底や出荷前の残留農薬検査、トレーサビリティの推進、加工食品等の品質表示の適正化を図り、消費者からの信頼確保に努めるとともに、学校給食への利用を促進します。
農林水産技術の開発と担い手の育成・確保
農林水産業の担い手については、認定農業者等の育成を図るとともに、就農相談会や研修の実施、就業支援など、多様な担い手の育成・確保に努めます。
また、おきなわブランドの確立や環境保全対策に向け、農林水産技術の研究開発を推進します。
亜熱帯・島しょ性に適合した生産基盤の整備
生産基盤の整備については、農業用水源やかんがい施設など農業生産基盤の整備を進めるほか、林業生産基盤や漁港漁場など水産基盤の整備を進めます。
環境と調和した農林水産業の推進
また、天敵昆虫等を利用した防除技術の確立に向けて、調査研究や実証に取り組むとともに、不妊虫放飼法など環境負荷の低い害虫防除を推進します。
さらに、環境に優しい農業を推進するため、エコファーマーの育成や特別栽培農産物の認証に取り組みます。
次に、「地域を支える産業の育成と創出」について申し上げます。
新事業の創出
新事業の創出については、産学官の連携による新技術・新製品の研究開発を促進し、その創出に取り組みます。
特に、健康・バイオ関連産業については、ベンチャー企業によるバイオ研究開発、製品化への取組を支援するとともに、健康ビジネス産業の確立に向けて取り組みます。
製造業等地域産業の振興
製造業等地域を支える産業については、新製品の開発や品質向上対策、ブランドの確立等を支援するとともに、デザイン戦略構築及びデザインセンターの設置検討を進めます。
また、泡盛業界が県外出荷拡大戦略として進めている「古酒の郷」構想を支援するほか、パブリシティの促進による県産品の知名度向上や商談会の拡充など、県外市場の販路拡大を図るとともに、海外展開戦略の構築に努めます。
中小企業の振興については、経営革新や企業間連携、資金調達などを支援するとともに、「沖縄県中小企業振興基本条例(仮称)」を制定します。
さらに、地域に密着した商店街の振興を図ります。
建設産業については、将来ビジョンを策定し、技術と経営に優れた企業が伸びる市場環境の整備や新分野進出への支援等に取り組むとともに、国発注の公共事業についても、県内企業への優先発注を求めてまいります。
企業の立地促進
特別自由貿易地域等への企業の立地を促進するため、企業誘致セミナーの開催や企業訪問などトップセールスを積極的に展開するとともに、魅力ある新たな投資環境を整備します。
また、金融業務特別地区については、税制上の特例措置を活用した金融関連企業の集積を促進するとともに、高度な金融知識を有する人材の育成や支援施設の整備促進に努めます。
次に、「雇用の安定と職業能力の開発」について申し上げます。
本県の完全失業率を全国平均にするためには、これまで以上に新たな雇用の創出・拡大を生み出す産業施策の取組を加速するとともに、産業振興と一体となった雇用対策に取り組む必要があります。
このため、国や市町村、経済団体、教育機関等と連携し、「沖縄県産業・雇用拡大県民運動(仮称)」を展開します。
さらに、観光や情報通信など成長分野を中心に、高度な専門知識と技術を持つ人材の育成を進めるとともに、職業能力開発校や専修学校等において、多様な職業訓練等を実施します。
沖縄県キャリアセンターにおいては、産学官連携の下、若年者に対し、職業観の形成から就職に至るまでの一貫した就職支援及び離職者対策を行います。
また、働く女性や結婚、子育て、介護などによってキャリアパスを中断した女性、母子家庭の母親及び障害者等を対象とした就職支援を実施するほか、駐留軍離職者の雇用の安定を図ります。
第2は、「米軍基地問題の解決促進と駐留軍用地跡地の利用促進等」であります。
在日米軍の再編と基地の整理縮小
在日米軍の再編については、2011年5月に日米安全保障協議委員会で、最終報告が合意されたところであります。
海兵隊司令部及び約8千名の海兵隊将校・兵員のグアム移転、嘉手納飛行場より南の米軍施設・区域のさらなる整理・統合・縮小など米軍基地の整理縮小に向けた方策が示された内容となっており、これらが確実に実施されるよう求めてまいります。
