国への要望書(平成11年8月)

ページ番号1019248  更新日 2024年1月11日

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目次

  1. 「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」の改正について
    1. 「返還実施計画」で定める事項の追加
    2. 「給付金支給」要件の改正
    3. 「調査・測量」の早期実施
    4. 「国有財産の活用」の措置
  2. 駐留軍用地跡地利用促進のための新たな制度の確立について
    1. 駐留軍用地跡地等の利用促進のための行財政上の措置
    2. 駐留軍用地跡地利用の実施体制の整備

1.「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」の改正について

(1)「返還実施計画」で定める事項の追加

要望

跡地利用に支障がないよう環境浄化処理の確認調査、不発弾撤去、建物の撤去など特別管理期間に国の行う措置を「返還実施計画」で明示してくださるよう、特段の御配慮を要望いたします。

理由

「沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律」(以下「駐留軍用地返還特別措置法」という。)の最初の適用事例となった恩納通信所跡地においては、軍用地が地主に返還された後にPCB等の汚染物質の存在が明らかになり、その撤去作業等のために国による特別管理の期間が2年余の期間となったことから、跡地利用が遅れるなどの支障があります。また、嘉手納飛行場において復帰前に行われたPCBの投棄による汚染問題など、原状回復に対する措置が明確に定められていないことから適切かつ迅速な対応がなされず、跡地利用への支障や県民生活へ不安を生じさせています。

基地の計画的、段階的な返還に伴う円滑な跡地利用の実現を図る観点から、基地の環境調査及び環境浄化については、基地返還前に取り組む必要があります。

返還に際して行う措置として定められた返還実施計画は、返還に係る区域や返還予定時期を定める以外に、原状回復の措置として環境汚染調査、不発弾撤去のための磁気探査、山林の復元等別に定める必要性が生じることを想定して政令を設けたものと考えますが、政令の定めがなく、返還後の土地の状況に不安を残しています。今後、所有者への引渡後に環境汚染等の発覚がないよう事前の対策を厳重に措置するようお願い申しあげるとともに、引渡後の利用が円滑に行われるよう、返還実施計画において環境浄化処理の確認調査、不発弾撤去、建物の撤去などに関する措置を定め、実施してくださるようお願いいたします。

(2)「給付金支給」要件の改正

要望

駐留軍用地の返還にあたって、所有者へ不安を抱かせないよう、また、計画的な跡地利用が図れるよう、給付金の支給にあたって、期間を7年に延長すること、特別管理費控除を行わないこと、限度額を設けないことについて所要の措置が講ぜられるよう、特段の御配慮を要望いたします。

理由

過去の駐留軍用地返還跡地における土地区画整理事業の事例では、返還から事業完了まで平均14年3か月と長期間を要していることから、現行の支給期間(3年間)では、跡地を使用収益できるまで地主の生活再建補償がない状況になり、地主に返還への不安を抱かせています。

推進体制の整備や行財政上の措置により円滑な事業が実施される場合には遊休期間の短縮が図られ、早期に事業に着手し使用ができる平均的な期間である7年をベースに、跡地の規模や文化財調査等の期間を勘案した給付金の支給期間の延長が跡地利用を促進するものであります。

また、「特別管理費」が支払われている場合には、その分が給付金から減額されて支給されていますが、「特別管理費」は返還後の物件の除去等当該地の使用不能期間への補償であり、現行の制度では特別管理が長期に実施されることにより給付金が支給されない場合も生ずることとなります。

そのほか、給付金は一の所有者等について年間1千万円を限度として支給されることとなっていますが、継続的に大規模な駐留軍用地の返還がなされると、合算した額が限度額の対象となることから限度を超える事例が多く発生し、地主の所得や、とりわけ関係市町村等の財政に大きな影響が生じます。

このため、実質的に生活再建補償費として給付金が支給されるよう給付金の支給期間を7年に延長するとともに、特別管理費が控除されない給付金支給の期日の設定と限度額の撤廃が必要であります。

(3)「調査・測量」の早期実施

要望

跡地利用を早期に実現するため、事業にかかる調査及び測量が返還見通しが立った早い時点で実施できるよう、特段の御配慮を要望いたします。

理由

沖縄県知事又は関係市町村の長が、駐留軍用地の跡地利用に関する総合整備計画の策定又は駐留軍用地返還後に整備事業等を実施するため、日米合同委員会の返還合意があった軍用地の調査及び測量を国へあっせんの申請ができることになっています。しかしながら、返還合意から返還日までは比較的短期であり、総合整備計画策定の事前調査や土地区画整理事業等を実施する場合には、地質調査や埋蔵文化財調査等様々な調査を行う必要があることから現行の期間では不十分であります。
このため、返還跡地を遊休化させることなく、早期に跡地利用事業を実施するために、事業実施にかかる調査や測量を早期に実施する必要があります。
つきましては、「駐留軍用地返還特別措置法」の第5条に規定する「駐留軍用地の返還についての見通しの通知」ができる時点での事業にかかる調査及び測量のあっせんを措置してくださるようお願いいたします。