普天間飛行場問題の最も緊急な課題は、その危険性の除去であります。
その方策として、暫定ヘリポート機能の整備や一時的な分散移転などを想定しておりますが、具体的には、基地の提供責任者である政府が米国と協議をし、示すことが必要であると考えております。
県としては、同飛行場の3年以内の閉鎖状態の実現に向けて、あらゆる方策を検討するよう、引き続き政府に対し強く求めていく考えであります。
普天間飛行場の代替施設については、日米両政府により新たなV字型案が合意されておりますが、県としては、これまでの経緯を踏まえれば、現行のV字型案のままでは賛成できないとの立場であります。
今後は、地元の意見、県民の意向を踏まえて、政府と協議を重ね、早急な解決を図りたいと考えております。
那覇港湾施設の移設については、「那覇港湾施設移設に関する協議会」等において、移設に関連した諸措置及び跡地利用等に関して、引き続き国、地元自治体等との協議、調整を進めてまいります。
日米地位協定の見直しの実現等
日米地位協定の見直しについては、本県の働きかけにより、33都道府県議会における見直し決議等全国的な取組が行われてきました。しかしながら、政府は依然として運用改善により対応するとしております。
政府を動かすためには、より多くの国会議員や国民の皆様に、地位協定の問題の十分なる理解とその見直しの必要性を認識していただき、協力を得ることが大変重要であると考えております。
今後とも、渉外知事会などと連携しながら、あらゆる機会を通じて、日米地位協定が見直されるよう、積極的に取り組んでまいります。
また、米軍基地から派生する事件・事故の防止や環境問題等の解決促進については、三者連絡協議会等を通じて強く求めてまいります。
跡地利用の促進
駐留軍用地跡地の利用の促進については、国や跡地関係市町村と密接に連携・協力し、個々の跡地の特性や課題に応じた取組を進めます。
また、2011年の在日米軍再編協議の最終報告で示された嘉手納飛行場より南の米軍施設・区域の返還については、大規模であり、県土構造の再編を視野に入れた跡地利用計画の策定や、計画策定後の事業実施に係る財源の確保、実施体制の整備等の課題があります。そのため、現行の枠組みの継続はもちろん、新たな制度の検討も含めて、きめ細かな対応を政府へ求めてまいります。
旧軍飛行場用地問題の解決促進
旧軍飛行場用地問題については、各地主会や関係市町村長の意見も勘案しながら、県・市町村連絡調整会議を中心に国への要望案の取りまとめに努め、同問題の解決促進に取り組んでまいります。
第3は、「科学技術の振興と国際交流・協力拠点の形成」であります。
科学技術の振興
科学技術の振興については、「沖縄県科学技術振興指針」に基づき、総合的な施策を推進します。
特に、沖縄科学技術大学院大学の設置に向け、沖縄科学技術研究基盤整備機構が進める事業を支援するとともに、インターナショナルスクールなどの子弟教育及び居住、医療などの周辺整備に関する調査や基本計画の策定など、開学に向けた取組を強化します。
また、産業系試験研究機関については、相互連携による先導的な研究開発を推進するとともに、特許等の取得・活用を促進し、新たな産業の創造や既存産業の高度化に努めます。
国際交流・協力拠点の形成
国際交流・協力拠点の形成に向けては、航空路線網の拡充や航空運賃の低減化に努めるとともに、国連機関を含む国際機関誘致に向けた環境整備等に取り組みます。
また、世界のウチナーネットワークの深化・拡充及び次世代への継承に向け、海外における交流拠点機能の充実を支援するとともに、本県と海外の青少年の相互交流を促進します。
なお、沖縄の持つ潜在的な魅力を世界の宝として発信するために、若者の感性や意見が反映できる仕組みづくりを進めます。
平和行政については、第4回沖縄平和賞の授賞候補者の選定等に取り組むとともに、平和の礎への追加刻銘、平和祈念資料館における企画展や平和学習の充実を図ります。
第4は「環境共生型社会の形成」であります。
ゼロエミッション・アイランドの実現に向けた取り組み
循環型社会の形成を図るため、一般廃棄物処理施設の整備を促進するとともに、公共が関与する産業廃棄物管理型最終処分場の整備について、用地決定に向けた取組と第三セクターの設立準備を進めます。
また、産業廃棄物等からリサイクルされた建設資材等の利用促進や廃棄物の不法投棄防止対策を強化するとともに、「沖縄県産業廃棄物税基金」の活用等により、産業廃棄物の排出抑制、リサイクル及び適正処理を促進します。
さらに、ちゅら島環境美化条例に基づき、全県的な環境美化活動を展開するほか、市町村と連携し、ポイ捨て防止対策を強化します。
豊かな自然環境の保全
本県の豊かな自然環境を次世代に継承するため、ソフト及びハード両面で地球温暖化対策を推進するとともに、赤土等流出防止対策として、推進目標の設定や沈砂池の設置など土木対策の実施、農家が自ら実施する取組への支援などを進めます。
また、希少な野生動植物種の保護を図ることを目的として条例を制定するとともに、総合的なサンゴ礁保全対策や、やんばる地域におけるマングース等外来種の捕獲・侵入防止対策を推進します。
さらに、リュウキュウマツの保全対策については、保全対象の松林等における松くい虫防除や抵抗性マツの植栽、天敵昆虫を利用した防除技術の開発などを推進します。
快適で潤いのある生活環境基盤の整備
快適な都市空間を形成するために、旭橋駅周辺地区市街地再開発事業の促進や、牧志・安里地区市街地再開発事業の計画等を促進するとともに、区画整理や街路、公園緑地、新石川浄水場等の上下水道の整備を進めます。
公営住宅については、老朽化した団地の建て替えを進めます。
また、農地・農業用水等の保全管理や農村環境の保全向上に向けた支援を進めるとともに、集落排水施設など生活環境基盤の整備を進めます。
さらに、在来樹木による防災林造成など、地域特性を生かした森林の整備・保全及び全県緑化を推進するとともに、グリーン・ツーリズム等への支援を進めます。
県土保全
県土保全については、自然災害防止対策や被害対策として、治山、治水、海岸事業等を推進します。特に、都市部の浸水被害の軽減に向け、国場川等を整備するほか、中城村安里地区地すべり対策事業や東江海岸の整備等を行います。
第5は、「健康福祉社会の実現と安全・安心な生活の確保」であります。
健やかでいきいきと暮らせる社会の形成
次世代育成支援については、「おきなわ子ども・子育て応援プラン」に基づき、地域における子育て支援や母子保健の推進及び不妊治療対策の充実、待機児童の解消及び認可外保育施設の認可化の促進や利用児童の処遇向上を図るなど、子育て支援策の充実に取り組みます。
また、ファミリー・サポート・センターの設置や事業所内保育施設の設置を促進するとともに、ひとり親家庭等については、自立促進や生活の安定を図ります。
児童虐待については、中央児童相談所八重山分室の設置等による相談支援体制の機能強化を図るとともに、関係機関と連携し、未然防止や早期対応等に努めます。
また、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続ける社会を目指し、市町村の介護予防の取り組みへの支援や、介護サービスの質の向上に取り組むとともに、療養病床の再編に対応するため地域ケア整備構想を策定します。
さらに、かりゆし長寿大学校については、時代のニーズにあった効果的な事業のあり方について検討を進めます。
障害者の自立と社会参加を促進するため、障害者自立支援法の円滑な運用と、バリアフリー化や障害者就業・生活支援センターの充実に努めます。
安心して暮らせる保健医療の充実
保健医療については、医師等医療従事者の養成確保と併せ、保健医療計画及び「健康おきなわ2010」の改定を行うとともに、医療費適正化計画を策定し、患者・利用者の視点に立った医療の確保や予防対策の促進に取り組みます。
特に、「健康おきなわ2010」については、長寿世界一復活に向けたアクションプランとして位置付けるとともに、その改定を通じて、健康づくり運動の推進や生活習慣病の予防対策に、県民一体となって、積極的に取り組みます。
併せて、自殺予防・うつ対策について、関係機関と連携し、正しい知識の普及啓発活動の強化を図るとともに、HIV感染予防対策として、予防知識の普及啓発や検査体制の整備等に努めます。