(4)「国有財産の活用」の措置

要望

国有財産法に規定する制限にかかわらず国有財産を跡地の公的事業に譲与、無償貸付ができる措置が講ぜられるよう、特段の御配慮を要望いたします。

理由

50年余の長期にわたり米軍基地として使用が継続したために、駐留軍用地跡地については、公共施設の整備が皆無の状態で返還されることが予想されます。
周辺地域においては50年余の年月をかけて公共施設が整備されてきており、駐留軍用地跡地は周辺地域に比べて公共施設の整備が極端に遅れることとなり、駐留軍用地跡地の地主が跡地利用に当たって大きなハンディーを負うことが懸念されます。
本県の米軍基地の発端が第二次世界大戦後の米軍統治にさかのぼるという、本県の駐留軍用地跡地に関する特殊事情を考慮しますと、駐留軍用地跡地における公共施設の整備については、基地の提供責任者である国の責任において特別の措置を講じる必要があります。
また、現行の「駐留軍用地返還特別措置法」では、国有財産の活用について適切な配慮をするものとすると規定されていますが、広大な駐留軍用地が段階的に返還されると跡地整備事業等に膨大な財政投資が必要となることから、関係市町村等の財政状況を考慮した場合、総合整備計画等に基づき実施される公共的利用や国際都市拠点の形成に、国有財産を有効に活用する必要があります。
つきましては、基地の利用から跡地整備事業等の用に供する有効適切な土地利用への転換を図るため、特別措置として国有財産法の規定にかかわらず譲与、又は、無償貸付ができるようお願いいたします。

2.駐留軍用地跡地利用促進のための新たな制度の確立について

(1)駐留軍用地跡地等の利用促進のための行財政上の措置

要望

駐留軍用地返還跡地利用の円滑な推進を図るため、跡地の有効利用を促進するために行う事業に行財政上の特別な措置を講じられるよう、特段の御配慮を要望いたします。

理由

本県には、狭い県土に全国の米軍専用施設の約75パーセントを占める広大な米軍基地が存在しています。この広大な基地の存在は、良好な生活環境の確保、産業の振興、健全な都市形成、交通体系の整備等本県の振興開発を図る上で大きな制約となっています。
このため、基地の整理縮小と返還跡地の総合的かつ計画的な有効利用を図ることは、今後の本県経済社会の発展を図る上で重要な課題となっています。
駐留軍用地を返還する際の措置や跡地利用に関する措置については、平成7年に制定された「駐留軍用地返還特別措置法」に定めがあります。同法により跡地利用のため、県や市町村の総合整備計画を策定することができることとなっていますが、計画に基づく整備事業の実施に際して国の行財政的な特別措置がなく、沖縄振興開発特別措置法等の通常予算ベースで実施されるなど、計画の実効性が担保されていない状況にあります。
本県の駐留軍用地の成立過程における歴史的経緯、長期間にわたって基地として使用されたことによる地域社会への影響や現行法令等が適用されなかったこと等特殊事情を考慮し、事業予算枠の確保、補助事業の対象の拡大、事業採択要件の緩和、補助率の引き上げ等行財政上の特別の措置を講ずる必要があります。
今後、SACOの最終報告に示された施設の返還が進展する場合、大規模基地返還にともない関係市町村等の基地関連の財政収入が急減するとともに、跡地利用のために短期かつ集中的に各種の公共事業等を実施しなければならない状況が発生します。返還軍用地跡地利用のための基盤整備事業や埋蔵文化財調査、公共公益用地の確保等には巨額な費用が必要であり、県及び県内市町村のぜい弱な財政下では負担が困難であります。特に、早期に返還される施設については、早急に負担軽減措置を講ずる必要があります。
また、新しい全国総合開発計画に記述されているように基地跡地は平和交流拠点、国際交流拠点等として、我が国ひいてはアジア太平洋地域の経済社会及び文化の発展に貢献する多元的な交流の展開の場となることが期待されています。これら交流の拠点となるようなプロジェクトの実施が望まれます。
つきましては、このような地域の特珠事情を考慮し、跡地の有効利用を円滑に促進するための行財政上の特別な措置を講じられるようお願いいたします。

(2)駐留軍用地跡地利用の実施体制の整備

要望

駐留軍用地跡地の利用にかかる事業を円滑に実施及び支援していくための事業主体として、跡地整備事業の総合的な実施機関を新たに設置されるよう特段の御配慮を要望いたします。

理由

本県においては、第二次大戦の敗戦と同時に、米軍により先祖伝来の財産である宅地、田畑、原野、山林及び墓地に至るまで、軍用地として強制接収されました。復帰後においても、日米安保条約及び地位協定に基づいて、引き続き基地の提供を余儀なくされています。
また、米軍基地の過重な負担や、軍用地に民有地及び公有地が占める割合が6割を超えるという本県独自の事情があるほか、長期にわたって使用されていることにより周辺地域と不均衡な土地利用状況が生じています。
そのために、跡地利用に関する利害調整や合意形成に時間を要し、返還後の事業実施を困難にしています。
さらに、日米両政府の多大な御尽力により合意されたSACOの最終報告が実施されますと、基地の返還に伴う影響緩和、地域活性化等の跡地対策はますます重要な課題となるとともに、量的、広域的な対応や長期の対応が必要となることから、現行制度では十分に解決が図れないといわざるをえません。
今後、普天間飛行場など段階的に大規模な土地が返還されることに向けて、地主意向を踏まえた利用を図るほか、画一的な利用となることなく国際都市としての拠点を形成するなど跡地を県振興の貴重な空間として県土構造の再編を視野にいれた利用を図っていくことが重要な課題となっています。
このため、跡地利用を円滑かつ効率的に促進するには、跡地と周辺土地利用、県土構造からみた拠点形成、経済問題、強制接収からくる地権の複雑さ等を包括的に調整し、事前調査・測量、跡地利用計画策定はもとより、公共施設整備を含めた事業の実施、さらには民間投資の誘致等総合的に、一貫性を持って継続的に取り組む体制が必要であります。
つきましては、全国一律の施策の実施体制では円滑で早期の跡地利用を図ることが難しいため、本県の地域情勢に応じた跡地整備事業の総合的な実施機関を新たに設置されるようお願いいたします。

このページに関するお問い合わせ

沖縄県 企画部 県土・跡地利用対策課
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