また、県立病院事業においては、効率的な事業運営に努めるとともに、高度・特殊医療、救命・救急医療、離島医療支援等の医療サービスの提供、民間医療機関等との適切な役割分担や医療連携などを進めます。
さらに、女性患者のニーズ等を十分踏まえ、女性専用外来の設置について検討を進めてまいります。
食の安全確保については、食の安全・安心条例を制定するとともに、食育については、食育推進計画に基づき、総合的、計画的に推進します。
ともに支え合う社会の構築
ともに支え合う社会の構築に向け、女性の社会参画を促進するとともに、女性の人材育成などに取り組みます。
なお、県では、女性職員の幅広い分野への配置や管理職への積極的な登用に努めます。
配偶者等からの暴力に対しては、関係機関と連携し、被害者等への相談・保護・援助を充実するとともに、防止に向けた広報啓発や加害者対策を推進します。
また、NPO等が行う社会貢献活動を促進するとともに、NPO等と行政との協働を推進します。
安全・安心な地域社会づくり
県民の安全・安心の確保については、県民総ぐるみで取り組む「ちゅらさん運動」を推進し、自主防犯活動の活性化を図るとともに、地域全体で子どもの安全を確保する体制づくりの促進などにより、犯罪のない安全で安心して暮らせる社会の実現に努めます。
特に、県民が身近に不安を感じる街頭犯罪や侵入犯罪、歓楽街などにおける対策を強化するとともに、不法投棄などの環境犯罪、暴力団や外国人犯罪の取締り等に対応した治安対策を総合的に推進します。
また、少年非行防止対策を強化するとともに、犯罪被害者等基本法を踏まえたきめ細かな被害者支援、DV・ストーカー事案など各種警察安全相談への迅速・的確な対応、空き交番解消を含む交番機能の充実強化等に努めます。
さらに、悪質商法等による消費者被害や多重債務などの消費生活相談に適切かつ迅速に対応するとともに、啓発活動や消費者教育を推進します。
特に、悪質事業者に対しては、事業者名の公表など厳正な処分を実施します。
交通安全対策については、交通安全運動を強力に推進し、参加・体験型の交通安全教育に努めるとともに、渋滞緩和対策を進めることにより、交通の安全と円滑化を図ります。
また、県民一人ひとりの交通安全意識を高めるとともに、徹底した交通取締り等を実施することにより、飲酒運転撲滅対策及び迷惑・危険な暴走族対策を推進し、交通事故の総量抑止に努めます。
危機管理・国民保護・消防防災
武力攻撃や大規模テロを含むあらゆる危機に対応するため、フォーラムの開催等により危機管理意識の向上と危機管理体制の整備に努めるとともに、沖縄県国民保護計画の普及・啓発等を図ります。
また、消防防災についても、消防広域化に向けた取組を進めるほか、総合防災訓練など防災対策を推進するとともに、引き続き、不発弾処理対策を実施します。
第6は、「多様な人材の育成と文化の振興」であります。
学校教育の充実
学校教育については、学力向上対策等を推進するほか、心身の健康増進と体力の向上を促進するとともに、児童生徒の立ち直り支援と居場所づくりに取り組みます。
また、少人数教育を推進するとともに、地域人材の活用など民間ノウハウの導入を図ります。
さらに、望ましい職業観・勤労観の育成に向け、発達段階に応じたキャリア教育の充実を図るとともに、産業教育の振興を図るため、第17回全国産業教育フェア沖縄大会を開催します。
併せて国際化・情報化に対応するため、外国人による語学指導や小学校における英会話活動など、幅広い語学教育の実施や米国等への留学生派遣を進めるとともに、情報教育を推進します。
高等教育については、県立芸術大学における芸術教育・研究の充実・強化、ITを活用した高度な技術を有する人材の育成に努めます。
障害のある幼児児童生徒一人ひとりのニーズに応じた教育支援を行うとともに、教育環境の整備・充実を図るなど、特別支援教育を推進します。
また、経済的な問題で就学が困難な者に対する奨学事業等の充実に努めるほか、私学教育の振興を図ります。
青少年の健全育成と生涯学習の推進
青少年の健全育成については、学校・家庭・地域が連携し、異年齢による共同生活体験や自然体験活動などに取り組むことにより、健全でたくましい青少年の育成に努めます。
また、学校、警察、地域が連携して、青少年の深夜はいかい防止一斉行動や青少年を取り巻く環境の浄化など健全な社会環境づくりを進めます。
さらに、おきなわ県民カレッジにおける主催講座の開設など、広域的な学習機会の拡充を図り、生涯学習の推進に努めます。
文化とスポーツの振興
文化の振興については、世界遺産登録の文化財をはじめ、重要な文化財の保護・整備・活用を推進するとともに、沖縄発祥の空手や組踊など沖縄の伝統文化の振興と「しまくとぅば」の普及・継承を図り、県民の多様な文化・芸術活動を促進します。
なお、世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」については、副読本やDVDを活用し、学校教育のレベルから普及・啓発に努めます。
また、音楽を中心とした地域性豊かな沖縄文化を国内外へ発信するための方策を調査・検討します。
さらに、11月に開館する県立博物館・美術館の開館記念展を開催するなど、国内外に沖縄の歴史・文化・芸術を発信します。
スポーツの振興については、平成22年度の全国高等学校総合体育大会の開催に向けた取組とともに、サッカー専用競技場など施設整備の検討を進めてまいります。
また、スポーツ・文化・芸術の分野等で、世界的に活躍できる人材の育成を図ってまいります。
第7は、「持続的発展を支える基盤づくり」であります。
空港・港湾・道路等の整備
空港については、那覇空港の沖合への空港施設の展開等に向けた総合的な調査の実施など条件整備に取り組むとともに、新石垣空港の整備を着実に推進します。
港湾については、那覇港の臨港道路等を整備するとともに、中城湾港や本部港などを整備します。
また、ヨットハーバーなど公共マリーナ施設については、中城湾港西原・与那原地区の整備を進め、利用者のニーズ等を踏まえながら、全県を対象に適地の検討を進めます。
道路については、那覇空港自動車道や沖縄西海岸道路等の整備を促進するとともに、伊良部架橋、平良城辺線電線共同溝、沖縄のみち自転車道等を整備します。
都市モノレールについては、引き続き効果的な需要喚起策を実施するとともに、首里駅から沖縄自動車道までの延長検討調査を実施します。
併せて、生活バス路線の維持・確保やバス路線網再構築などの交通需要マネジメント施策等を推進するとともに、軌道系交通システムの導入について検討を行い、渋滞の緩和や公共交通の利便性向上に取り組みます。
また、中南部都市圏における総合的な都市交通マスタープラン及び都市交通戦略を策定するため、パーソントリップ調査を実施します。
さらに、「沖縄らしさ」を活かした景観の保全・創出を図るため、市町村との連携を図りつつ、沖縄県の景観計画を策定します。
水資源の開発
水の安定確保については、大保ダム及び億首ダムの建設等を促進するとともに、名護導水施設等の整備など、西系列水源開発事業を推進します。
第8は、「離島・過疎地域の振興」であります。
離島・過疎地域については、豊かな自然環境などの優位性を生かした地域づくりを促進するとともに、生活環境面での不利性の軽減に向けた取組やユニバーサル・サービスの確保に努めます。
産業の振興・生産基盤の整備
特に、国に設置された「離島活性化調査検討会議」(通称:美ら島会議)と連携し、離島地域の活性化に必要なノウハウを有する専門家の派遣や、各離島の地域資源やアイデアを生かした産業育成に取り組みます。
また、農業用水源の確保や南大東漁港の整備など、生産基盤の整備を進めるとともに、離島における石油製品の価格の安定と円滑な供給を図ります。
交通・情報通信体系・生活環境基盤等の整備
さらに、生活路線としての離島航路、バス路線及び離島航空路の維持・確保に努めるとともに、伊良部架橋、平良城辺線電線共同溝の整備や、新石垣空港、仲田港など離島の空港、港湾を整備します。
情報通信基盤については、石垣島北部等において高速・大容量・低コストの通信を可能とするブロードバンド環境の整備を支援します。
生活環境基盤については、南・北大東村の一般廃棄物最終処分場の整備など廃棄物の適正処理を促進するとともに、久米島町において儀間ダム及びタイ原ダムを整備するほか、石垣東部地区等の集落排水施設を整備します。
保健・医療・福祉の充実
保健・医療・福祉については、離島・へき地への専門医派遣の他、医師修学資金貸与事業やドクターバンク事業の実施など、医師確保対策を強化します。
また、ヘリコプター等による急患搬送体制の充実や離島・へき地遠隔医療支援情報システムの活用など、離島の医療体制の充実に努めます。
さらに、地域包括支援センターの円滑な運営や介護サービスの充実に向けた取組を支援します。
第9は、「行財政改革の推進」であります。
簡素で効率的な行政体制を構築し、県民満足度の高いサービスを提供するため、「沖縄県行財政改革プラン」に基づき、事務事業の選択と集中、出先機関の見直し、職員定員の適正管理、給与の適正化、財政の健全化等に取り組むとともに、行政版コールセンターの設置について検討を進めます。
また、合併市町村への財政的支援等に努めるとともに、合併構想に基づき、引き続き、市町村合併を推進します。
なお、地方分権の進展に伴う行政需要の多様化に的確に対応できるよう、国、市町村との人事交流に取り組みます。
さらに、公社等外郭団体の見直しや病院事業の経営健全化等を進めるとともに、行政の役割を改めて見直し、NPO等との協働や民間委託等を推進します。
以上、平成19年度における施策の概要について申し上げました。
次に、甲第1号議案から甲第31号議案までの予算議案について御説明申し上げます。
国の平成19年度予算は、これまでの財政健全化の努力を今後とも継続していくため、引き続き、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、基礎的財政収支の改善を図り、国債発行額についても極力抑制することとして編成されております。
また、国・地方を通じた厳しい財政状況の中、地方団体においては地方分権時代にふさわしい簡素で効率的な行政システムを確立するため、徹底した行政改革を推進するとともに、歳出の徹底した見直しによる抑制と重点化を進め、また、歳入面でも自主財源の積極的な確保策を講じるなど、効率的で持続可能な財政への転換を図ることが急務とされています。
このような中、本県財政は、歳入面では県税収入の一定の伸びが見込まれるものの、地方交付税などを含む一般財源の総額については大幅な増が期待できず、他方、歳出面では人件費や公債費などの義務的経費や医療関係助成費が当面の間、増大していくことが見込まれ、厳しい財政状況が続くことが予想されます。
一方、平成19年度は、沖縄振興計画の後半がスタートする重要な年であり、沖縄振興計画の基本姿勢の下、新たな政策課題や自立型経済の構築に向けた産業・雇用の創出、環境共生型社会の形成、健康福祉社会の実現、地域・離島の振興等の諸施策の積極的な推進を図る必要があります。
このため、平成19年度予算の編成にあたっては、沖縄県行財政改革プランの着実な実施など、財政の健全性の確保に留意し、活力ある沖縄県づくりに資する施策をはじめ、事業の優先度等に十分配慮しつつ、限られた財源を緊急かつ重要な施策に的確に対応することを基本といたしました。
その結果、平成19年度予算は
一般会計において5,960億7,800万円
特別会計において220億6,716万3千円
企業会計において884億6,538万6千円
の規模となっております。
また、平成18年度予算につきましては、一般会計補正予算及び6件の特別会計補正予算並びに病院事業会計補正予算を計上しており、この分につきましては、先議案件として御審議を賜りますようお願い申し上げます。
次に予算以外の議案といたしましては、条例議案が「沖縄県災害に際し応急措置の業務に従事した者等に係る損害の補償に関する条例」ほか27件、議決議案が「土地の取得について」ほか6件、同意議案が「副知事の選任について」ほか1件を提案しております。
なお、乙第7号議案、乙第11号議案及び乙第34号議案から乙第36号議案までにつきましては、先議案件として、御審議を賜りますようお願い申し上げます。
以上をもちまして、今回提案いたしました議案の説明といたします。
なにとぞ、慎重なる御審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。
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